DX開発事業部 フルスタックセクションの田村です。
Google Cloud Next ’25 現地参加1日目のイベントレポートをお届けいたします。
セッション情報
セッションタイトル:What’s new in Cloud Run
概要:
Google Cloudのサーバーレス・ランタイムであるCloud Runは、開発者に愛用されています。このセッションでは、アプリケーションのデプロイをさらにシンプルにし、AI推論を含む新しいタイプのワークロードのデプロイを可能にするCloud Runの新機能を深く掘り下げます。Cloud Runが比類のない効率性と柔軟性で、最も要求の厳しいワークロードをどのように支援できるかをご覧ください。
Cloud Run GPUs 正式リリース (GA)
GPU対応のCloud RunがGAされ、AIワークロードをサーバーレスで実行可能になりました。
特徴:
- スケールゼロ → 起動5秒でスピンアップ
- インフラ管理不要で自動スケーリング
- 実行時間分だけの秒単位課金(Pay by the second)
GPUを使用したCloud Runにより、Stable Diffusionなどの画像生成のワークフローも実行することができるようになります。
公式ドキュメントはこちらをご参照ください。
High Availability (高可用性対応)
追加料金なしでCloud Runを使って高可用性アプリを簡単に構築できるようになりました。
特徴:
- マルチリージョン自動デプロイ
- サービスのヘルスを監視して追加料金なし自動フェイルオーバー
Worker Pools
Pub/SubやKafkaなどPull型ワークロードに特化したWorker Poolsが登場しました。
特にKafka との連携が強化され、Pullベースの処理が可能になっています。
特徴:
- Cloud Run のオートスケーラー & ワーカープールで実行
- Kafka 向けの新しいリソースタイプ
- 専用料金でコスト最適化もできる
Kafka Consumers
KafkaのキューからタスクをPullして処理する専用のWorker Poolが利用可能になりました。
- Kafkaクラスタのメトリクスを読み取り、Worker Poolのインスタンス数を自動スケーリング。
- Cloud RunのKafkaオートスケーラーを活用しており、スケール効率も高い。
Pub/Sub Pull Subscriber
Cloud Pub/SubのPullサブスクリプションに対応しています。
- Pull型でメッセージをバッチで取得する。
- CPU使用率に基づくオートスケーリング(マニュアル or スケジュールベースも可能)
GitHub Actions Runners
GitHub Actions用のセルフホストRunnerをWorker Poolとして登録可能。
- GitHub Webhookをトリガーとしてオートスケール。
- CI/CDパイプラインの実行基盤としてCloud Runが使えるようになりました。
その他アップデート情報
Gemini Cloud AssistによるCloud Run構築サポート
Gemini Cloud Assistは、Cloud Runの開発・運用を強力に支援してくれるAIアシスタントで、設計・最適化・トラブルシュートまでの運用を楽にしてくれそうです。
- Design:設計支援(Terraformコードの生成も)
- Optimize:コスト最適化
- Troubleshoot:トラブル対応もAIが支援
Vertex StudioからのCloud Runデプロイ
その他に昨年末からアップデートが入っていた内容がまとめてイベント内で公開されました。
- Cloud FunctionsがCloud Run Functionsへと名称変更
- Gemini Code AssistがCloud Run Functionsをサポート
- Cloud Storageのボリュームマウント
- Firebase App Hostingとの統合
- Direct VPC egress improvements
- Identity-Aware Proxy (IAP) Built-in
- Cloud Run Threat Detection
個人的に刺さったポイント
Vertex StudioからCloud Runにデプロイできる機能や、Cloud Run FunctionsにおけるGemini Code Assistのサポートなど、開発者が使いやすくなるアップデートが多かった点は嬉しい。
その他にGPUサポートが一般公開され、Cloud Runの活用の幅がさらに広がった。
最後に
Cloud Runはすでに「サーバーレス環境で実用性高い」として認知されていたと思いますが、2025年はGPUサポートや高可用性、Worker Poolの導入もあり、AI時代にも対応しうるサーバーレスプラットフォームに進化したと思う。