こんにちは。アイレットデザイン事業部のディレクターの川又です。アイレットデザイン事業部ではINSIDE UI/UXと題して、所属メンバーがデザイン・SEO・アクセシビリティ・UI/UXなどそれぞれスペシャリティのある領域に対する知見を幅広く発信しています。
今回は、重要なキーワードで何かと耳にする「UX」について、基礎知識やUXデザインのポイントなどを自分の学びのためにもまとめてみました。

目次

UX・UXデザインとは?
UXとUIの違い
UXデザインがなぜ必要?
UXの代表的な概念
UXを向上させるポイント
まとめ

UX・UXデザインとは?

UXとは?

UX(User Experience)は、直訳すると「ユーザー体験」で、ユーザーがサービスやプロダクト、WEBサイトを利用した際に得られる「体験」や「経験」を指します。サービスやプロダクトを利用する一連の行動の中で生じる、使いやすい、使いにくい、心地よい、不快、感動などユーザーが感じたことすべてがUX(ユーザー体験)です。

例えば、以下のような体験すべてがUX(ユーザー体験)です。

  • 情報が探しやすく文字が大きくて読みやすい
  • サイトの表示速度が速くて快適
  • お問い合わせフォームの入力が簡単で便利
  • 入力フォームで何度もエラーが出る
  • このサイトは商品が選びやすくて買い物しやすい
  • Apple製品はデザインも良いし使い勝手も良い
  • Amazonは商品が豊富だし注文したらすぐ届く
  • ここのカフェはコーヒーも美味しいし雰囲気もいい

UXのイメージ

UXデザインとは?

UXデザインは、使いやすさや分かりやすさ、機能の良さだけでなく、ユーザーにとって価値のある「体験」を設計することです。サービスやプロダクトなどの「モノ」ではなく、体験や経験といった「コト」のデザインと言われています。価格や機能だけでなく「モノ」を取り巻く「コト」全体の価値が求められるようになり、デザインの対象が「モノ」から「コト」に広がってきています。

UXデザインの定義として、UX(ユーザー体験)= ユーザーのタスク(目的)+ コンテキスト(文脈、環境、状況)とされています。コンテキストはユーザーが商品やサービスを利用する状況や環境です。
UXデザインでは「ユーザーが何を求めているのか」「ユーザーがどのような状況や環境で利用しているのか」を理解することが大切です。

UXデザインの定義

UXとUIの違い

UIとは?

UI(User Interface)とは、ユーザーとサービスやプロダクトの接点を表す言葉です。Webサイトやアプリでは、デザイン、メニュー、フォント、アイコンなど、ユーザーの視界に触れる情報すべてがUIとなります。Web上の情報だけでなく、PCやスマートフォンなどのデバイス本体の外観などもUIに含まれます。

「UI」は「UX」の一部

「UI」は「UX」に含まれる要素の1つです。サイズや色に配慮された文字や見やすいデザインで構成された「UI」は、ユーザーに「使いやすい」「分かりやすい」という「体験」を与えます。サービスを成功させるためには、まずユーザーニーズを理解したUXデザインを行い、UXを向上させるようなUIデザインを思案することが重要です。どんなにUIが優れたWebサイトやアプリでも、それ以外のところでユーザーが不満や不快を感じてしまったら、サービス全体の体験を損なってしまいます。

UXデザインがなぜ必要?

近年、さまざまなサービスやプロダクトが増加し多様化する中で、優れたデザインや機能があったり、ニーズのあるユーザーにアプローチするだけで売れる時代から、ユーザーにとっての「価値」を提供することでようやく売れる時代へ変化してきています。
ユーザーはサービスやプロダクトを選ぶとき、見た目や機能・性能だけでなく、使い心地や印象などの体験に「価値」を求めるようになりました。ユーザー視点での魅力的な「体験」を設計することは、ビジネスを成功に導くための重要な戦略の1つです。
また、昨今急速に進められているDX化においてもUXデザインは重要な要素となっています。

①デバイスの普及によるユーザーとの接点の多様化

スマートフォンやタブレットなどデバイスの普及により、サービスやプロダクトとユーザーとの接点が多様化して、利用する様々なシーンや環境での体験の価値が求められるようになった。

②機能や価格以外での競合との差別化

競合との差別化をはかる上で、機能や価格だけでなく、いかにユーザーに価値のある体験を提供できるかが重要なポイント。

UXデザインの重要性

UXの代表的な概念

UX・UXデザインに関する概念やフレームワークは世の中に数多くあります。その中からUXの概念を説明した「5段階モデル」「UXハニカム」という代表的な構造モデルを2つ紹介します。

UXデザインの「5段階モデル」

UXデザインを成功に導くための手段の1つにUXデザインの「5段階モデル」があります。UXデザインの「5段階モデル」は、アメリカのUXデザイナーであるジェシー・ジェームズ・ギャレット氏が提唱したUXの考え方です。
最終的なビジュアルデザインに至るまでの工程を「戦略・要件・構造・骨格・表層」の5段階に分けてUXデザインを進めることで、ユーザーニーズにも寄り添った「体験」を提供しつつ、ビジネスを成功に導くことができるとされています。
抽象的な概念である「戦略」をベースに「表層」に向かって徐々にアイデアを具体的な形にしていくことで、コンセプトから外れることなく一貫性のあるより良いUXの実現を目指すことができます。

UXデザインの「5段階モデル」

表層(Surface) ユーザーが視覚的に認識するデザイン
骨格(Skeleton) ユーザーが理解しやすいインターフェース上の情報設計
構造(Structure) ユーザーが欲しい情報や使いたい機能にたどり着くための全体構造設計
要件(Scope) ユーザーにとって必要なコンテンツ・機能の設計
戦略(Strategy) ユーザーニーズとプロダクト目的の設定

UXハニカム

UXハニカムは、UXを構成する7つの要素を表した構造モデルで、情報アーキテクチャのパイオニアであるピーター・モービル氏によって2004年に提唱されました。ユーザーが感じる「価値(valuable)」を中心にUXを構成する6つの要素が配置されていて、これら6つの要素がバランスよく満たされて、はじめてユーザーにとって「価値(valuable)」のある体験を創造することができるという考え方です。

UXハニカム

UXハニカム構造の7つの要素

要素 説明
①役に立つ(Useful) ユーザーにとって役立つ情報や手段があり、ユーザーニーズを満たすことができること
②使いやすい(Usable) ユーザーにストレスを感じさせることなく分かりやすく使いやすい設計になっていること
③探しやすい(Findable) ユーザーが目的のコンテンツまで迷わずスムーズにたどり着ける設計や検索エンジンで「見つけやすさ」を考慮したSEO対策ができていること
④信頼できる(Credible) ユーザーが求める情報の信憑性や提供元に対する信頼性、プライバシー保護の確保ができていること
⑤アクセスしやすい(Accessible) 多様なユーザーが利用することを考慮して、誰でも、いつでも、どこからでも利用できること
⑥好ましい(Desirable) ブランドイメージやアイデンティティが伝わり、ユーザーにとって魅力的なデザイン設計になっていること
⑦価値がある(Valuable) サービスやプロダクトがユーザーにとって付加価値を提供できていること。①〜⑥の6つの要素を満たすことで価値ある体験を提供することを目指す

UXを向上させるポイント

UXを向上させるためには、「ユーザーを理解」し、「目的を明確」にしておくことがポイントです。ユーザー視点でユーザーにとっての「UX」とは何かを考え、印象に残る「体験」を提供することでUXの向上につながり、ビジネスを成功に導くための重要な要素となります。
また、UXデザインを成功させるには、社内外の関係者やユーザーの協力が必要不可欠です。目的を共有し組織的に取り組むことが重要です。

①改善の目的やゴールを明確にする

②ユーザー視点で体験し考える

③ユーザー体験の全体像を理解する

④効果測定を実施し改善し続ける

⑤ユーザーと関係者を巻き込む

まとめ

UXは、今やとても重要なキーワードの1つです。UXデザインに正解はないので、試行錯誤を繰り返しながらUX(ユーザー体験)をより良く快適にできるかを考えていくことが大切です。
UXの向上には、チーム内や社内外の関係者、ユーザーを巻き込み継続して取り組んでいくことが重要なので、自分自身がUXデザインをもっと学び理解し、今後、案件に活用していけるように、まずは社内に共有し広めていきたいと思います。
UXデザインを行うためのプロセス、ユーザーを理解するための分析手法やフレームワークなど、UXデザインに関する記事を今後も配信していく予定です。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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