※これは2024/09/24時点の情報です。

Amazon Qとは

Amazon Qは、AWSが提供する生成AI(人工知能)アシスタントのサービスです。Amazon Qには主に2つのサービスがあります。

  • Developer
    • 開発者向けのサービスで、システム開発のサポートや技術的な質問への回答を自動で生成してくれます。
  • Business
    • ビジネスユーザー向けのサービスで、自然言葉を使って自社専用の生成AIアプリ(RAG)を簡単に作成できます。社内の情報をもとにデータ分析やレポート作成も行えます。

参考: What is Amazon Q Business?

利用可能リージョン

Amazon Qは以下の地域で利用できます。

  • Developer
    • 米国東部 (バージニア北部)
  • Business
    • 米国西部 (オレゴン)
    • 米国東部 (バージニア北部)

※最新の利用可能なリージョンについては、以下の公式ドキュメントをご確認ください。

機能の概要

Amazon Qの主な機能を簡単に紹介します。
以下のリンクを参考にしています。

Developer Proの機能

  • チャット形式のQ&A
    • AWSマネジメントコンソールの右側にあるAmazon Qアイコンをクリックすると使えます。技術的な質問をすると、AIが答えてくれます。
  • Amazon EC2 インスタンスタイプの提案
    • 最適なサーバータイプをAIが提案してくれます。
  • トラブルシューティング
    • エラーの原因を調べたり、ネットワーク設定を確認したりするのを手伝ってくれます。
  • コーディング支援(旧:Amazon CodeWhisperer)
    • 対応IDE:Visual Studio Code、JetBrains IDEなど
    • 対応言語:Java、Python、TypeScript、Terraformなど15以上
    • 機能
      • コードのセキュリティ脆弱性を分析して修正します。
      • 開発したい機能を説明すると、プロジェクトのコンテキストを使用してコード変更を提案してくれます。
        • ※この機能を使うには、Amazon CodeWhisperer Professional Tierが必要です。
  • Amazon Q in CodeCatalyst
    • Amazon CodeCatalystのIssueにAmazon Qを担当者として割り当てることで、コード生成やPull Requestの作成が可能になります。
  • Java アプリケーションのアップグレード(Amazon Q Code Transformation)
    • Javaのコード(Java 8やJava 11)を新しいバージョン(Java 17)に自動でアップグレードします。

Developer 無料利用枠の機能

  • 基本的な機能はDeveloper Proと同じですが、以下の制限があります。
    • コードベースに合わせたAmazon Qのカスタマイズはできません。
    • 月ごとの利用回数に制限があります。

Business Proの機能

アプリの作成

  • 40以上のデータソースに接続
  • ガードレールの設定
  • カスタムプラグインの使用
    • Jira、Salesforce、ServiceNow、Zendeskなどの外部サービスと連携したタスクが行えます。
    • プラグインについて

Amazon Q Apps

  • 自然言語でアプリ作成
    • プログラミングなしで、言葉で説明するだけでAIアプリを作成できます。

Amazon Q in QuickSight (Reader Pro)

  • BIダッシュボードの構築
    • 自然言葉で指示すると、ビジネスデータの分析やグラフ作成ができます。

Business Liteの機能

  • アプリの作成のみ可能
    • カスタムプラグインは使えません。
    • Amazon Q Appsは利用できません。

料金体系

プランの種類

Amazon Qには以下のプランがあります。

Developer

  • 無料利用枠
  • Developer Pro

Business

  • Business Lite
  • Business Pro

サブスクリプションの料金

各プランの詳細な料金は以下のリンクから確認できます。

インデックスの料金(Business向け)

Amazon Q Businessでは、アプリを作成する際にインデックスも作成するため、サブスクリプション料金に加えてインデックスの利用料金も発生します。

インデックスとは、データの位置や検索の手がかりをまとめた「目次」のようなものです。これにより、ユーザーの質問に対して必要な情報を迅速に見つけ出し、正確な回答を提供できます。インデックスは、Amazon Q の性能や回答の質に大きく影響する重要な要素です。

インデックスには「ユニット」という概念があり、ユニットはインデックス内で扱うデータ量を示します。1ユニットは、約20,000ドキュメントまたは200MBのデータを扱うことができ、インデックスの種類に応じて、対応するユニット数が異なります。

Amazon Q のインデックスには、Starter Index と Enterprise Index の2種類があります。

  1. Starter Index
    • 料金:0.140 USD/時間
    • データ量:1〜5ユニットのデータを扱うことができます。
    • 用途:小規模なデータセット向けです。
  2. Enterprise Index
    • 料金:0.264 USD/時間
    • データ量:1〜50ユニットのデータを扱うことができます。
    • 用途:大規模なデータセット向けです。

各ユニットは、20,000のドキュメントまたは200MBのデータを扱えます。

料金の例

たとえば、Starter Indexを1ユニット使うと、1日の料金は以下のようになります。

  • 0.140 USD/時間 × 24時間 = 3.36 USD/日

注意:インデックスは、アプリを使っていなくても料金が発生するので、使わないときはインデックスを削除する必要があります。

参考:Amazon Q のインデックスタイプ

ID管理

Amazon Q Businessでは、ID管理にAWS IAM Identity Centerを利用します。

IAM Identity Centerの種類

  • 組織インスタンス(AWS Organizationsが必要)
    • 組織全体のアカウントを一元管理できます。こちらの利用が推奨されています。
  • アカウントインスタンス(メンバーアカウントごとに有効化可能)
    • 各アカウント内で使用され、Organizationsを利用せずに、特定のアプリを利用したい場合に適しています。

参考:IAM Identity Center の組織インスタンスとアカウントインスタンスを管理する

プランごとの必要条件

  • Business Pro/Lite
    • 組織インスタンスまたはアカウントインスタンスが必要です。
  • Developer Pro
    • 組織インスタンスが必要です。
  • Developer Free Tier(無料利用枠)
    • IAM Identity Centerは不要です。代わりにIAMユーザーやBuilder IDで認証します。

メリット・デメリット

Amazon Qのメリット

  • 簡単に使える
    • 専門知識がなくても、AIアプリをすぐに作成・利用できます。

Amazon Qのデメリット

  • カスタマイズの制限
    • 使用するAIモデルを選べないなど、細かなカスタマイズができません。
  • リージョンの制限
    • 利用できる地域が限定されています。

まとめ

Amazon Qは、複雑なAI技術を知らなくても手軽にAI機能を利用できるサービスです。ビジネスの現場でAIを活用して業務効率化を図りたい方や、専門知識がなくてもAIを導入したい方に最適です。

補足:Amazon Bedrockについて

Amazon Qは、Amazon BedrockというAI基盤の上に構築されています。Amazon Bedrockは、AWSが提供するフルマネージドの生成AIサービスで、さまざまなAIモデルを利用できます。より高度なカスタマイズや独自のAIアプリを開発したい場合は、Amazon Bedrockを検討すると良いでしょう。