アイレットのデザイン事業部でディレクターをしているやなせと申します。
アイレットデザイン事業部ではInside UI/UXと題して、所属メンバーがデザイン・SEO・アクセシビリティ・UI/UXなどそれぞれスペシャリティのある領域に対する知見を幅広く発信しています。
今回はペルソナ設計についてです。より早く具体的なペルソナ像を描く方法についてお話したいと思います。

一般的なペルソナ設計の方法

サイトを作るとき、リニューアルするときにどんな人物に向けて情報を発信するか「ペルソナ設計」をしていくと思います。このペルソナ設計ですが、皆さま難しいとお考えではありませんか?
ペルソナについてお客様にお話を伺った際に、皆さま口を揃えたようにこうおっしゃっています。

  • サイトのメインユーザーは20代から40代の男性で…
  • 会社員で年収○○○万円くらいの…
  • ○○○(業種カテゴリなど)に興味がある方

そうですね、確かにアクセス統計や、購買データから考えていくと、そのようなペルソナになるかと思います。
このような一般ユーザー全体を少しずつ篩(ふるい)に掛けるような形でペルソナを形作る、でも良いのですが、上記の情報では誰もが「どんな人物?」と思うようなぼんやりとしたペルソナしか描けません。
そこで、もっと飛躍的に早くペルソナ設計をできる方法があります。

より具体的なペルソナの例

例えば、大谷翔平選手に御社の「商品A(仮にヨーグルトにでもしましょうか)」を売りたい場合。
彼の顔が思い浮かんだでしょうか?
もしかすると、ちょっとしたデータも合わせて浮かんだのではないでしょうか。

  • メジャーリーグで投打で活躍する野球選手で
  • 年齢20代後半で
  • 年俸は何十億と貰っていて
  • 生活スタイルは外食しないと聞いたが
  • 無駄金を使わないのでお金には困っていないはず
  • SNSはInstagramしかやっていないらしい

こんな大谷翔平選手に、商品A(ヨーグルト)を売り込むチャンスが来たとしたら、どんな手を尽くしますか?
おそらく、より彼の生活パターンを把握してマーケティングを入念に行うでしょうし、尽くせる手はすべて尽くしてでも売りに行くと思います。
大谷翔平選手に向けたサイトにするためにはどういったサイトにすれば良いのか?という思考からペルソナを明確にしたサイト設計を始められると思います。

  • 安価よりは高級感(平均価格に対してちょっと高めではあるが、品質に対して妥当なくらい)
  • 他の商品にはない、高品質な点をきちんと伝える(○○が入っていて△△にいい)
  • 何より「この商品は良さそう(自分も使ってみたい)、続けたい」と思わせられるデザイン
  • サイト公開後のマーケティングアプローチはInstagramを使う…など

サイト作成からその後のマーケット展開まで見えると思いませんか?
最近のマーケティングでは「幅広い人物の心を打つ」よりも、「中心となる人物の心に確実に刺さる」方が重要視されるケースがあります。
1人のターゲットに深く刺されば、それだけで周囲の人にも口コミで波及していくという考えからなのですが、この場合、より明確なペルソナを設計することが重要なポイントになります。
この最初に定義した「大谷翔平」というペルソナですが、仮に大谷翔平選手自身に商品が売れなかったとしても、同じようなパーソナルデータを持つ方々に売れたとしたら、結果的にはマーケティング成功と言えるのではないでしょうか。
例えば、村上宗隆選手、三笘薫選手や羽生結弦くんなど。
はたまた、なかやまきんに君など筋肉ガチ勢や、転じてモデルの方に売れても成功と言えると思います。

ペルソナ設計で一番大切なことは「チーム全員が明確にイメージできること」です。
イメージを共有できることで「この人だったらこういう趣向がありそう」「こちらの方がより的確では?」という議論が起こるはずです。

ターゲットが一般人の場合でも同じ

ターゲットがプロスポーツ選手のような有名人ではなく、一般人でも同様です。
ペルソナ像は実在しているよりも(推測の幅が広がるため)架空の人物の方が良いのですが、たとえ同じ情報を元にイメージした人物像だったとしても、チームの中では千差万別になると思います。
そこで、まず一番最初にやるべきはフリー素材などから「実在はするがよく知らない人物」なおかつ「商品A(ヨーグルト)を食べていそうな人」を充てがうこと。
見た目が1つに定まることで、チームの中で「この人なら○○しそう」という連想がしやすくなります。こういった局所的に情報を限定することが、ペルソナ設計では大事です。

その後は、

  • 仮名、年齢、職業、収入、家族構成
  • 仕事以外の過ごし方
  • 所有デバイス、利用するSNS
  • 癖、習慣にしていること
  • その他、細部に渡る個人的な事柄

など、その人物の人となりをよく議論(と言いつつ談笑)して、ああでもないこうでもないと繰り返すことで、よりペルソナとして明確な像が磨き上げられていくと思います。
臆することはありません。正解は無い世界なので、「この人は○○しない」という結論に達したとしても、それも1つのペルソナ像になります。

まとめ

皆さまがお考えのペルソナ設計・アプローチと180度違った方法でしたら幸いです。
これらはより具体的に考えることで、熱狂的なファンを発掘できるようになるペルソナ設計の方法でした。

また、ペルソナ設計を初期にしっかりとすることでチーム間で認識が合い、作るものの方向性が定まり、マーケティングもどういった手を打つべきか明確になると思います。
ぜひご参考にしていただけますと幸いです。