こんにちは、MSPの田所です。

AWS re:Invent 2024 のレポートです。
イベント模様をお届けします。

セッション情報

Accelerating healthcare & life sciences innovation with generative AI

生成AI がヘルスケア・ライフサイエンス業界に起こした革命について語ります!

Healthcare and life sciences are harnessing the power of generative AI to unlock new possibilities for drug discovery, clinical trials, and patient care. In this talk, explore how leading healthcare and life sciences organizations are successfully integrating generative AI throughout their organizations to deliver real business value. Explore how these organizations are building enterprise-wide data strategies and data systems to break down internal data silos and fuel their data and generative AI initiatives. Gain insights and best practices for successfully operationalizing and scaling generative AI from pilot projects to production deployments across the health continuum.

創薬、臨床試験、患者ケアにおける生成AI の活用事例を紹介します!

Session types: Innovation Talks

1時間のイノベーショントーク

今回のまとめ

  • AI の横展開の可能性は無限大
  • とはいえ誰もがテクノロジーを使いこなせる訳ではない
  • 専門でなくても扱えるように AWS が様々なソリューションを提供している

セッションの詳細

1. ヘルスケア・ライフサイエンス業界と AI

ヘルスケア・ライフサイエンス業界では日々研究者達が人々の健康に貢献すべく奮闘しています。
例えば、創薬においてターゲットとリードの特定というステップがあります。

  • がん細胞の表面特有の受容体など、生体内の特定の構造であるターゲット
  • その受容体の働きを阻害する化合物など、ターゲットに対して作用を示すリード

これらは特定の病気に効果のある薬剤を開発するのに必須な情報です。
この情報を特定するには、研究者が仮説を立てて実験し、その結果を確認する、というサイクルを回していく必要があります。

ただし実験のプロセス上、結果が出るまでに非常に時間がかかることもあり、またそのコストも時に膨大なものとなります。

そこで、その仮説検証に革命をもたらすのが AI です。
過去の学習データから条件にあった構造を予測するのは AI の得意分野です。

しかしヘルスケア・ライフサイエンス業界において、AI の活用には大きな壁がありました。

データへのアクセスが複雑すぎる

仮説や実験データの解釈など、AI が活躍する箇所はいくつもありますが、それぞれのシーンで必要な学習データは異なってきます。
その時の使用モデルや学習データをどのように取り扱うかは、AI を使う上での課題となります。

AI が専門的すぎる

研究者の多くはライフサイエンスの研究者であり、コンピュータサイエンスの専門ではありません。
その中で AI モデルをどう組み合わせるか、どの外部データ、内部データにアクセスするか、など AI エンジニア的な管理は非常にハードルが高いものでした。

2. AWS のソリューション

そこで AWS を活用することで大きなメリットを得られます。
ご存知 AWS では、数多くの AI サービス、データサービスをはじめ、業界の目的に沿ったサービスも取り揃えています。

このセッションでは、これらのサービス紹介やパートナーによる成功事例の紹介がされていました。
ここでは創薬のターゲット特定に役立つサービス、機能を 2 つ紹介します。

紹介された中の一部ではありますが、AI の力で生産性が格段に上がることが想像できるかと思います。

Amazon DataZone

ビジネス視点でのメタデータを一元管理できるデータカタログサービスです。
チームを跨いだデータに対してビジネス用語でのデータ検索が可能になり、分析アクセスを簡素化することができます。
チームごとにバラバラに管理されたデータを集めて分析していたことを考えると、格段にデータ分析が楽になりますね。
上述の「データへのアクセスが複雑すぎる」という悩みに対するソリューションです。

Amazon Bedrock Agents

Bedrock のエージェントが必要なステップを洗い出して実行してくれるというものです。
ユーザーの要望に対して、エージェントがタスクを複数のステップに分けます。
それぞれのステップで、どの AI モデルでどんなプロンプトでどんな外部データ、内部データにアクセスするかを決めてくれます。
生成AI で生成AI を管理するイメージです。
「AI が専門的すぎる」という課題に対して、そのハードルをぐっと下げてくれそうです。

MSPとして

1. 別業界のソリューションを横展開するとイノベーションになる

AI、機械学習、深層学習と技術が進歩して生成AI が生み出されましたが、当然コンピューターテクノロジーの領域でのできごとです。
生物学からの着想はあれど、創薬を目的に開発された技術ではありません。
どんな化学物質が、どのように相互作用し、生体にどんな影響を与えるか。
また、既存の薬剤の効能や生産効率を上げるためには、分子構造のどこをどう変化させたらよいか。
それを蓄積した過去の知見から仮説を立て、臨床試験で実証するとなると、相当な専門知識と、年月やコストを要するのは容易に想像できます。
そこにコンピューター領域の生成AI 技術を横展開します。
すると、仮説を立てたり、シミュレーションしたり、微調整したり、大量のデータに基づく処理がとても簡単に行えます。
世界一記憶力が良くて、世界一処理能力が高くて、世界一体力があって、世界上位の仮説提唱能力のある科学者を誰もが抱えられるという感じでしょうか。
これをイノベーションと呼ばずして何と言うか。
イノベーションというと、その領域でジャンプアップが起こるイメージがありますが、そのパワーの源は別分野からの横展開にあると思ったのでした。
AI 技術の進歩、および AI 利用の敷居を段違いに下げた自然言語への対応は、本当に世の中をひっくり返す技術だと感じます。

2. 課題抽出が大事

MSPとして日々運用を改善したいという思いがありますが、どんな課題があるか解像度高く把握していないと、イノベーションのチャンスを逃すことになると感じました。
技術レベル、コミュニケーション、プロセス、組織、採用、取り組むべき箇所は無数に考えられます。
漠然と改善したいと思うのではなく、課題を抽出し、解決のために何ができるか、常にアンテナを張ってこそ飛躍が生まれるように思います。
そして AWS のベストプラクティスや ITIL 4 といったフレームワークも活用できそうです。

おわりに

生成AI があらゆる分野でゲームチェンジしているのを目の当たりにして、楽しい時代に生まれたなあと思うのでした。
10年後、20年後の世界は一体どうなっているのでしょうか。

おしまい

AWS re:Invent 2024 re:Cap presented by iret 2024年12月19日(木)18時より、「AWS re:Invent 2024」のポイントを解説する「AWS re:Invent 2024 re:Cap presented by iret」を開催します。

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