DX開発事業部の山中です。本記事は、 Google Cloud Next Tokyo 2025 で行われたセッション「Agent Development Kit で始める生成 AI エージェント実践開発」の参加レポートです。
セッション概要
タイトル: Agent Development Kit で始める生成 AI エージェント実践開発
スピーカー: 西田 駿史(アイレット株式会社 / DX開発事業部 セクションリーダー iretテクニカルアンバサダー)
セッション説明: 生成 AI は次のステージへ!Agent Development Kit (ADK) を使えば、自律的に考え行動するAIエージェントを驚くほど簡単に開発できます。本 LT では、ADK の基本から実践的な開発の勘所まで、具体的な実装テクニック、そして広がる応用可能性をデモを交えて実践的に解説します。
AI エージェントとは
様々な定義が飛び交う「AI エージェント」という言葉について「特定の目的やタスクをまるで人間のように自律的に遂行する AI アプリケーション」と本セッションでは定義しています。
AI エージェントは、人間が介入しなくても、外部の情報やツールを利用し、学習、自己判断、自己改善を繰り返しながら行動し、特定の目的を達成できるアプリケーションを指します。ただし、この言葉自体は若干バズワードに近く、明確な定義が定まっているわけではないという背景も紹介されました。
AI エージェント開発の現状
AI エージェント開発界隈は、現在、デファクトスタンダードが定まりきっていない、群雄割拠の様相を呈しています。
本日の目玉「Agent Development Kit」の紹介
多くの選択肢が存在する中、2025年4月に登場したのが、Agent Development Kit (ADK) です。ADK は、AI エージェント開発に特化したGoogle謹製のオープンソースの SDK です。
ADK は、特に Google Cloud のフルマネージドな AI エージェント実行環境である Agent Engine と組み合わせることで、簡単にオリジナルの AI エージェントを構築できる点が大きな強みです
デモ: ブログ作成エージェント
セッションでは、 ADK を活用して実際に構築された「ブログ作成エージェント」のデモが紹介されました。(GitHub: https://github.com/danishi/adk-blog-writer-agent)
このエージェントは ADK で作成され、Google Cloud の Agent Engine にデプロイされて動作しています。デモ環境は、 Cloud Shell での開発・デプロイから、 Streamlit を使用したリモート実行まで、すべて Google Cloud 上で完結する構成となっていました。
ブログ作成エージェントは、以下のような要素の組み合わせで構成されています。
- 情報収集を行うサブエージェント
- 記事を生成するサブエージェント
- アイキャッチ画像を生成するツール
デモ動画では、以下の流れでブログ作成をエージェントが実行しております。
- まずブログネタの検索を依頼
- ルートエージェント(ブログ作成エージェント)が、情報収集エージェントにネタ集めを依頼し、最近良さそうなブログのリストアップ
- ユーザーがリストから選んだネタに基づき、今度は別のサブエージェントにブログ執筆が依頼される
- しばらく待つと、ブログが完成
- ブログの内容を確認し、ユーザーがアイキャッチ画像の作成を依頼すると、裏側でImagenを利用したツールが呼び出され、画像が生成・表示
このデモを通じて、AI エージェントはわずか数プロンプトでブログネタの収集から執筆、アイキャッチの生成までを行なってくれる様子を見ることができました。
まとめ
本セッションのまとめとして、ADK は AI エージェント開発にフォーカスした Google 謹製の SDK であり、 Agent Engine と組み合わせることでオリジナルの AI エージェントを簡単に構築できることが改めて強調されました。
また、Google は ADK の他にも、エージェント同士の通信規格である A2A や、組織でエージェントを利用するための統合検索サービスである Google Agent Space など、 AI エージェントエコシステムとなるプロダクトを続々とリリースしています。これは、 Google が AI エージェント開発プラットフォームのデファクトスタンダードを担おうとしている戦略性を示唆しており、このエコシステムとの親和性が ADK の大きな強みであると結ばれました。
本セッションのスライドは こちら から参照可能です!