はじめに
この記事は、ラスベガスで開催されている Google Cloud Next 2025 のセッション聴講記事です。
セッションタイトル:
What’s new with grounding LLMs in Vertex AI
セッション内容は、Vertex AI のグラウンディングに関する最新アップデートに関するものです。
グラウンディングのおさらい
最初にグラウンディングについて少しおさらいします。
グラウンディングとは、事実に基づいた正確な情報を提供するための手法です。
そして、グラウンディングによるメリットは、主に以下が考えられます。
- Factuality (事実性)
- Up to date answers (最新情報による回答)
- explainability(説明可能性)
グラウンディングの主な利点は、事実性が得られることが大きく、ハルシネーション対策の文脈でも、よく耳にしますよね。
説明可能性は、いまいちピンとこないかもしれませんが、普段から AI チャットに質問を投げたりする際に、根拠となるデータの Webページの URL などとともに、回答してくれますよね!
これにより、生成 AI からの回答がどこからきたものなのか?という説明可能性が得られ、自分の目で確認したり、より回答を信頼して使用しやすくなりますね!
Google 検索によるグラウンディングによる、回答精度の向上量は凄まじしく、
グラウンディングしない場合に比べて、精度は150%UP!ハルシネーション発生率は、80%DOWN!
また、Vertex AI によるグラウンディングの選択肢はいっぱい!
このうち、New な2つは、この後の新機能で紹介します。
グラウンディングに関する新機能!
グラウンディングに関する新しいポイントは以下の3つです。
1. Grounding with Google Maps
2. Gemini 2.0 & Gemini 2.5 による業界最高水準の事実性
3. Web Grounding for Enterprise
1. Grounding with Google Maps
まさに、今週発表された Grounding with Google Maps ですが、
その名通り、Google Maps の持つ膨大で最新の地理空間データを根拠として利用することができる技術です。
Google Maps は、データソースとして世界中の地理データを持っており、その数、なんと、2億5,000万以上の場所に関する情報があり、なおかつ、毎日1億以上の情報の更新が行われるんだとか!!!
また、情報には、店舗や施設の名称、所在地だけでなく、営業時間、ユーザーレビュー、写真、説明、道順などなどなど、非常に多様な情報を含んでいます。
こ、これは、とてもでは無いですが、グラウンディングなしで、新鮮な情報を元に回答は難しいですね…。
また、API の過去の検索履歴などから、パーソナライズされた情報を提供することもできます。
さながら、専属のコンシェルジュのようですね…!
Grounding with Google Maps の詳しい情報はこちら
2. Gemini 2.0 & Gemini 2.5 による業界最高水準の事実性
まずは、具体的な Gemini 2.0 & Gemini 2.5 の事実性スコアから!
複雑なプロンプトに対して、より豊富で多様な応答を生成するために、Very Fan-out と呼ばれる技術を採用しているそうです。
具体的な動作としては、ユーザからの1つのプロンプトに対して、裏では最大10件の Google 検索を並列実行して、
複数の結果をもとに回答を生成してくれます。
1件だけだとたまたま引っかかった誤った情報源から誤った回答になりそうですが、複数の情報源から回答してくれると、安心感が増しますね!
また、Gemini 2.5 Pro では、思考プロセスの一部としてマルチステップ検索が可能になりました。
こちらの具体的な動作は、最初の検索結果に基づいてさらに検索を実行するなど、複数のステップを経てよりどんどん深い情報を取得しに行ってくれるそうです。
例として挙げられたのが、「2024年オリンピックの100メートル競走の優勝者はどこで生まれたか?」という質問に対して、
まず優勝者を特定する、次にその出生地を検索するという複数のステップを経て回答を生成くれます!
これにより、複雑な質問に対しても回答精度向上が期待できますね!
Gemini 2.0 & Gemini 2.5 では、マルチモーダルなグラウンディングができます!!
つまり、いつものテキスト情報だけでなく、画像や動画などのマルチモーダルな情報源に使うことができるそう。
画像の例では、PDF ドキュメントをアップロードして、そこに記載されている複数の企業それぞれの従業員数を質問しています。
すると、先ほどの Very Fan-out 技術により、各企業に対して個別の検索が実行され、その結果をもとに回答が生成します。
PDF アップロードするだけで、内部の情報を使えるなんて…
もはや、プチRAG ですね…!
3. Web Grounding for Enterprise
Web Grounding for Enterprise は、特に規制の厳しい業界(金融、医療、公共部門など)の企業向けのグラウンディングサービスです!
機密性の高い情報を扱う企業でも安心してグラウンディングすることができます。
すでに多くの有名企業に使用されています!
Web Grounding for Enterpriseの詳しい情報はこちら
さいごに
今回のセッションでは、Gemini 2.0 & Gemini 2.5 のグラウンディング機能について、Google Maps との連携や、事実性の向上、そしてエンタープライズ向けの機能などなど、グラウンディングの進化を目の当たりにしました!
特に、Very Fan-out やマルチステップ検索といった新たな技術で、より正確な深ーーい情報源をもとにした回答してくれるようになります。
旅行先などで、自分に合った楽しみ方を見つけやすくなりそうで、わくわくですね!