セッションタイトル

Presented by AWS: AI Agents: Building, Scaling, and Monitoring Autonomous Systems on AWS

はじめに

近年、AI技術の進化は目覚ましく、特に「エージェント」と呼ばれるAIがビジネスの現場にもたらす変革に大きな注目が集まっています。本記事では、AI エージェントの進化の段階から、AWS が提供する多様な構築・デプロイの選択肢、そして AI アプリケーションにおけるオブザーバビリティとセキュリティの重要性について掘り下げていきます。

AIエージェントの進化する形

AIエージェントは、その複雑さと自律性の度合いによっていくつかの段階を経て進化しています。

  1. シンプルなエージェント: 多くの顧客がエージェントシステムを始める際の安全な出発点です。特定の要件を理解し、実行することに焦点を当てています。
  2. 決定論的エージェント: マルチステップのワークフローを実行し、所定の手順に従う必要がある場合に利用されます。モデルは、設計時にすべてを指示されることなく、実行時にどのパスをたどるべきかを自ら選択します。部門ごとに手順が異なる従業員オンボーディングなどが典型的な例です。
  3. 自律型エージェント: 実行パターンを自律的に決定し、実行時に自動的に実行できます。これにより、真の「エージェントAI」の価値が実現され、ビジネスを次のレベルへと押し上げます。
  4. 仮想従業員(Virtual Workforce): さらなる進化として、顧客は仮想従業員のようなエージェント構築を模索しています。これらは単一のエージェントではなく、組織内外の複数のエージェントと連携し、人間の働き方を模倣して業務を遂行します。

AWSが提供するAIエージェント構築の選択肢

AWSは、エージェントの構築とデプロイに関して、幅広い選択肢を提供しています。AI戦略、専門知識、ビジネス要件、コスト性能、およびレイテンシーに基づいて、組織にとって最適なアプローチを選択する必要があります。

  • Amazon Q for business: これは、非常に効果的で高性能なAIアシスタントであり、組織のデータにアクセスするのに役立つ特化型エージェントの一例です。数百もの様々なデータソースやアプリケーションにデータが保存されている場合でも、Amazon Qはそれらを横断してインサイトを組み合わせ、クエリに回答し、アクションを実行できます。SalesforceやS3、SharePointなどのエンタープライズアプリケーションやリポジトリに接続するための40以上のフルマネージドコネクタが付属しており、既存のエンタープライズセキュリティも継承できます。
  • Bedrock Agent: エージェントの構築において柔軟性が必要であり、エージェントのライフサイクル全体を管理したい場合に最適なフルマネージドなエージェントプラットフォームです。この環境は、エージェントが何をすべきかをシンプルな自然言語ステートメントで指定するだけで、実行モデルの管理、ツール統合、監査性、トレーシング、短期および長期記憶、そして最も重要なナレッジベースやガードレールとの統合まで、エージェントライフサイクルの様々なステップをサポートします。また、要件、コスト性能、レイテンシーに基づいて、ファーストパーティまたはサードパーティの基盤モデルを選択できます。マルチエージェント開発にも対応しており、複数のエージェントを管理する複雑さもBedrock Agentに大きく依存することで迅速に開始できます。
  • Stance Agent: Bedrock Agentがフルマネージドな機能を提供する一方で、デプロイメント環境やエージェントの構築方法により詳細な制御を求める顧客向けにオープンソースSDKとして提供されています。Stance Agentはモデル駆動型のアプローチに基づいており、シンプルまたは複雑なマルチエージェントシナリオにも対応し、大規模にエージェントを構築・デプロイできます。ローカル環境だけでなく、本番スケールの環境にもデプロイ可能です。

生成AIにおけるオブザーバビリティとセキュリティ

AIエージェントを構築・デプロイする上で、オブザーバビリティ(可観測性)とセキュリティは信頼性の高いAIアプリケーションを実現するために不可欠な側面です。

  • オブザーバビリティの重要性: GenAIアプリケーションを監視するためのフレームワークが重要です。Datadog のようなパートナーが、オブザーバビリティとセキュリティに関してAWSと共に長年取り組んできました。ログ、プロセス評価、高度なメトリクスなどを捕捉することが重要です。責任あるAI(説明可能性、透明性、ガバナンス)を実現するためには、アプリケーションに対するオブザーバビリティが鍵となります。
  • AWSにおける共有責任モデル: AWSでは、クラウドのセキュリティと顧客のアプリケーションのセキュリティの間で責任が共有されています。AWSは「クラウドの」セキュリティ(安定性、信頼性、セキュリティ)を担当しますが、アプリケーションのセキュリティについてはユーザーが責任を負います。これには、エンドユーザーウェブサイトのセキュリティの実装や、データが適切に保護されていることの確認などが含まれます。
  • セキュリティファースト戦略: 常にセキュリティを最優先する戦略を取るべきです。また、「責任あるAI(Responsible AI)」は事前に考慮すべきことであり、後から修正に戻るようなことのないようにする必要があります。

まとめ

今日の主要なポイントとして、AIエージェントの構築とデプロイにおいては、以下の3点が重要です。
1. 適切なオプションの選択: ジョンが述べたように、エージェントを構築するには様々な方法があり、組織のAI戦略、専門知識、ビジネス要件に基づいて最適なアプローチを選択することが成功の鍵です。
2. セキュリティファースト戦略: 常にセキュリティを最優先する戦略を採用すること。
3. 責任あるAIの事前考慮: 責任あるAIについては、事前に十分に検討しておく必要があります。

AIの進化は目まぐるしく、常に変化していますが、これらの主要な原則を適用することで、最も成功するAIエージェントの構築と運用が可能になるでしょう。
AWS はそのための手助けをしてくれる仕組みを提供してくれます。