はじめに

エンタープライズクラウド事業部の高橋です。

Oracle AI World 2026にて、「Stay Current, Reduce Risk: What’s New in Exadata Database Service Maintenance [LRN6060]」のセッションに参加しましたので、その内容を紹介します。

セッション概要

As cyber threats become more sophisticated, keeping database software current is essential for reducing security and operational risk. Learn what’s new in Oracle Exadata Database Service software maintenance, including recent enhancements that help teams plan and automate software updates across the stack, reduce operational risk, and keep environments current. Gain a clearer understanding of available maintenance options, current Exadata Database Service capabilities, and practical best practices for keeping systems secure and up to date.

サイバー脅威がより高度化する中、データベースソフトウェアを最新の状態に保つことは、セキュリティリスクと運用リスクの両方を低減するために欠かせません。本セッションでは、Oracle Exadata Database Serviceのソフトウェアメンテナンスに関する最新情報として、スタック全体のソフトウェア更新を計画・自動化し、運用リスクを低減しながら環境を最新に保つための機能強化を紹介します。利用可能なメンテナンスオプションやExadata Database Serviceの現在の機能、システムを安全かつ最新の状態に保つための実践的なベストプラクティスについて、理解を深めることができます。

セッション内容

本セッションは、AIによるサイバー脅威の高度化を背景に、Exadataのソフトウェア更新をより速く・より確実に回す必要性が高まる中で、利用者がインフラの一部に関与できる裁量を保ちながら、セキュリティ対応と大規模運用の自動化を両立させるための機能群を紹介する、というセッションでした。

ソフトウェア更新の責任分担モデル

おなじみの通り、Exadataインフラストラクチャ(データベースサーバー・ストレージサーバー・ネットワークスイッチ等)はOracleが管理・更新し、VM内のゲストOS・Exadataシステムソフトウェア・データベース・GIは利用者の責任範囲という分担です。

本セッションもこの前提のもと、各層の更新方法を説明していく構成でした。

インフラストラクチャ層の更新

Oracleが管理するインフラストラクチャの更新には、2種類のサイクルがあります。

  • 月次のセキュリティ更新:データベースサーバーはオンラインで(再起動なしで)更新され、ストレージサーバーは1台ずつローリングで更新されます。
  • 四半期ごとのメンテナンス(Quarterly Maintenance Run):インフラ全体を対象に、ローリング再起動方式でダウンタイムなく更新します。

どちらのサイクルも、ローリング/非ローリングの方式選択や、更新を実施する曜日・週(例:第4金曜日など)を利用者側で指定できる、スケジュールの柔軟性が確保されている点が説明されていました。

ゲストVM・データベース/GI層の更新

ゲストOSとExadataシステムソフトウェアは、毎月リリースされ、利用者が更新のタイミングを選択します。更新対象はセキュリティ修正のみに絞ることも可能です。

セッション時点のExadataシステムソフトウェアはOracle Linux 8ベースの25.x/26.1系が中心で、今後数か月でOracle Linux 9ベースの新しいメジャーリリースが提供される予定とのことでした。

データベースとGIについては、四半期ごとのRelease Update(RU)に加えて、セキュリティニーズを背景に重視され始めているMonthly Recommended Patch(MRP)が毎月提供されます。

MRPは、通常の製品修正とセキュリティ修正(Critical Security Patch Update、CSPU)を組み合わせたパッチです。

CSPUは、従来の四半期ごとのCritical Patch Updateに加えて、Oracle公式ブログによると2026年5月28日から新たに開始された仕組みで、MRPはこのCSPUを取り込む形の運用となっています。

個人的には、製品修正とセキュリティ修正を1つのMRPにまとめて毎月配布する仕組みは、案件ごとに個別パッチを選定する手間を減らせる点で、実務上の使い勝手が良さそうだと感じました。

セキュリティを最新に保つための機能

登壇者は、AIによって脆弱性の発見が加速しており、ソフトウェアをより頻繁に更新する必要性を強調していました。

これを受けて、VM層(ゲストOS・Exadataシステムソフトウェア)向けに提供されているのがExadata Live Updateです。再起動が不要な修正をオンラインで適用できる機能で、「CVSSスコア7〜10の重要な修正のみ」「CVSSスコア1〜10の全修正」「セキュリティ修正に加えて製品更新も含める」といった適用範囲を、利用者が選択できます。

再起動が必要な修正が含まれる場合は、その分だけ「保留中の更新」として通知され、利用者の都合の良いタイミングで再起動を行うことで、残りの修正が適用される仕組みです。

重要度に応じてオンライン適用の範囲を細かく選べるExadata Live Updateは、ダウンタイムを許容しにくい案件でのセキュリティ対応力を高める上で、実際に使える機能だと感じました。

フリート規模での自動化

複数のExadata環境を運用する際の自動化として、「Exadata Fleet Update」(更新対象をグループ化するCollectionと、事前チェック・ステージング・適用・リトライ/ロールバックを実行するMaintenance Cycle)、ゲストOSとGIの更新を1つの処理にまとめるスタック更新(データベースとの統合は今後提供予定)、そして更新の実行自体をOracleに委任できるOracle Managed Database Software Updates(現時点ではデータベースで利用可能)が紹介されました。

Collection・Maintenance Cycle・Oracle Managed Database Software Updatesといった仕組みは、多数のExadata環境を抱える案件で更新作業を標準化・省力化する上で、そのまま提案に使えそうな実用的な機能だと感じました。

ExaDBインフラメンテナンスの運用パターン・ベストプラクティス

Oracleが複数の顧客とのやり取りを通じて蓄積してきた、インフラ(Oracle管理層)のメンテナンス計画に関する一般的な運用パターンとして、以下が紹介されました。

  1. 年間を通じて同じメンテナンス時間帯に固定する戦略:データベースサーバーについて、毎月決まった曜日・時間帯(例:第4金曜日)を1つだけ「メンテナンスウィンドウ」として年間固定し、その時間帯に月次セキュリティ更新(SMR)と四半期更新(QMR)の両方をまとめて実施します。四半期更新がある月は、同じ時間帯の中で、まず四半期分のバンドルを適用し、その後に当月分のセキュリティ差分を適用する、という順序です。第4金曜日はテスト環境での早期検証に向いたタイミングとして紹介され、そこから数週間かけて他の環境へ展開していく流れも説明されていました。ストレージサーバーについても別の固定時間帯(例:第4土曜日)を用意しますが、ストレージは基本的に常にローリング方式で適用され、SMRとQMRのうちバージョンの新しい方が自動的に選ばれる(通常はSMRが優先、メジャーバージョンが切り替わる場合のみQMRが優先)という点がデータベースサーバーとの違いとして紹介されました。
  2. 分割ウィンドウ方式:クラスタ内のラックから可用性に影響しない形で1台ずつVMを選び、更新を2つの時間帯に分割する方式です。1つ目の時間帯では事前チェックを行った上で複数のVMをまとめて(非ローリング方式で)更新することで全体の所要時間を短縮し、その後の追加モニタリングを経て、残りのVMの更新は別の時間帯でスケジュールする方法です。

年間固定ウィンドウや分割ウィンドウといった運用パターンは、顧客ごとのメンテナンス要件に合わせた提案を行う際に、そのまま参考にできる具体的なノウハウだと感じました。

まとめ

本セッションから、OracleがExadata Database Serviceにおいて、インフラ層はOracleが責任を持ちつつ、ゲストOS・データベース・GIについては利用者が主導権を持てるという役割分担を維持しながら、更新の自動化とセキュリティ対応のスピードを高めていく方向性を学べました。

特に、AIによる脆弱性発見の加速を背景に、オンラインで適用できるExadata Live Updateや、フリート規模でのCollection/Maintenance Cycleによる自動化、Oracle Managed Database Software Updatesといった「利用者の手間を減らしつつ、制御は手放さない」仕組みが複数用意されている点が印象的でした。

インフラ・VM・データベースという複数の層にまたがる更新を、いかに安全かつ短時間で回していくかという課題に対して、スケジュールの柔軟性と自動化の両方を用意している点は、エンタープライズ規模でのソフトウェア更新を検討する際の参考になるセッションでした。