はじめに
当該記事はラスベガスで行われている Google Cloud Next 2025 の Day2 の Deep dive into the latest innovations in AlloyDB: The new way to PostgreSQL に関する記事となります。
概要
このセッションでは、AlloyDB のパフォーマンス、運用面、アップデートに関する内容がお話しされていました。前編では主にアップデートや今後の AI 周りの機能追加の紹介です。後編では事例を交えて紹介したいと思います。
AlloyDB のパフォーマンスについておさらい
コンピュート層とストレージ層の関係による効果
AlloyDB の構成は、コンピュート層とストレージ層が明確に分離されており、それにより、以下のようなことが容易に行える設計となっております。
- コンピュート層の増減による、インスタンスの増減が容易に行える
- 読み取り負荷の高いワークロードの分散
- 分析処理のためのプライマリインスタンスへの影響を避けられる
SLA 99.99%
標準で SLA 99.99% となり、この数字からもミッションクリティカルなワークロードに適してると考えられます。この数字にはメンテナンスも含まれており、ニアゼロダウンタイムでアップデートやサイズ変更にも対応しております。
self managed Postgres とのパフォーマンス差異
以下に示す通り、self managed Postgres vCPU 16 と AlloyDB vCPU 8 で比較した際のパフォーマンスが以下です。
かけられているコストが半分ながら、パフォーマンスに大きな違いあることがみてとれます。
このような形で現状としてもパフォーマンスや仕組みとして、信頼に足る性能であることがわかります。
新機能
Axion インスタンス
新たな ARM の Axion インスタンスタイプがプレビュー公開されており、これによる更にパフォーマンス増加及びコスト削減が望めます。
まだプレビューですが、GCE などの ARM とは異なり、マネージドサービスの場合、考慮事項が少なく変更できそうなので、GA タイミング注目しておきたい内容です。
Managed Connection Pooling
接続スパイクによる負荷を緩和することができます。接続状況から事前に接続を維持し、必要に応じて再利用するなどデータベースへの接続最適化します。
こちらに詳細が記載がございます。
こちらはまだプレビューとなります。
特に急増が多い場合などに効果を発揮し、効率的にアクセスを捌くことが可能になります。
高度な Query Insights と Gemini Assistance
高度な Query Insights の詳細はこちらをご覧ください。
お話されていたのは、詳細な情報と使いやすいインターフェースでクエリプランなどを確認することが可能とのことで、これにより今までよりもクエリの改善が行いやすくなったと考えられます。また、AI アシストと表現されてましたが、たぶん Gemini 支援機能を指していたのかなと思います。(参照)こちらの活用により、様々なことができることをアピールされておりました。例としてデータベース内で発生している異常な振る舞いを検知し、遅いクエリ等について、Assistant に情報を求めることが可能となります。
AlloyDB in-place Major Version Upgrade
詳細はこちらのドキュメントに記載がありますが、ダウンタイムはあるものの、シームレスにアップグレードが可能でエンドポイントなどの変更なく行えるのがポイントと語られています。
事前チェックなども行え、以前に比べて簡略化されたことがとても強調されていました。
ネットワーク面
その他の説明の中であった内容ですが、NW 面においてもここ1年でパブリック IP サポート、PSC(インバウンド、アウトバウンド)の設定が可能となり、それによって、NW簡素化できることになったとお話しされておりました。もともとはプライベート接続が基本的な方法でしたが、これによってセキュリティ要件での使い分けすることで、状況に応じて簡素化した構成にできることをアピールされておりました。
その他
他にも、AlloyDB Omni を使うことで他クラウドやオンプレ環境での実行を行うことが可能となり、その点も魅力としてあげられておりました。
AlloyDB AI innovations
AI 周りの進化としてベクトル検索において採用率が1年で7倍になっているとのことで、昨今の画像などを引っ張ってくるような仕組みの加速していることを感じさせます。また、SQL クエリから LLM を呼びだすクエリエンジン(未公開)や、プレビューで自然言語で質問することでスキーマ等を理解し結果を返してくれるようになるとのことです。2番目、3番目がすごすぎますが、特に3番目ができると、欲しい情報が容易に取り出されるようになり効率化や利用者の枠が広がると感じました。
AlloyDB AI Query Engine
AlloyDB AI natural language
まとめ
ここで紹介したものは過去1年間のハイライトの内容となりますが、これにあたっては顧客の要望を積極的に取り入れて、様々な機能強化が行われてきたことが述べられておりました。
性能面においては当初から折り紙つきでありましたが、今回の 高度な Query Insights や AlloyDB in-place Major Version Upgrade、様々な NW 構成にも応えられること、Gemini を活用した支援があるなど、あと AI による効率化についても積極的に取り組まれており、運用に寄り添った仕組みが整ってきた印象をもちました。ここまでを前編とし、後編ではお客様事例2つについて、改めてレポートいたします。