クラウドインテグレーション事業部の片山です。
2026年10月26日〜28日(現地時間)にラスベガスで開催中のイベント、Oracle AI World 2026に参加してきました!

今回は「VMware + OCI: AI World of Possibilities」というセッションのレポートをお届けします。

セッション表紙スライド「VMware + OCI: AI World of Possibilities」

セッション概要

本セッションは、OCI上で専有ベアメタルのVMware環境を提供するOracle Cloud VMware Solution(OCVS)について、「基盤 → コンピュート・ストレージ・ライセンス → 運用とOCIとの接続 → AI活用」の順に現在地を整理する45分のLearning Sessionです。登壇者はOracleのTyler Carlton氏(Group Vice President, Oracle Cloud Infrastructure)でした。

Carlton氏が冒頭に置いた問いは「どのシステムを持ち越し、どこを変えると実際にビジネスに効くのか」。VMware環境をOCIに移したあと何をどの順番で変えるか、という進め方の話が中心でした。

本セッションのアジェンダ。OCVSの基盤、コンピュート・ストレージ・ライセンス、OCI隣接、AIの可能性の4部構成

セッション内容:BYOL移行後のOCVSの現在地と、VMwareの隣でAIを使う道筋

OCVSの基本:VMwareの運用モデルをそのままOCIへ

インフラの更改期限は迫るのに、アプリケーションは何年分もの連携を抱えて簡単には変えられない。そういった状況は多いのではないでしょうか。実際に提案に際してお客様から同様のご相談をいただくこともしばしばあります。
その中で、OCVSは、vSphere、vSAN、NSX、vCenter、HCXといった使い慣れたVMwareスタックを専有ベアメタル上でそのまま動かし、インフラの期限とアプリケーション改修のスケジュールを切り離す手段として位置づけられました。

「A Practical Path from VMware to OCI AI」。VMwareの維持、OCI隣接の活用、合うところにAIを採用、の3本柱

OCVSは顧客管理型のサービスで、パッチ適用やアップグレードの責任も利用者側にあり、既存の運用プロセスをそのまま引き継げます。OCIのレイヤー2仮想化がVMwareのネットワーク構成を保ったままリフト&シフトを可能にする点、50を超えるOCIパブリックリージョンに加えてOCI Dedicated RegionやOracle Alloyでも利用できる点も強調されました。

OCVS Foundation。VMwareスタック、顧客による管理、OCIのフットプリント、L2ネットワーク基盤

9つのベアメタルシェイプとストレージ設計

OCVSで選べるベアメタルシェイプは現在9種類で、3系統に分かれます。

  1. Denseシェイプ:ローカルNVMeをvSANに使い、コンピュートとストレージを一体でサイジングする
  2. Standardシェイプ:OCI Block Volumesをデータストアに使い、ホストを増やさずにストレージだけ拡張できる
  3. GPUシェイプ:NVIDIA A10を搭載し、CADなどグラフィックス集約ワークロードのVDI配信に使われている

Compute and Storage Choice。Dense・Standard・NVIDIA GPUの3系統と、Block Volumesの上限(50GB〜32TB、ホストあたり32ボリューム)

公開情報の補足として、9種類のうち最も新しいのは2026年7月21日に発表されたBM.Optimized3.36です。36 OCPUの低コア数構成でBYOL専用、初期提供リージョンには東京と大阪が含まれます。コア数を絞れるため、BYOLのライセンス費用を抑えたい日本のお客様にも現実的な選択肢です。

ライセンスはBYOLへ、VCFは5.2から9.1へ(ロードマップ)

ライセンスは、Broadcomの方針に合わせてOCVSにおいてはBYOL(Bring Your Own License)モデルに移行済みです。利用者が購入したVMware Cloud Foundation(VCF)のサブスクリプションをOCVSに持ち込み、OCIはインフラ分だけを請求する分離モデルです。公開情報で整理すると、Oracleは2026年1月21日に移行方針を発表、3月17日にBYOLを一般提供し、5月21日以降は新規SDDCと新規ホスト追加がBYOL必須になっています。

Latest OCVS Capabilities。BYOL、VCF 9.1(CY26 Q4目標、Memory Tiering、Simple/HA構成)、新コンピュートシェイプ

VMware側のバージョンは、現在のデフォルトがVCF 5.2で、VCF 9.1への対応を2026年第4四半期に目標としていることが示されました。セーフハーバーのもと「目標であり日程は変わりうる」と念を押しつつ、初期対応は新規SDDCが中心で既存SDDCの自動アップグレードではないこと、非本番向けのSimple構成と本番向けのHA構成を用意すること、ローカルNVMeを追加のメモリ階層として使うメモリティアリングに対応することが説明されました。

VCF 9.1自体は2026年5月にBroadcomから一般提供されており、メモリティアリングの強化はその目玉の一つです。またOracleのFAQでは、ライセンス込みのSDDCはVCF 9系へ移行できずBYOLが前提であること、BroadcomがVMware ESXi 8.xのサポート終了を2027年10月11日と告知していることが案内されています。

運用:管理アプライアンスとvSphereプラグイン、そして責任分界

運用においては、「タスクごとに新しいブラウザタブを開かずに済む」ことを狙ったOCVS管理アプライアンスとvSphereプラグインが紹介されました。アプライアンスはOCI上の軽量なインスタンスとして裏方で動き、プラグインがvSphereの画面からESXiホストの追加、OCI Block Volumesバックのデータストア作成、ホストメトリクスのOCI Monitoringへの送信を提供します。管理アプライアンスは2025年11月に一般提供済みです。

VMware Administration with OCI Context。顧客管理の運用と、vSphereプラグインの機能

印象的だったのは責任分界の話です。OCVSではソフトウェア運用を利用者が所有し、Oracleは物理インフラを管理します。「誰がキャパシティ追加を承認し、誰がVMware構成を検証し、誰がアプリケーションの健全性を確認するのか。最初に決めてランブックに書いておけば、移行中の多くの会話を省ける」と語られていました。

OCI隣接とAI:Continue・Connect・Enhance

後半の主題は、OCVS上のワークロードからOCIのサービス群に低遅延で接続できる「隣接性」の活かし方です。OCVSはOCIの仮想クラウドネットワーク(VCN)内にあります。例として、アプリケーション層をOCVSに残しデータベース層だけをAutonomous Databaseへ移すリファレンスアーキテクチャと、OCI Generative AIのプライベートエンドポイントをVMware上のアプリケーションから呼ぶ構成が挙げられました。

OCI Adjacency。顧客VCN(VLAN、DRG、OCIのID・セキュリティ制御)とOCIサービス(DB、分析、AI、クラウドネイティブ)の接続

進め方として示されたのがContinue・Connect・Enhanceの3段階です。

  1. Continue:VMwareアプリケーションは現行の運用モデルのままOCVSで稼働を続ける
  2. Connect:データ・遅延・セキュリティ要件が合うワークロードから、VCN経由でOCIサービスにつなぐ
  3. Enhance:全ワークロードを変えずに、効果の見込める業務にOCIのクラウドネイティブ/AIサービスを導入する

AI possibilities alongside VMware workloads。Continue・Connect・Enhanceの段階的アプローチ

具体例はカスタマーサポート業務でした。ケース管理アプリケーションはOCVS上で動かし続け、統合コンポーネントがOCIのAIサービスを呼び、担当者がケースを開く前に要約と関連ナレッジを提示する。こちらについてCarlton氏はAI活用におけるリスクについても考慮が必要と釘を刺し、移行前段階では権限制御とAIサービス停止時の業務継続も検証するよう勧めていました。

Customer Pace and Cloud Strategy。VMware環境とOCIネイティブ環境の共存。「ワークロードごとにペースを選ぶ」

質疑応答:落とし穴はストレージ設計、PoCは数日で

「あまりに簡単に見えるが、実際の課題は何か」という質問に、Carlton氏は移行方式の決定(ライブマイグレーションか、短時間停止を伴う移行か)とストレージの選択(ローカルNVMeなら障害時のクラスタ維持、Block Volumesなら性能設計)を挙げました。会場のOCVSチームの担当者からも、サポートへの相談で最も多いのがストレージ設計であると補足されました。

PoCについては、テナンシーが用意できていれば数日で検証を終えるお客様もいるとのこと。本番は3ノード以上が前提ですが、PoCやテスト用途ならDenseシェイプのシングルホストSDDCが使えることも案内されていました。

Oracle Cloud VMware Solution at a glance。VCF 9整合と顧客管理、スケール(最大15クラスタ、最大64ホスト)、セキュリティ、管理アプライアンス、ユースケース

おわりに

以上、「VMware + OCI: AI World of Possibilities」に現地参加してのセッションレポートをお届けしました。

派手な新発表はありませんでしたが、BYOLへの移行が完了した2026年のOCVSが「VMwareの移行先」から「VMware環境を保ったままOCIのデータベースやAIを使うための足場」へと位置づけを変えつつあることがよく分かる内容でした。インフラはOCIで、ライセンスは別途用意で、という分離が前提になり、議論の中心は「いくらで動くか」から「移した後に何をどの順番で変えるか」へ移っています。VCF 9.1対応の目標時期とESXi 8.xのサポート終了時期は、移行計画の具体的な目安になると感じました。

弊社でも、VMware基盤の更改期限とライセンス体系の変化に同時に直面しているお客様からのご相談が増えています。ライセンス計画とインフラ設計を切り分け、ストレージ設計と責任分界を最初に決めておく。そこを一緒に進めることによって急ぎの移行もスムーズに進められると感じました。

今後も引き続き、OCIのインフラとAIに関するセッションのレポートをお届けします。

最後までお読みいただきありがとうございました!