こんにちは。アイレットDX開発事業部の佐藤です。

本記事では、言葉でサービスの価値を上げる手法、UXライティングについて説明します。

UXライティングとはなにか?

UXライティングとは、言葉の表現の仕方によってUXの向上を目指すライティング技術です。

名前にUXとある通り、UXライティングはUXデザインの一環であり、サービス利用者の一連の体験をよくすることを目指します。
そのためUXライティングを用いる範囲は、サービスへの新規登録、本利用から退会などのあらゆる状況、そしてボタン、説明文、エラーメッセージや通知などのあらゆる要素に渡ります。

なぜ言葉にこだわるのか?

UXライティングはUXデザインの一部であるため、大局をみると対象を言葉に限定するUXライティングの重要性は低く感じるかもしれません。
しかし、ウェブ上の情報の95%は言葉であるという指摘もあり、サービスで目にする言葉の量を考えると、UXライティングは非常に重要な役割を持つと言えます。

UXライティングの効果

UXライティングで記述する言葉には、以下のような効果があります。

わかりやすく、操作につまずかない

UXライティングでは、わかりやすい言葉で表現することを目指します。
言葉がわかりやすくなることで、サービス利用者は操作につまずくことが少なくなります。

わかりやすい言葉にするために、具体的に以下のようなことを考慮します。

言葉を少なくする・短くする

情報の処理負荷をできるだけ小さくするため、言葉は少なく短いほうが良いとされています。
言葉や1文を短くするのはもちろん、そもそもその情報が必要かどうかを考慮し、不要な情報は省いていきます。
また、敬語を過剰に用いると文字数が増えてしまうため、敬語を使う時は丁寧語程度にとどめることもあります。

次の行動を明確にする

言葉は、意図が伝わらなければいけません。
その言葉を読んだユーザーが、次に何をすれば良いのか迷わないようにすることが重要です。

例えば、入力フォームの入力エラーがあったときに「エラーが出ました。」とだけ記述しても、
何がミスと判定され、どう入力しなおす必要があるのか判断することができません。
入力した文字数が多すぎる、数字で入力すべき項目に文字列で入力しているなど、エラーと判定した理由を明確に記述することで、ユーザーは次にどう入力すれば良いか判断することができます。

なお、UXライターは言葉だけではなくUIデザインにも踏み込むことがあります。
月日のように入力する数値が限定されているものであれば、そもそもテキスト入力ではなくセレクトボックスにすることで入力エラーを防ぎ、読むべき言葉を減らせるかもしれません。
このように、UXライターはUXライティングだけではなく、時にはUIデザインのような別の技術も用いてわかりやすいサービスをつくります。

ブランディングになる

UXライティングでは、ボイスアンドトーンに沿って言葉を記述します。
ボイスはサービス自体の性格、トーンはサービスの態度のことです。

私たちが普段、会話から相手のキャラクターを推しはかるように、サービスで使われている言葉もまたサービスのキャラクターを決定づけます。
ボイスが一貫していることで、ユーザーはそのサービスのキャラクターを覚え好印象を抱きます。

有名な例ですが、Slackでは未読のメッセージをすべて既読にすると、「未読コンプリート!この調子でどんどん行っちゃいましょう!」や「全メッセージが既読になりました。それはそれで、ちょっと寂しい…?」のような言葉が表示されます。
サービスを使う中でこのようなボイスが統一された言葉を繰り返し目にすることで、私たちはSlackに好印象を抱いていきます。

一方で、人が状況に応じて言葉遣いを変えるように、サービスもトーンを変えることが必要です。
いくら普段おちゃらけたキャラクターで通っていても、謝罪や式典の場でも同じキャラクターのままではひんしゅくを買ってしまいます。
サービスにおいても、その場の雰囲気にトーンを合わせることは重要ですし、それによって普段のキャラクターが崩壊することもありません。

Slackのメールへの優位性を示すページの言葉は、先程のような軽快さは薄れ、誠実な印象を抱きます。
このページを訪問する人はSlackの導入を検討しており、決定権を持っているかもしれないことを考慮して言葉を変えているのです。

もちろんSlackのボイスアンドトーンは偶然できあがったものではなく、ブランドガイドラインに指針が明記されています。

まとめ

UI/UXデザイン自体の認知度は高まってきましたが、その手法の1つであるUXライティングも少しずつ認知されてきています。

人々が多く目にする言葉に焦点をあてるUXライティングは、UXデザインの一環としてユーザー側、企業側ともに大きなメリットを与えることができます。