クラウドインテグレーション事業部の片山です。
2026年10月26日〜28日(現地時間)にラスベガスで開催中のイベント、Oracle AI World 2026に今年も現地参加しています。

昨夜(現地27日)は毎年恒例の「The Party」。今年はなんとゲストとしてMaroon 5が登場し、会場は大盛り上がりでした(私も役得に預かり楽しませてもらいました!)。
そして一夜明けて本日はいよいよ最終日です!最終日はセッションやHubでの展示が14時頃に終了するため、全体のセッション数等も前2日に比べると落ち着き気味でしたが、今日も朝早くから多くの参加者が会場に足を運んでいました。

今回は「AI-Driven Multicloud Management: What’s New and What’s Next」というセッションのレポートをお届けします。

セッション表紙スライド「AI-Driven Multicloud Management: What’s New and What’s Next」(登壇者Karl Dias氏)

セッション概要

本セッションは、オンプレミスと複数クラウドに散らばるOracle Databaseを「どの管理基盤で、AIをどう使って運用するか」というテーマで、Oracleの運用管理製品の現在地とロードマップを整理する45分のLearning Sessionです。登壇者はEnterprise Manager(EM)とOCIの監視・管理サービスを統括するOracleのKarl Dias氏(Senior Vice President, Enterprise and Cloud Manageability)です。

マルチクラウド上にOracle Databaseを「置く側」の話は会期前日のレポートに、本記事は「置いたあと、どう運用監視するか」にあたります。

セッション内容:Oracleデータベース運用管理の「2本柱」とAI戦略

1. 新サービス「Database Fleet Central」とEnterprise Managerの2本柱

Dias氏はまず、複数クラウドを使う組織がかなり増えてきている一方でAIエージェントのガバナンスが成熟した企業はまだかなり少ないという調査結果を示し、「サイロ化した管理基盤のままAIを載せても、分断された体験にしかならない」と課題を整理しました。

Oracleのデータベース運用管理は「Database Fleet Central(Oracle管理のクラウドサービス)」と「Enterprise Manager(顧客管理)」の2本柱

その上で示されたのが、Oracleのデータベース運用管理の2本柱です。

  1. Database Fleet Central(DB Central):今回新たに発表された、Oracleが運用するOCIのクラウドサービス。データベース管理と長期分析をマネージドで使いたい場合の選択肢
  2. Enterprise Manager(EM):従来からの顧客管理型の運用基盤。監視・管理・運用を自分たちで制御したい場合の選択肢

繰り返し強調されたのは「どちらかへの移行を強制しない」という点で、EMユーザーがDB Centralの長期分析を併用する組み合わせも想定されています。

2. Database Fleet Centralは「Database Management」と「Ops Insights」の統合

Database Fleet Centralの構成。Database Management(左)とOps Insights(右)を1つの新サービスに統合

Database Fleet Centralの正体は、現在OCIで提供されているOCI Database ManagementとOCI Ops Insightsを統合した新サービスです。「Database operations」が前者に、「Fleet optimization」(利用傾向の分析・キャパシティ予測・コスト最適化)が後者にあたり、Dias氏は「今後の旗艦となる監視・管理のクラウドサービス」と位置づけました。

Database Fleet Centralの「What’s new」(提供済み)と「What’s next」(ロードマップ)

提供済みの新機能としてAI Lakehouseのカタログ監視やDatabase Observability MCP Serverが、ロードマップとしてベクトル検索ワークロードの監視、エラーや性能問題を自動で分析するDiagnostics Assistant、SQLリグレッション検知、GoldenGate監視などが予告されました。

公開情報では、「提供済み」の機能は2026年9月のDatabase Managementの更新や、10月のOracleブログで紹介されたMCP Serverに対応します。一方、「Database Fleet Central」という名称は執筆時点でOracleのドキュメントには見当たらず、本セッションが初出と思われます。GoldenGate側の新発表は弊社今井のレポートをご覧ください。

3. Enterprise Manager 24aiの新機能と「13.5サポート終了」後の計画

EM 24ai AIOpsプラットフォームの新機能。斜体は近日提供予定

EM側は、1つのエージェントで多数のデータベースを監視するRemote Agentと、EMの計画停止中も監視が止まらないZero Downtimeが示され、近日提供予定の異常検知とRemote AgentのHA化が「特に注目してほしい2つ」として挙げられました。

データベース管理の新機能。Raftベースの分散データベース監視、ベクトル検索監視、AI SQL Analysis、SQLリグレッション検知など

データベース管理では、RaftベースのGlobally Distributed Databaseの監視(製品自体は弊社今井のレポートが詳しいです)、LLMでSQL実行を分析するAI SQL Analysis、重要SQLの劣化を検知するSQLリグレッション、パッチ推奨とクライアントドライバーの情報を一か所に集めたFleet Software Complianceが紹介されました。

EMのリリース計画。EM 13.5は2026年12月31日サポート終了、EM 24.2は2027年上期予定

リリース計画も明示されました。EM 13.5のサポートは2026年12月31日で終了、現行のEM 24.1はPremier Supportが2027年12月末、Extended Supportが2029年12月末まで、次版のEM 24.2は2027年上期の予定です。月次のRelease Updateは継続し、公開情報では8月のRU12でEM MCP Serverが追加されています。

4. AI戦略の4本柱:「AIは利用者の権限を超えない」

AI戦略の4本柱。AI Database Assistant、AI-Driven Insights、AI-Driven Workflows、MCP Server

AI戦略は4つの層で整理されました。

  • Oracle AI Database Assistant:EMとDB Centralを会話で操作し、回答は動的に生成したダッシュボードとして返る。EMではBring Your Own LLMも選べる
  • AI-Driven Insights:異常検知や、インシデント・性能・コンプライアンス・パッチ推奨を1つの数値に集約するDatabase Attention Scoreなどの組み込み分析
  • AI-Driven Workflows:やりたいことを伝えると実行計画(Runbook)をAIが生成する。「計画は必ず人がレビューし、自動では実行しない」
  • AI Extensibility(MCP Server):EMとDB Centralの双方にMCP Serverがあり、外部のMCPクライアントから運用データにアクセスできる

MCPアーキテクチャ。MCPクライアントからEnterprise Manager MCP ServerとDatabase Fleet Central MCP Serverを経由して運用データへ

この4層の土台がガバナンスです。Dias氏は「AIが行う分析も行動も、代理する利用者のロールと権限を決して超えない。必ず認証が必要で、監査が残る」と述べました。2026年8月27日のOracleブログでも、EM MCP ServerはEMの既存の認証・権限・監査がそのまま適用される読み取り中心の実装と説明されています。

5. デモ:Attention Scoreで絞り込み、AIに聞き、Runbookと分析で直す

Hybrid Multicloud Database Fleetダッシュボード。オンプレミス・OCI・Azureに分かれたフリートと、Database Attention Scoreの分布

デモは事前収録のEM 24ai画面で進みました。

  1. Hybrid Multicloud Database Fleetダッシュボードで、クラウド別のデータベース数とAttention Scoreの分布を確認する
  2. AI Database AssistantにUrgentなデータベースの要約を頼むと、「重大インシデント由来」と「ソフトウェアコンプライアンス由来」に分類して返ってくる
  3. 「エージェント到達不能」のインシデントにはRunbookが自動で紐付き、ステップを順に実行する
  4. 「SQL応答時間の劣化」は、会話からSQL Monitoring画面へ遷移し、AI SQL Analysisで実行計画の問題と、拡張統計を作るスクリプトとUndoスクリプトを得る
  5. コンプライアンス由来の問題はFleet Software Complianceダッシュボードで、データベース・Grid Infrastructure・クライアントドライバーの3つの切り口から確認する

AI SQL Analysisの結果。エンジン由来の所見(AIなし)と、AIによる拡張統計の作成・ロールバックスクリプトの提示

Fleet Software Complianceの「Clients Drivers and Libraries」タブ。ODP.NET・JDBC・node-oracledbなどドライバーごとの準拠状況と接続先DB数・ホスト数・セッション数

個人的に気になったのは、クライアントドライバー追跡です。「これまでEMには、誰がどのバージョンのJDBCやODP.NETで接続しているかの可視性がなかった」としたうえで、接続元ホスト単位で準拠状況が一覧になる画面は、古いクライアントが残りがちな現場で実用的だと感じました。統制を「作る」側は前日のOCI Landing Zonesのレポートもご覧ください。

おわりに

以上、「AI-Driven Multicloud Management: What’s New and What’s Next」に現地参加してのセッションレポートをお届けしました。

まとめスライド「Three takeaways to remember」。Database Fleet CentralとEnterprise Managerの使い分けと「Independently Powerful | Better Together」

本セッションを通して感じたのは、Oracleのデータベース運用管理が「OCI側はマネージドサービスに集約し、オンプレミス側はEMに投資を続ける」という2本柱に整理されつつあることです。AIは別製品として足されるのではなく、会話・優先順位付け・人が承認する自動化・外部エージェントへの開放という4層で両製品に組み込まれ、そのすべてが「利用者の権限を超えない」という一点で貫かれていました。

マルチクラウド支援を行う立場としては、EMに加えてDatabase Fleet Centralが登場したことで「Oracle管理のサービスで見る」か「EMで自分たちで見る」かの選択肢が生まれたことを意識し、提案を行っていきたいと思いました。どちらを選ぶかはオンプレミスの資産量、運用体制、長期分析の必要性で変わるため、両方を理解したうえで顧客ごとの判断軸を示していきたいと考えています。

3日間の現地レポートは今回で一区切りですが、帰国後も後追いで記事をアップしていく予定です。もしよければそちらも是非ご覧ください!

最後までお読みいただきありがとうございました!