アイレットに入社してからVMware Cloud on AWSに初めて触れ、オンプレミス環境で長く親しんだVMwareのアーキテクチャがクラウド環境でも使える!と感動したのをきっかけに入社以来VMware Cloud on AWSの導入に関わってきました。
様々なクラウドネイティブが台頭している昨今、私のようなオンプレミスごりごりでやってきたインフラエンジニアは実家のような安心感がVMware Cloud on AWSにあります。
振り返れば私が初めてVMwareを触ったのはESXi 4.0の時代でした。
昔はVMware ESXとVMware ESXiと製品が別れており、ESXiは無償で利用することが出来ました。
当時はサーバの動作検証などは物理サーバをメーカーから借りてOSをインストール、複数台必要な場合は複数台並べて、OSインストールして、設定して、LANケーブル結線して、、、、ってのが当たり前だったので1台の物理サーバに複数のOSが稼働できる。というのが衝撃的かつ革新的な仕組みだと感動したのを今でも覚えています。
検証環境の構築時間の短縮やリソースの有効活用が出来たのでかなり有り難かったです。
ESXi 5.0時代以降はお客様からのご要望も多くなってVMware環境の構築案件も多くなり、1物理サーバ、1OSの時代と比べてハード障害で夜間に駆けつけ対応する機会も減ってQOLも上がりました。
以降Hyper-VやNutanixなども導入してきてOpenStackなども触りつつAWSと出会い、クラウドに興味が出てアイレットに転職したのですが、まさかクラウド専業のアイレットでVMwareに再会するとは思いもよらなかったです。
前置きが長くなりましたが、本記事ではオンプレミスからVMwareを触ってきたインフラエンジニアがクラウド環境でVMware環境が構築できるVMware Cloud on AWSのすごいと思ったところを紹介したいと思います。
環境構築時間の速さ
まずびっくりしたのが環境構築にかかる時間です。
SDDCの構築、クラスターの構築、vCenter、NSX、vSANの構築がホスト台数によって変動しますが2台ホスト構成であれば約2時間で構築が出来ます。
オンプレミスだとサイジングしてハード手配、スイッチなど設定、ストレージ設定、各種ラッキング及び結線、ESXiをインストールして・・・など多くの作業と時間が必要になりますが、VMware Cloud on AWSだとコンソールをポチポチするだけでVMware環境の構築がすぐに出来ます!
EC2を初めて触った時にこんなにも簡単でサーバを構築出来るのか、という感動がありましたがVMware Cloud on AWSはそれ以上の感動がありました。
ESXiのインストールなどだけならまだしもNSXやvSANもこんな短時間かつ簡単に構築出来るとは・・・。と皆さんも思うはず。
マネージドの範囲
VMware Cloud on AWSはベアメタルインスタンスを使ってクラスターが構成されていますが、通常のEC2と違いほとんどがマネージドサービスで提供されます。
AWSアカウントも専用に準備がされ、ユーザは自動的にデプロイされたvCenter、SDDCの管理コンソールを使って仮想マシンの立ち上げや各種FWの設定を行うだけで利用が可能です。
ESXiもvCenterもNSXもvSANもオンプレミス環境とのL2延伸や移行をサポートするHCXなどすべてマネージドで提供されます。
各種ログ解析のサービス(VMware Aria Operations for Logs)もマネージドで提供がされますのでシスログサーバを準備する必要もありません。
オンプレミス環境だと面倒だったESXiなどのアップデートもすべてマネージドで行われるため運用も非常に楽です。
障害時も自動的にEC2の入替えが行われますのでハードウェア周りの運用に悩まされている方に非常におすすめです。
可用性の高さ
オンプレミス環境でもHA構成なので可用性は高いですが、VMware Cloud on AWSの場合はマルチAZのHA構成(ストレッチクラスタ)が組めます。
マルチAZの場合はSLAは99.99%保証です。
オンプレミスでも複数のDCでクラスター構成も可能ですが、低レイテンシーを実現するためには莫大な投資が必要になります。
VMware Cloud on AWSはAWS側で低レイテンシーのインフラを提供してくれるのでユーザはシングルAZかマルチAZを選ぶだけで利用が出来ます。
マルチAZ構成でもホスト障害時には仮想マシンのダウンは発生してしまいますが、正常なホストで再起動が瞬時に行われますので数分のダウンで復帰が可能です。
ホスト障害には障害ホストの切り離し、正常なホストをクラスターに追加され、クラスターが正常な状態に戻ります。
Direct Connectの冗長化、VPNをバックアップ回線に準備も出来ますのでオンプレミスとの接続も高可用性を担保できます。
マルチリージョンのDR構成も別途有償のオプションとなりますがVMware Cloud Disaster Recovery(VCDR)を使うことで可能となります。
参考資料:VMware Cloud on AWS の可⽤性(AWS Black Belt Online Seminar)
AZ間通信量が無料
VMware Cloud on AWSは通常のAWSサービスと通信料の考え方、単価が違います。
特記すべきはAZ間の通信料が無料という事です。
マルチAZ構成の場合、vMotionなどでAZ間のデータ転送量がかなり多くなるため通信料無料は非常にありがたいです。
引用: https://www.gilles.cloud/2018/06/understanding-vmware-cloud-on-aws.html
参考資料:VMware Cloud on AWS Egress Estimate Guide
障害時の復旧速度
VMware Cloud on AWSで稼働するホストはEC2のベアメタルインスタンスで稼働してますのでEC2障害の場合はホストダウンは発生します。
通常のEC2であればハード障害時は自動的に正常に稼働しているサーバで起動するように対処が行われますが、VMware Cloud on AWSの場合は障害ホストをクラスターから切り離し、新たなホストを追加が必要となります。
オンプレミス、クラウド環境関係なくホスト障害時は正常なホストで仮想マシンが起動し直されるため数分で仮想マシンは復旧可能です。
ただし、オンプレミスの場合は障害時にはハードの修理手配など復旧までに時間を要してしまうため縮退構成のまま数時間または数日稼働せざる負えなくなります。
VMware Cloud on AWSの場合は障害時からホストの入替え作業が自動的に開始され、約20分〜30分でホストの入替えが完了し、クラスターが正常な状態に戻ります。
ホストの切り離し、クラスターへの追加、vSANの再構成などすべて自動で行われ、かつ短時間で完全復旧するといった点には感動しました。
ネイティブAWSサービスとの連携
VMware Cloud on AWSの大きなメリットの一つですが、ネイティブAWSサービスと連携が容易な点がすごいです。
ELBを用いて仮想マシンを外部公開したり、RDSなどに仮想マシンからデータを格納したりとネイティブAWSサービスを余すこと無く活用できます。
ネイティブAWSサービスとはENIを用いて接続ができ、帯域も25Gbpsで通信が可能なため、低レイテンシーな通信が可能です。
通信料も無料なのが非常にありがたいです。
Amazon FSx for NetApp ONTAPをNFSデータストア領域として利用も出来るのでディスク容量枯渇にも柔軟に対応が出来ます。
L2延伸が可能
ネイティブAWS環境とオンプレミス環境でL2延伸は出来ませんがVMware Cloud on AWSを使うとL2延伸が可能となります。
オンプレミスのVMware環境の要件やネットワーク通信要件など複雑にはなりがちですが、L2延伸を行うことでIPアドレスを変更せずクラウド移行が可能となりますので非破壊的なアプリケーション移行も容易となり、アプリケーション担当者の方は大助かりだとお思います。
仮想マシンの外部公開が可能
クラウドサービスですので出来て当たり前かもしれませんが、VMware Cloud on AWSは仮想マシンを直接外部公開(NAT)が可能です。
ELBと連携して外部公開も可能ですが、VMware Cloud on AWSのNSX機能を用いて特定ポートだけNATして公開も出来ますので要件に合わせて柔軟に対応出来ます。
まとめ
VMware Cloud on AWSはハイブリッドクラウド環境を容易に構築ができ、オンプレミスからのマイグレーションもアーキテクチャを変えずに行なえます。
オンプレミスVMware環境でハードウェア管理の運用負荷が高い場合は全面的にVMware Cloud on AWSに移行することでハードウェアの管理が不要となり、運用負荷の軽減が出来ます。
昨今はクラウドファーストの動きが加速しているため、ネイティブAWSサービスと低レイテンシーで接続が必要という要求、要件も出てくると思いますのでオンプレミスのVMware環境もまるっとクラウド化出来るVMware Cloud on AWSは非常にありがたいサービスです。
VMware環境のリプレース検討時には是非VMware Cloud on AWSを比較検討してください。
VMware Cloud on AWSの概要を説明した動画も公開しておりますので是非御覧ください。