はじめに
アイレット株式会社 クラウドインテグレーション事業部 CSMセクションの言上です。
引き続き、8/1-8/2にパシフィコ横浜で開催されているGoogle Cloud Next Tokyo ’24に参加しています。
1日目のセッションである、東芝テック株式会社様の「東芝テックが取り組む生成 AI を活用したクーポン配信最適化」を拝聴しましたので、その内容をまとめます。
参加の経緯
東芝テック様のクーポン発行サービスは以前より知っていましたが、そのクーポン発行システムでどのように生成AIを活用しているのか?が気になり、拝聴させていただきました。
東芝テック様のAI活用方法
私はクーポン事情に詳しくなかったのですが、クーポンは打てば打つほどよい、というわけではなく、効果のあるターゲット層に効果があるようにクーポンを打たなければ、お金の無駄遣いになることが課題となるようです。
この、「どのターゲットに」「どれだけの数の」クーポンを発行するか?という部分に対して、AIを活用して効果的に発行出来るようにしているとのことでした。
アーキテクチャ
東芝テック様では、添付のようなアーキテクチャ構成を取り、以下の対応を行なっています。
- 生成AIによる欠損データの補完
- 顧客の名前、年齢だけでは正確なターゲット判断が出来ない
- その人が家庭を持っているのか否か、だけでも発行するクーポンは異なる
- 買い物データなどからAI分析を行い、利用者の属性を付与する
- 100点を目指すのではなく、60-70点でもいいので属性を付与し、効果を出す
- Vertex AIによるMLOps
- AIの一連の処理をパイプライン化するMLOpsをVertex AIを用いて実現
- データエンジニアはデータのプロだがエンジニアリングのプロではないことも
- ツールの改修、保守にパワーがかかっていた
- マネージドサービスを組み合わせ、MLOpsを構築することで、保守にかかる時間が半分以下になった
- MLOpsのlevel2(データパイプライン及びCICDの自動化)を目指して現在もアーキテクチャ構築中
- GPUのミニマム活用
- 昨今はGPUの価格が上がっているため、必要な分だけコストをかけたい
- クラウドの特徴であるスモールスタートをすることで、必要な分だけコストを支払う
- Cloud Workstationsによる開発環境の水平展開
- 端末のセットアップに時間をかけず、新しく参入したデータエンジニアはデータ分析にパワーをかけて欲しい
- Workstationsを導入することで、セットアップの時間が短縮
- これまで最大2日かかっていたセットアップ時間が、1-2時間程度に短縮できた
特に印象に残ったのは、生成AIによるデータ補完です。
生成AIといえば、ハルシネーションが度々問題となることがあり、どれだけ正確性をあげるか、というのがキーワードになっていると思います。
東芝テック様のこの生成AIの活用方法は、いきなり100点を目指すのではなく、60点、70点でもよいので属性を付与していき、どんどん精度を上げていく。
仮に属性が正しくない場合でも、無差別にクーポンを配るよりも効果的であるとの判断のもと、この施策をとってらっしゃると思いますが、この活用方法は素晴らしいなと感じました。
まとめ
東芝テック様のセッションレポートでした。
今回のGoogle Cloud Next Tokyo ’24ではAIによる業務効率化をテーマに様々なセッションがありますが、東芝テック様のAIの活用方法、及びMLOpsの構築内容など、とても勉強になるセッションでした。
引き続き、セッションレポートをお届けできれば幸いです。