Adobe Fireflyとは

アドビ社が開発した画像生成AIを活用して、テキスト(プロンプト)を入力するだけで写真やイラストなど自動生成してくれるサービスです。2023年3月20日にBeta版が公開され、2023年9月にベータ版から正式版へ移行されました。プロンプトは日本語を含め100以上の言語に対応しています。

Fireflyは単体でももちろん使えますが、Photoshopでは生成塗りつぶしと生成拡張、Illustratorではベクターデータを作成などの機能を使うことができます。

こんなことが簡単にできます。

他の画像生成AIとの違い

従来の画像生成AIは、無数の画像を学習元としているため学習元画像との著作権関係が曖昧でしたが、Adobe FireflyはAdobeのストックフォトサービスであるAdobe Stockの画像、オープンライセンスのコンテンツ、パブリックドメイン(知的財産権が消滅、または無し)の画像を学習元とすることで著作権に配慮された画像ができることが一番の特徴です。
また生成された画像は商用利用が可能です。安全に商用利用できるよう設計されているのが凄いところです。

料金体系

Adobeアカウントの契約プランによって月毎の生成クレジット数が異なります。生成クレジット数の分だけ「生成」ボタンを押すことができます。
・Fireflyプレミアムプラン:100回
・Creative Cloud コンプリートプラン:1000回
・無料プラン:25回 など

有料プランの場合はクレジットを使い切ってしまったとしても、生成速度が落ちた状態で利用可能です。
一度の「生成」で思い通りのものが出力されることは稀なので、無料プランの25回だとすぐに使い切ってしまいます・・。

Firefly × Photoshop

今回はFirefly × Photoshopの機能である、生成塗りつぶしと生成拡張を試してみました。

生成拡張

切り抜きツールでキャンバスを拡張して「生成拡張」ボタンを押すと、元の画像のテイストに合わせて背景が生成されます。
「この画像を使いたいけれど、解像度が足りない・・」という時に役立ちそうです!

生成塗りつぶし

グラスとクロワッサンとスプーンは生成削除を行っています。消したいものを選択範囲で囲み、プロンプトを入れずに生成ボタンを押すと、背景に合わせて塗りつぶしをしてくれます。
手作業で消そうとすると大変な工程が数十秒で終わり、かなり自然に塗りつぶしてくれます。凄い!

また、クッキーを置きたい場所を選択範囲で囲み、「白いお皿にのったクッキー」というプロンプトを入力して生成ボタンを押すと、条件に合ったオブジェクトの生成ができます。

バリエーションは3パターン表示されるので、その中からイメージに合ったものを選ぶことができます。うまくいかなかった場合は再度生成ボタンを押すとさらに3パターン出力されます。

プロンプトと生成される画像について

ちなみに生成塗りつぶしで、本当はクッキーではなくショートケーキを配置したかったのですが、「ケーキ」や「ショートケーキ」などのプロンプトを何度入力してもそれらしきものは生成されませんでした。日本人がイメージするスポンジと生クリームといちごのショートケーキは日本独自のものなので、学習元の画像があまり無いためかもしれません。
また英語で入力する方が情報量が多いためか精度が高いものが出力されるという印象があります。

プロンプト入力のコツは 効果的なプロンプトを記述する が参考になります。
具体的に、説明的に、オリジナルに、共感的に、わかりやすいキーワードを取り入れて入力することが大事なようです。

2024年4月リリースの Photoshop(Beta)デスクトップ版 25.9 では、参照画像を使用したバリエーションの生成、背景を生成などの新しい機能が追加され、出力をさらに細かく制御することができるようになりました。

このBeta版で現行製品版と同じく「白いお皿にのったショートケーキ」というプロンプトで生成してみたところ、相変わらずショートケーキはできませんでしたが、「ケーキ」と呼べるものが高確率で出力されるようになり、よりリアルで高品質になっているのを実感しました。精度の進化は日進月歩です。

現行版 ケーキではない何かもある

beta版 欧米風のものが多いけれど、ちゃんとケーキが出力される。お皿のクオリティも上がっている

画像生成AIとの付き合い方

まだまだ生成されたものをそのまま使えない場合も多くありますが、手作業で一から作るよりもAIに作ってもらったものに手を加える方が圧倒的に時間短縮になると実感しました。
アドビ社はAdobe Fireflyを 探求、制作スピードを加速させるクリエイティブな副操縦士(コパイロット)を提供と発表しています。
これだけクオリティの高いものを短時間で生み出せるAIに人間の仕事が取られてしまうのでは、という心配もありますが、指示を出すのはあくまでも人間なので「クリエイティブの仕事の仕方が変わる」と考えた方が良いのかなと思います。
的確な指示を出して、うまくAIを使いこなせる技術が今後必要になってくるのではないでしょうか。

出典・参考記事
https://www.adobe.com/jp/products/firefly.html
https://321web.link/generative-fill/
https://photoshopvip.net/151304