プロジェクトの進捗確認。「大丈夫です」という返事ほど、マネージャーを不安にさせるものはありません。「本当に大丈夫なのだろうか?」「何か問題が隠れているのではないか?」と疑心暗鬼になってしまいますよね。

今回は、メンバーからの「大丈夫です」という言葉に隠された真意を探り、適切な進捗管理を行うための3つのアプローチをご紹介します。

なぜ「大丈夫です」しか言わないのか?

メンバーが詳細な報告を避ける背景には、様々な理由が考えられます。

  • 報告スキルの不足: 何をどのように報告すれば良いのか分からない。
  • 認識の甘さ: 状況を楽観的に捉えすぎている。
  • 遠慮: 忙しいマネージャーに手間をかけさせたくない。
  • 不安: 問題点を報告することで評価が下がるのを恐れている。

いずれにしても、「大丈夫です」という言葉だけでは、プロジェクトの健全な進捗を判断することはできません。マネージャーであるあなたが主体的に動き、状況を把握する必要があります。

この記事では、最初の2点「報告スキル不足」「認識の甘さ」が原因の場合に、どう対応すべきか考えていきたいと思います。

「大丈夫です」と言われた時の3つのアプローチ

メンバーの報告スキルが未熟な現状を打破するために、以下の3つのアプローチを並行して進めていきましょう。

1.進捗状況を「具体的に」聞く

メンバーの報告を待つのではなく、マネージャーであるあなたから具体的な質問を投げかけましょう。これにより、曖昧な「大丈夫です」の裏に隠された情報を引き出すことができます。すぐに実践できる具体的な質問例をご紹介します。

  • 「じゃあ、見せて」
    • 成果物が明確なタスクであれば、途中経過を見せてもらうのが最も確実です。実際に目で見ることで、進捗の度合いや品質を直接確認できます。
  • 「終わったところとこれからやるところを具体的に聞く」
    • どこまで完了し、残り何があるのかを明確にすることで、具体的な進捗状況を把握できます。さらに、「残りのタスクはスムーズに進みそうか」「他に気になる点はないか」といった質問を重ねることで、潜在的な問題点も見つけやすくなります。
  • 「現状→期限までのプランを聞く」
    • タスク完了までの具体的な計画を説明してもらうことで、その計画に無理がないか、遅延のリスクはないかを判断できます。

問いの十字キー(参考:https://sonnaka.com/what-is-thinking/#toc14)も、具体的な質問をするためのヒントになります。例えば、「目的は?」「現状は?」「問題点は?」「解決策は?」といった問いかけは、メンバーの思考を整理し、より深い情報を引き出すのに役立ちます。

2.進捗報告のやり方を「指導」する

上記1のアプローチで具体的な情報を引き出しつつ、メンバー自身が自ら詳細な報告ができるように指導していくことが重要です。マネージャーが知りたい情報を的確に報告するスキルを身につけてもらいましょう。

  • 報告の目的を明確にする: なぜ進捗報告が必要なのか、報告された情報がどのようにプロジェクトに活かされるのかを丁寧に説明することで、メンバーの報告に対する意識を高めます。
  • 報告すべき内容を具体的に示す: 完了した作業、現在の状況、今後の予定、課題点、懸念点など、報告すべき要素を具体的に伝え、報告のポイントを明確にします。
  • 報告の頻度とタイミングを定める: 定期的な報告の機会を設け、報告のタイミングを明確にすることで、報告の習慣化を促します。
  • フィードバックを行う: 報告内容が良い点、改善点などを具体的にフィードバックすることで、メンバーの報告スキル向上を支援します。

3.仕組みを整える

複数のメンバーが関わるプロジェクトや、一定以上の報告品質を求める場合には、報告フォーマットを導入するなど、仕組みで解決を図ることが有効です。

  • 報告フォーマットの作成
    • 報告に必要な項目(タスク名、進捗率、完了予定日、課題点、ヘルプが必要な事項など)を定めたフォーマットを作成し、メンバーがそれに沿って報告するようにします。これにより、報告内容の均質化と効率化を図ることができます。
    • slackなど、普段目にするコミュニケーションツールでリマインダーを設定すると良いでしょう。
  • 進捗管理ツールの導入
    • 進捗状況を可視化できるツールを導入することで、リアルタイムな情報共有が可能になり、報告の手間を軽減できます。
  • 朝会・夕会などの定例会議の実施
    • 短時間で進捗状況や課題を共有する場を設けることで、コミュニケーションを促進し、問題の早期発見に繋げます。

まずは「具体的に聞く」ことから始めよう

まずは、上記3つのアプローチの中でも「1.進捗状況を『具体的に』聞く」ことから始めてみましょう。メンバーの報告スキルはすぐに向上するものではありません。マネージャーであるあなたが積極的に関わることで、状況を把握し、適切な指示を出すことができます。

そして、中長期的には「2.進捗報告のやり方を『指導』する」「3.仕組みを整える」にも取り組み、チーム全体の報告スキル向上と効率的な進捗管理体制の構築を目指しましょう。

「大丈夫です」という言葉に潜むリスクを見逃さず、主体的なアプローチでプロジェクトを成功に導いてください。


この情報が、あなたのプロジェクトマネジメントのお役に立てれば幸いです。