こんにちは。アイレットデザイン事業部のディレクターの川又です。アイレットデザイン事業部ではINSIDE UI/UXと題して、所属メンバーがデザイン・SEO・アクセシビリティ・UI/UXなどそれぞれスペシャリティのある領域に対する知見を幅広く発信しています。
今回のテーマは、「カスタマージャーニーマップ」です。カスタマージャーニーマップは、UXを向上させるために欠かせないフレームワークの1つです。カスタマージャーニーマップとは?目的やメリット、作り方についてご紹介します。

目次

カスタマージャーニーマップとは
カスタマージャーニーマップを作る目的とメリット
2種類のカスタマージャーニーマップ
カスタマージャーニーマップの作り方
カスタマージャーニーマップを作る際の注意点とポイント

カスタマージャーニーマップとは

カスタマージャーニーは直訳すると「顧客の旅」という意味で、ユーザーが商品やサービスを比較検討し、購入、評価するといった行動の流れを旅にたとえたプロセスのことです。カスタマージャーニーマップは、そのプロセスごとの行動パターンや思考・感情などをマップとして可視化したフレームワークです。

ユーザーの詳細な行動や感情を可視化することによって、課題を発見しやすくなり、最適なアプローチを考えることができます。ユーザビリティ研究の第一人者であるヤコブ・ニールセンとドナルド・ノーマンは、カスタマージャーニーマップを「目標を達成するために人が通過するプロセスを視覚化したもの」と定義しています。

近年は、デバイスや様々なサービスやプロダクトなどの普及によりユーザーの行動やプロセスが多様化していて、カスタマージャーニーマップは、マーケティングやUX改善においても欠かせないものとなっています。

カスタマージャーニーマップを作る目的とメリット

カスタマージャーニーマップを作る目的は、「時系列でユーザーの行動・思考・感情を可視化し整理する」ことで、「課題や接点の発見、施策の検討をしやすくする」ためです。カスタマージャーニーマップを利用することで、今まで見えなかったユーザーの課題や要求を発見し、チーム全体で共有することができます。

ユーザー体験の向上、ユーザーとの接点を強化できる

ユーザーの行動や感情の全体像を俯瞰して見ることで、ユーザーの行動の背景にある思考や課題感に気づきやすくなります。各フェーズでの課題や接点の発見にもつながり、それぞれのフェーズでの課題に合わせた施策や対応策を考えることができます。

ユーザー体験の中の課題を社内外のメンバー間で共有できる

カスタマージャーニーマップを用いることで、社内外のさまざまなメンバーが携わるプロジェクトでも、ユーザー体験の中の課題を共有することができます。課題の共通認識を持つことができるため、施策や解決策の検討や施策の実行をスムーズに進めやすくなります。

2種類のカスタマージャーニーマップ

現状の体験(As-Is)」と「理想のユーザー体験(To-Be)」の2段階に分けてカスタマージャーニーマップを作成することで、現状の分析から理想のユーザー体験のためのより効果的な施策や解決策の検討を進めることができます。

現状(As-Is) 現状(As-Is)のカスタマージャーニーマップは、「現状のユーザー体験(利用状況)」を整理することができます。時系列順に、ユーザー視点でサービスやプロダクトの認知から比較・検討、購入、利用、利用後に至るまでの一連の行動を分析し、ユーザーのニーズや課題を洗い出します。抽出した課題は、改善が必要なフェーズや深刻度などを考慮して優先度をつけ、改善すべき課題の優先順位を決めます。
理想(To-Be) 理想(To-Be)のカスタマージャーニーマップは、現状(As-Is)のカスタマージャーニーマップから見えた「現状のユーザーのニーズや課題」を解決するための「理想のユーザー体験」を整理していくことができます。現状の体験(As-Is)が抱える課題を洗い出し、改善すべき課題の優先順位を決めて、理想のユーザー体験を実現するための解決策を検討していきます。

カスタマージャーニーマップの作り方

カスタマージャーニーマップを作成する基本的なステップをご紹介します。カスタマージャーニーマップの作り方は、種類や状況によって様々なパターンが考えられます。

【STEP1】目的とゴールを設定する
【STEP2】ペルソナを設定する
【STEP3】行動を洗い出しステージに分ける
【STEP4】行動・タッチポイントを設定する
【STEP5】思考・感情を設定する
【STEP6】ステージごとに課題を分析する
【STEP7】施策・対応策を考える

【STEP1】目的とゴールを設定する

カスタマージャーニーマップを作る上で特に重要なのがゴールの設定です。何を目的・ゴールとするのかによって、想定する期間や引くべき粒度などマップのフレームが変わってきます。そのため、必ず目的とゴールを明確にして、カスタマージャーニーマップを作成することが重要です。カスタマージャーニーの目的とゴールは、サービスやプロダクトの種類や特性、企業の方針によっても変わってきます。

【STEP2】ペルソナを設定する

ペルソナとは、サービスやプロダクトのターゲットとなるユーザーの具体的な人物像を設定したものです。ペルソナは、カスタマージャーニーマップにおける主人公となります。
年齢、性別、居住地、職業、役職、年収、趣味、特技、価値観、家族構成、生い立ち、休日の過ごし方、ライフスタイルなど、具体的なユーザー像を設定することで、行動や感情の想定、アプローチ方法や改善案などの検討がしやすくなります。
また、ペルソナを設定することによって、ターゲットとするユーザーが何を求めているのか、サービスやプロダクトの方向性がイメージしやすくなり、関係者間で共有することができます。

ペルソナについては、以下の記事もご覧ください。
ペルソナをより早く詳細に設計して、マーケティングに活かす

【STEP3】行動を洗い出しステージに分ける

目的とゴール、ペルソナを設定した後は、カスタマージャーニーマップを作成していきます。まずは、カスタマージャーニーマップの縦軸(項目)と横軸(ステージ)を設定します。

縦軸 縦軸には、ユーザーの行動や思考などが入ります。サービスやプロダクト、目的やゴールによって変わることもありますが、一般的には「行動、 タッチポイント、 思考・感情、 課題、 解決策」が入ります。タッチポイント(行動領域)とは、ユーザーが行動する際に利用する媒体のことです。
横軸 横軸は、ユーザーの認知から利用後までの「ユーザー体験の流れ」をステージに分けて設定します。主に「認知・興味関心、 情報収集、 比較検討、 体験・利用、 利用後」のステージがあります。ユーザーのタッチポイントが変わるタイミングでステージを分けると整理しやすい。設定した目的やゴールによって期間やステージの設定は変わります。

【STEP4】行動・タッチポイントを設定する

カスタマージャーニーマップのフレームが決まったら、想定しているペルソナの各プロセスでの行動とタッチポイントを整理していきます。ペルソナが実際に起こしそうな行動パターンと利用するタッチポイントをできるだけ具体的に考えることが大切です。ユーザーの行動とタッチポイント(行動領域)を一緒に考えるとわかりやすいです。

【STEP5】思考・感情を設定する

各ステージでユーザーが、どのように考え、どのように感情が動いたのか、ユーザーの感情や考えを整理していきます。ペルソナがどう考え感じたか想定することでユーザーのニーズを明確にして、課題や改善点を洗い出すことができます。感情の変化は、ポジティブな感情とネガティブな感情の上がり下がりを感情曲線で表示すると視覚的により分かりやすくなります。

【STEP6】ステージごとに課題を分析する

想定するペルソナの行動・タッチポイント、思考・感情を設定したら、それぞれのステージで「問題・課題・要求」を状況ごとに抽出します。
課題を見つけるポイントは、2つあります。

①ユーザーの不安・不満・迷いなどの感情がネガティブに傾いているところに注目する

ユーザーの不安や迷い、不満などのネガティブな感情こそがニーズとなるため、改善へのヒントになります。

②マップを「縦」と「横」に見る

マップを「縦」に見て、行動のつながりからそのステージに課題があるか分析します。横軸では、ステージやユーザーの行動がスムーズに流れているか、接点が不足してないか、感情の起伏が極端に振れているところがないか分析します。課題は1つとは限らないため、同じステージでも、さまざまな角度から考え、ユーザー視点で全体を俯瞰して見ることが大切です。

【STEP7】施策・対応策を考える

最後に、ユーザー体験をよりよいものにできるか、課題に対する解決策・対応策を考えます。設定したゴールと目的を考慮しながら、改善すべき課題の優先順位を決めて、理想のユーザーを実現するための施策や対応策を検討していきます。
現状の課題を解決するために何をやるべきなのかを行動ベースで考え、施策の実行方法まで考慮して検討することがポイントです。「どうしたらポジティブになってもらえるのか」、「どうすればさらに喜んでもらえるのか」、常にユーザー視点で検討することが大切です。

カスタマージャーニーマップを作る際の注意点とポイント

カスタマージャーニーマップを効果的に活用するために作成する際に意識しておきたいポイントが3つあります。

①カスタマージャーニーマップを作成する目的とゴールを明確にする

まずは、何のためのカスタマージャーニーマップなのか目的とゴールを明確にすることが重要です。想定するユーザー像の行動や意識・感情などが、実際のユーザー像と乖離してしまい、期待する成果に結びつかなかったり、期待するほどの成果につながりません。ユーザーの心理などを明らかにすることが重要なので必ずしもCV(コンバージョン)は必要ではありません。

②複雑に作りこまずシンプルに作成する

細かすぎる設定や作り込みすぎているカスタマージャーニーは、作成するのに時間も労力も必要となり、実際のUXと乖離してしまったり運用しづらくなることもあるため、まずは、シンプルに作成することがポイントです。
理想や思い込みを反映するのではなく、事前に定量・定性調査を実施して、収集した情報をもとに根拠のある現実的な設定を行うことが大切です。

③定期的に見直して最適化していく

市場の変化とともにユーザーの行動フローも変化するため、カスタマージャーニーは作って終わりではなく定期・不定期に見直して、最適化していくことが大切です。また、仮説の状態のカスタマージャーニマップと現実とのギャップを確認し、必要に応じて現実に合わせて修正していきます。

まとめ

カスタマージャーニーマップは、UXを向上させるために欠かせないフレームワークの1つです。ユーザーの行動パターンや感情などを可視化し、課題の発見やUX向上のための施策を検討することができます。より良いものづくりには、チーム内、社内外の関係者やユーザーを巻き込み、サイクルを何度も繰り返し、継続して取り組んでいくことが重要です。

今後、案件にも活用していけるように、UXについてもっと学び理解し知見を共有していきたいと思います。ユーザーを理解するための分析方法やフレームワークなど、UXデザインに関する記事を今後も配信していく予定です。
最後までお読みいただきありがとうございました。

一緒に働く仲間を募集しています

アイレットでは、エンジニアやデザイナー、ディレクターなど様々な職種で一緒に働く仲間を募集しています。詳しくは、採用情報をご覧ください。
アイレット採用情報 募集職種