はじめに
こんにちは、ヤマダ(北野)です。
先日、お客様のチームと一緒にAWS様が提唱するAI-DLC(AI-Driven Development Life Cycle:AI駆動開発ライフサイクル)を実践する3日間のワークショップ、ユニコーンジムに参加させていただきました。
最近はGitHub CopilotやClaude Codeなどにコードを書いてもらうバイブコーディングが一般的ですが、AI-DLCはちょっと毛色が違います。
今回は開発部分に焦点を当てつつ、AI-DLCを実践して見えた現場のリアルやじわじわ変わっていったチームの空気感を中心にレポートしていきます!
そもそも AI-DLC(AI駆動開発ライフサイクル)とは?
AI-DLCは、AIに開発を丸投げするのでもなく、人間が下請けのようにAIをちまちま使うのでもな
い、Human-on-the-loopという人間が手綱を握るスタイルを目指す開発フレームワークです。
AI-DLCのv2では5つのプロセスが存在します。
- Initialization(初期化)
- Ideation(アイデア出し・コンセプト作成)
- Inception(要求整理・構想)
- Construction(開発・コード生成)
- Operations(運用・改善)
各フェーズでプラン・レビュー・実行・レビューという短距離走を繰り返します。ここでポイントになるのが、意思決定と検証の責任は人間がしっかり主導権を持つというルールです。
AIが爆速でアイデアやコードを提案し、人間がその場で合意して次へ進む。結果として、いつも我々を悩ませる人間同士のコミュニケーション待ち時間が劇的に削られていきます。
3日間の体験レポ
Day 1:手探りのスタートとCLIコマンドの調整
初日はCLIツールの操作や指示出しに試行錯誤しながらスタート。
出力される文章量やテスト粒度を「一旦最小限にしてやってみよう」ということで、以下のコマンド
で設定して進めました。
/aidlc --scope mvp --depth minimal --test-strategy minimal
- 指示出し以前の人間トークが白熱:
AI以前に、前提条件の定義で人間同士の議論が白熱しました。AIに頼る前に、まず人間が会話しないといけないという味わい深さがあります。 - インフラ知識の壁:
AIを活用する以前に、認証やクレデンシャルの扱いでメンバー間の知識差が露呈する場面もありました。AI時代になってもインフラの基礎知識から逃げることはできないようです…!
初日はいい議論はできていたものの、まだまだAI-DLCに慣れていない部分もあって進捗でいえばやや遅め。ただ土台をしっかりと話し合えたことでプロダクトのドメイン知識は非常に身につき
ました!
Day 2:焦りとAIの予期せぬナイスアシスト
2日目は、午前にインセプションを終わらせ、夕方までにコード生成へ突入する勝負の日でした。
- AIが人間の設計にズバッとツッコんでくる:
仕様の矛盾をAIが容赦なく指摘してくれる場面があり、AIの鋭さにチーム全員で「それな」と変な感心をしました。特に印象深かったのは、人間側の意思決定の過程も入力に加えることで前後関係も踏まえて一緒に考えてくれたことです。 - プロンプトに悩む時間は無駄:
つまりここで悟った最大の学びは、AIに入力するときは悩む必要なし、知っている前提や状況は全部書けばいいということです。変にプロンプトエンジニアリングぶらず、手持ちの情報を全投入するのがコツでした。
2日目の終わりにはなんとかコード生成部分に辿り着けました!(?)
若干怪しかったですが、Constructionには入っていたのであとは夜のうちに勝手に動いてくれるようにプロンプトに工夫をして終了。最後に「離席します。」を付け加えることで人間の承認なしで進めてもらいます。
Day 3:部屋のガヤガヤ度が劇的に変化!
3日間を通した一番の面白さは、チームの雰囲気の変化でした。
- 初日:
探り探りの指示出しで、部屋全体がどこか静かでピリッとした緊張感。 - 3日目:
AIとの会話テンポに全員が慣れていき、その場で「これで行こう」と即決連発。部屋全体が適度な熱気とガヤガヤ感に包まれました!
3日目は文字起こしアプリをKiroで爆速で開発し、チームでの会話全体を入れ始めました!入力の手間もなくなりつつ、情報量を多めに渡せるのでかなりスピード感が出ました!
最終的になんとか発表にはこぎつけたものの、ビジネス価値に焦点を当てることの難しさを実感。開発脳がいきすぎて”動くもの”にこだわってしまったミスもありました。
【個人的な最大の学び】AI-DLCの真価は「体験」しないとわからない
ここまで仕様やフレームワークの話を書いておいてアレですが、個人的に一番感じた学びは「AI-DLCの良さは、実際に手を動かして体験してみないと絶対にしっくりこない」ということです。
「AIがコードを出して、人間が確認するんでしょ?」と言われれば文字通りその通りなのですが、実際の現場で起きているのは少し違った感触です。
- AIが提示する圧倒的なスピード感に、人間の思考と意思決定が引きずり上げられる感覚
- コミュニケーション待ちが消え、チーム全体がAIを介してその場で合意形成していくライブ感
- 画面モックや仕様が目の前で一瞬で形になり、すぐさま次の議論に移れるグルーヴ感
この人間側の脳内CPUに非常に負荷のかかる体験は、解説記事やドキュメントを読んでいるだけではまず味わえません。文字だけで理解した気になるのはめちゃくちゃ勿体ないです。
もし機会があるなら、皆さんも絶対に一度ハンズオンやワークショップで体験してみることを猛烈にお勧めします!
実践して見えたAI-DLCの学び
技術視点だけでなくビジネスとしての魅せ方が必須
エンジニア特有の性で動くコードを作ることに没頭しすぎると、これがビジネスとしてどう魅力的か?という視点を見失いがちです。開発者も含めて関わる人はちゃんとビジネス価値を意識し続けないとダメですね。
ベースとなる型を持ち、チームごとにカスタマイズする
AIの使い方は放っておくと各自の我流になり、結局いいとこ取りのつまみ食いになってしまって品質や安定性に欠けます。組織としてAI-DLCのような統一されたベースの方法論を1つ持ち、そこから案件に合わせてチューニングしていく運用がベストだと実感しました!
まとめ
3日間のユニコーンジムを通して、AI駆動開発の本質は「コード生成の自動化」以上に「人間の意思決定と合意形成を爆速化すること」にあると体感できました。
そして何より、あの独特のとても脳が疲れる感覚はぜひ一度実際に体感していただきたいです。今回持ち帰ったAI-DLCの型を、今後の現場でもどんどんカスタマイズしながら使っていきたいと思います!
ワークショップをサポートしてくださったAWSの皆様、そして一緒に走りきったチームの皆さん、ありがとうございました!!
関連リンク・参考情報
https://github.com/awslabs/aidlc-workflows
https://builder.aws.com/content/3HTM8fy03i3KDJkfX7hilYrFM3D/ai-dlc-workflow-v2claude-codequick-start
https://builder.aws.com/connect/space/5e5ebc4b-bf4a-350e-a6d5-ce6b452490a0/ai-dlc-japan?tab=discussion