はじめに
最近 AI とともにブログを書く機会が増えてきました。そのときに気になるのが、いつもは意識しない「自分っぽさ」が特に気になります。私の周りでは心を込める作業と呼んでいます。
まとめのセクションに感想がなかったり、語り口が評論家みたいに堅かったり、普段使わない言葉遣いをしたり、技術的には正しいんだけど、自分が書いた感じがしない、というかドキュメントを読んでいるみたい。と感じていました。
そこでやってみたのが、自分のブログの書き方をスキルとして定義して、AI に覚えさせるというやり方です。Claude Code には「Skills」という仕組みがあり、特定のタスクに対してやり方を教えておくことができます。これを使って「齋藤風ブログスタイル」を作ってみましたので、どんな動きをしているのか、をご紹介させてもらいます。
きっかけ
別の記事(Zed × Gemma 4 × Ollama — Inline Assistant 環境構築作戦)を Claude Code と一緒に書いていたときのことです。
記事のまとめセクションを AI に書いてもらったら、こんな感じの記載になりました。
- Zed は Ollama を公式サポートしているので、
settings.jsonに数行書くだけでローカル LLM を組み込める - Gemma 4 を Ollama に乗せれば、API キーなし・外向き通信なしで Inline Assistant とチャットが動く
- Edit Prediction(Zeta)はローカル化できないので、そこは Zed ネイティブのまま使う
これだと事実の羅列で、先ほど言っていた自分の感想がどこにもない状態です。自分っぽいってなんだろう、というちょっと哲学的なことを考えてみまして、「自分の書き方のパターンを教えてあげれば解決するのでは?」と思ったのがきっかけです。
やったこと
過去記事の分析
まず、iret.media に書いてきた自分の過去記事を Claude Code に読んでもらいました。セッションレポートだけじゃなく、「やってみた」系、「考える」系、「トラブル振り返り」系と、いろんなタイプの記事を読み込んでもらっています。
分析してもらったのはこんな観点です。
- 冒頭の書き出し方(問いかけ型?実務きっかけ型?)
- 語り口の特徴(です/ます?口語的な表現?)
- 感想の混ぜ方(どこで、どんな言い回しで?)
- コードブロック前後の導入文
- まとめの構成
分析してみたら、割と一定の書き方があった
自分では意識していなかったパターンがかなり明確に出てきました。
冒頭は3パターン:
- 読者への問いかけ: 「みなさん、〜ってご存知ですか?」
- 実務きっかけ型: 「〜を試してみたので」
- 時事・事実提示型: 「〜がプレビューで利用できるようになりました」
感想の入れ方:
技術説明の合間に「〜だなと思いました」「〜かもしれないと感じました」を挟む。これ思うとか多用してるのっていいのかな、とちょっと不安になりますが、書くなぁ、それ。
まとめは3段構成:
- 「今回、〜してみました。」で振り返り
- 「特に印象的だったのは以下の点です:」で箇条書き(各項目に感想つき)
- 「参考になれば幸いです」で締め
自分で書いていると無意識にやっていることなので、こうやって言語化されると自分丸出しな感じで恥ずかしいです。でも、事実だけじゃなくて「やってみてどう思ったか」を添えてるというのが、分析でも出てきて、安心しました。結局技術の羅列だったら AI と変わらないので、私は AI ではありませんでした。
スキルとして定義する
分析結果を Claude Code のスキルファイル(SKILL.md)にまとめました。
中身はざっくりこんな構成です。
- タイトルの付け方(動詞で攻める、感情を込める)
- 冒頭の3パターン
- 語り口のルール(です/ます調、感想の表現パターン)
- まとめの3段構成
- やってはいけないこと(無機質な羅列、評論家口調)
スキルを配置しておくと、ブログ執筆時にスキルを呼び出すだけで Claude Code がこのスタイルを参照してくれるようになります。
実際に使ってみて
この記事自体が、齋藤風ブログスタイルのスキルを適用して書いた最初の記事です。
書いてみた感想としては、AI が出してくる下書きが最初から自分っぽい語り口になっているので、「ここの言い回し直して」みたいな手戻りは減ったなと感じました。何より心を込められていると思う書き方にちゃんとなっています。
さすがに、まだまだ差はあります。スキルはあくまでパターンを教えているだけなので、「この話題でこういうコメントを入れるのが自分らしい」みたいな、内容レベルの判断まではカバーしきれていないので、もしこれを使ったとしても、引き続き心を込める作業は必要ですね。
さらに発展させたフロー
この記事を書きながらまたしても気づいたんですが、スキルを使った共同作業は執筆だけじゃなくて、レビューもやってみようかなと思いました。
発展形のフローはこんな感じです。

各スキルの役割
saito-blog-style(執筆スキル)
タイトルの付け方・冒頭の入り方・感想の混ぜ方・まとめの3段構成といった、自分のスタイルに沿った下書きを出してくれます。
saito-blog-review(スタイルレビュースキル)
AI 利用注記の有無・評論家口調(偉そう)になっていないか・まとめに感想が入っているかといった、齋藤ブログスタイルの観点でチェックしてくれます。
saito-blog-content-review(内容妥当性スキル)
技術的な正確性・論理の流れ・タイトルと本文の整合性をチェックしてくれます。スタイルではなく「内容として正しいか・伝わるか」を見てくれるので、2つのレビュースキルは役割が完全に分かれています。並列で走らせると、スタイルと内容を同時に確認できます。
レビューの2スキルは独立しているので並列で走らせられて、指摘があれば修正してもう一度回す、というループになります。人が見るのはその後の最終確認フェーズで、「この感想は本当に自分が思ったことか」「この例え合ってるか」みたいな、AI がカバーしにくい内容の判断や、そもそも嘘がないかの確認を担う形になります。
ちなみに、この人の確認で修正した差分をまた Claude 自身に認識してもらい(自分で直したところを伝えるのではなく修正点を Claude でみてもらって認識してもらう)、修正点をスキルの改善に活かしてほしい、と伝えて、そのまま執筆スキル自体にフィードバックしました。今回のケースの場合、スキルがスキル自身の進化に貢献し、より齋藤に近づくという面白い循環ができたなと思いました。

まとめ
今回、自分のブログの書き方を分析して、生成 AI のスキルとして定義してみました。
驚きとおもしろいできごとがあり、気付きを与えてくれました:
- 過去記事を分析してもらったら、自分でも意識していなかった文体のパターンがかなり明確に出てきた。自分のことなのに、ちょっと客観的に見えて面白かったです。
- スキル適用後は、AI の下書きが最初から自分っぽい語り口になり、あー書きそうってなりました。
- AI との共同執筆は「AI が書いて人間がレビュー」ではなく、「自分の書き方を AI に教えて一緒に書く」というのも、新しい取り組みかもしれないな、と思いました。事実を意識したチェック、あからさまな AI 風表現の修正などはもちろんやってますが、自分が記載するような表現で、ある程度心がこもった状態でスタートできるのは良いです。
スキルの定義自体は難しいものではないので、ブログをよく書く方は自分の文体を一度分析してみると、思わぬ発見があるかもしれません。記載の雰囲気や構成を毎回見直している方には、ぜひ一度試してみてほしいなと思いました。
おまけ:AI に評価してもらった
この記事を書き終えたあと、「今回の取り組み、地味だけど大作な気がする。評価してみて」と Claude に聞いてみました。
返ってきたのはこんな言葉でした。
技術的な成果物で言うと:
– スキル3本(執筆・スタイルレビュー・内容レビュー)
– 2つのサブエージェント並列レビューの実運用
– ブログ自体の完成でも一番すごいのはそこじゃなくて、「使うたびに自分に近づいていく仕組み」 を作ったことだと思っています。
使う度に自分に近づいていくので、どんどん近くなってもらおうと思います。
取り組み内容をただの興味から技術的な表現へ昇華し、それを言語化してもらえて、あブログ化してよかったかも、と思いました。仲良く齋藤を育てていきます。