クラウドインテグレーション事業部 橘 です。
AWS re:Invent 2023 現地セッションについて記載します。 アーキテクチャから考えるマイグレーション/モダナイゼーションについて、Adidas社、Petronas Dagital社の事例を踏まえた内容となっています。
概要
エンタープライズにおけるアーキテクトは、テクノロジーやソリューションだけではなくシステム全体を考慮して、アーキテクチャに対して総合的なアプローチを採用することがクラウド移行においては重要であることを強調されていました。その過程で収益を生み出すアプリケーションを特定し、企業全体の組織的な能力や組織として持つ他社より優位な強みをマッピングすることが移行プロセスにおける意思決定を促進することに効果的なアプローチであると説かれていました。
また、上記のマッピングに加えて、アーキテクチャ、プロセス、人材、テクノロジーの側面に焦点を当て、移行とモダナイゼーションの過程全体を通じて関係者を巻き込む必要性が説明されていました。
結果として AWS における移行、モダナイゼーションは提供されたツール群の活用を踏まえ移行プロセスとして知られる7Rsのいずれかに80%のものは当てはまることも説明されていました。(20%が気になりました)
セッション詳細
セッションコード:ENT236
セッションタイプ:Breakout Session
セッションレベル:200 – 中級者向け
講演場所:MGM Grand | Level 1 | Grand 120
講演日時:11/26 10:00 AM – 11:00 AM (PST)
スピーカー:Ahmed Jamal Khan ( Petronas Digital ), Daniel Eichten ( Adidas ), Sibu Kutty
セッション内容
移行/モダナイゼーションの戦略においては、企業自体のビジネス面での能力、弱み強みを踏まえて、かつ所有するテクノロジー、人材を整理した上で企業に合わせた計画が必要であることが説明されていました。新しいテクノロジーを統合することの複雑さと、イノベーションとエンゲージメントの文化を促進することの重要性について話されており、IT 移行における経営陣のスポンサーシップの重要性についても強調されていました。
Adidas社の移行事例の紹介
Adidas の名前の由来が、A(all)、D(dream)、I(I)、A(about)、S(sneakers)だと信じているという話から始まり、7Rs を検討する中でブランドの買収や市場動向等のビジネスの多くの要因によってシステムの重複も発生し、単純な rehost や retain だけでは解決できない課題に直面したという話がありました。
プロダクトごとの IT 状況を5つの領域 (消費者/顧客エクスペリエンス、ブランド、製造/提供、ビジネス管理、有効化) とその現状を説明。柔軟性を維持してローカルアプリケーションを移行することを目的として移行ユースケースについて説明されていました。
データセンター閉鎖について
顧客向けアプリケーションの最適化について
当然ながらソリューション全体の再構築できることがベストだけれども、通常はそれが可能なシステムではないことも多々あり費用もかかる。アプリケーションとその環境のライフサイクルを評価して、SaaS オプションなどの既存のアプリケーションの代替案も検討し、移行と最新化のための予算、スキル、法的要件を評価すること、それらを廃止できるか保持できるかを総合的に判断することの重要性について強調して説かれていました。
アーキテクトとクラウド専門家からなるチームを例に挙げ、クラウドコンピューティングで成功を収めるための人的リソースとコラボレーションの重要性に関して、知識を共有し互いに学び、デジタルグループやオフショア業務全体にわたり包括的に多様性を促進するコミュニティの必要性を強調されていました。
Petronas Digital社の移行事例の紹介
アーキテクチャおよびクラウド部門の責任者であるハン アーメド ジャマル氏がマレーシアのクラウドへの取り組みとデジタル変革について話されていました。
新しい働き方に適応し、持続可能な方法でエネルギー転換を達成することの重要性について、クラウドファーストのアプローチ採用や IT コストの50%削減など、同社のデジタル変革戦略を強調して語られていました。
オープンソース活用の重要性についても説明がありました。
結果的に当初予定の35のアプリケーションから87へモダナイズ可能なアプリケーションを洗い出し、ライセンス費用の削減もあり5年間でほぼ420万ドルのコスト削減を達成したことについて説明がありました。
全体を通して
我々も移行支援を行なわせていただくことが多くありますが、その中でも既存 IT 資産の整理と次期 IT 基盤の将来像、そこに至る過程には頭を悩ますことが多くあります。今後どう使われるか、どう使えるとより効果的なのかといった観点をより意識することの重要性を感じました。