皆さんこんにちは!つい先日アイレットの DX 開発事業部に配属されました、森です。
この度、グーグル・クラウド・ジャパン合同会社(以下、Google 社) の協力のもと、DX 開発事業部の企画「AI Agent Hero Program」が立ち上がりました。2025年8月8日、プログラム内のイベントとして 1 Day ワークショップが実施され、私も現地で参加する機会をいただきました!今回のイベントを計画してくださった 中谷 祐輔 様、最後のセッションの講師を務めていただきました 菊地 高史 様、本当にありがとうございました!
本記事では「AI Agent Hero Program」の 1 Day ワークショップの様子を、参加して感じたことを交えながら、レポート形式でお届けします。
「Google Cloud Agent Hero Program」 とは?
初耳の人も多いでしょう、「AI Agent Hero Program」とは、Google Cloud 様協力のもと、AI 駆動開発をリードする人財を育成することを目的とした共同プログラムです。本記事の 1 Day ワークショップは本プログラムの一部であり、最終的には DX 開発事業部とコーポレート統括本部協働で複数チームに分かれ、業務に役立つ AI エージェントを開発し、コンペティション形式で最優秀賞を決めるというものです。
「Google Cloud AI Agent Hero Program」は、2024 年に続き 2 回目(去年は 「Google Cloud Gen AI Hero Program」と題して実施していました)で、昨年も 1 Day ワークショップを Google 様より実施いただきました。今年もオンライン・オフラインのハイブリッド形式での開催になります(2024年の第一回レポート記事はこちら!)
Google オフィス潜入!AI 開発の熱気を肌で感じる
会場は、渋谷ストリーム14階にあるGoogleオフィス。今回のワークショップは「匠」という部屋で行うようです(他の部屋も和風ネーミング!渋い!)
今回、アイレットからはオンライン・オフライン含め約 90 名が参加しており、本ワークショップの注目度の高さが見て取れます!
カフェテリアや会議室からは、渋谷の高層ビル群が一望でき、私も思わず気持ちが昂ってきます…!
ADK と Agent Engine が主役!AI エージェント開発の核心に迫る
初めに、中谷様直々に基本概念の解説をしていただきました。
今回のプログラムのメインテーマは「ADK(Agent Development Kit)」と「Agent Engine」の2つです。
ADK(Agent Development Kit)とは?
ADK は、AI エージェント開発を効率化するためのフレームワークです。
特に印象的だったのは、マルチエージェントの概念。エージェントを親子に分けてワークフローを構築することで、複雑な処理も簡単に実現できるという点です。ちょうど担当を決めて分担作業をするイメージでしょうか?
ADKを構成する重要な要素について、以下のような解説がありました。
- Runner: ユーザーと直接対話する部分。実行ロジック同士の橋渡し役
- LlmAgent: エージェントのコアとなる最小構成要素。
description
とinstruction
でエージェントの振る舞いを細かく定義することが重要 - Workflow Agents: 複数のサブエージェントを順序立てて実行したいときに使用する
- Tool: エージェントに外部機能を与えるコンポーネント。Vertex AI Search やカスタム関数など、さまざまなツールを連携させてエージェントの能力を拡張できる
- Callbacks: エージェントの実行前後に処理をフックできる機能。デバッグやログ取得に非常に便利
- Context: エージェントやツールがキーバリューを使って、Session や State へアクセスするための手段のこと
- State: データのストレージ。現在の会話セッションの中でも特に重要な情報を保持しておく部分
これらの要素を組み合わせることで、目的に応じた柔軟な AI エージェントを構築できることを学びました。
後半プログラムに入る前にお昼休憩
今回、軽食や飲み物、昼食までご用意いただき、Google 社の厚意に感謝しかありません!
特に昼食は、さすが グローバル企業といった様相で、ビーガンの方にも配慮されたビュッフェ形式。見慣れないおしゃれな料理がたくさん並んでいて、目でも舌でも楽しめました。
ワークショップで実践!ハンズオン形式で開発を体験
おしゃれランチで英気を養ったところで、プログラムの後半に入ります!
実際に手を動かすワークショップ形式で進みました。
ワークショップ1:ADK 開発の基本を学ぶ(※ ランチ前に実施)
タイトル:「Get started with Agent Development Kit (ADK)」
最初のワークショップでは、ADK 開発の基礎を学びました。
- ADK Dev UI やコマンドラインインターフェースの使い方
- エージェントのディレクトリ構造
- エージェントを構築する際のオプション設定
など、ADK の全体像を把握するための内容でした。とても完成度の高いワークショップで、事前知識のほとんどない自分でも ADK の何たるかが理解できたと思います。
ワークショップ2:エージェントに外部機能を組み込む
タイトル:「Empower ADK agents with tools」
次のワークショップでは、ADK エージェントの Tool オプションを使って追加機能を組み込む方法を学びました。
Google 社提供の Vertex AI Search ツールを使って、独自のデータストアに基づいて応答を生成する、いわゆる「グラウンディング」の仕組みを体験。これにより、AIがより正確で信頼性の高い応答をできるようになることを実感しました。
ワークショップ3:本格的なAIエージェントを構築
タイトル:「データベース向け MCP ツールボックスとエージェント開発キット(ADK)を使用して旅行代理店を構築する」
後半は Qwiklabs に移動し、MCP(Model Context Protocol)Server Toolkit を使って、ローカルで MCP サーバーを構築し、データベースへのアクセスハブを作成。それを ADK エージェントと連携させ、Agent Engine にデプロイしてパブリックアクセスできるようにしました。
これにより、特定のデータベース情報を参照した旅行先の情報を教えてくれるような、より実践的なAIエージェントを構築することができました。
ワークショップ4:GUIでAIエージェント開発!?
最後は、GUI 上で ADK による AI エージェント開発を行える「ADK Studio(仮)」を紹介いただき、その後実際に自分達でもその ADK Studio をデプロイし、ツール上でのエージェント構築を実施しました。講師を務めて頂いた菊地様が Gemini CLI を活用して 0 から個人的に作成しているとのことで、その開発力に本当驚かされました(テストケースも Gemini CLI に作らせてツールとしての精度を高めているようです)。
まだ開発中の段階とのことですが、今後このようなツールが一般公開されれば、より手軽にAIエージェントを構築できるようになるでしょう。菊地様、是非公式としての発表を期待しています!
まとめ:AI エージェント開発の未来を感じる一日
本ワークショップは Google 社が提供する最先端の AI 技術と開発手法をハンズオン形式で深く学べる、非常に有益なワークショップでした。
ADK や Agent Engine といった強力なツールを使いこなせば、より複雑で実用的な AI アプリケーションを効率的に開発できることを実感しました。今回学んだ知識を活かして、今後の開発に役立てていきたいと思います。AI エージェント開発に興味を持つ方はこれからも Google 社の新情報をお見逃しなく!
最後に本ワークショップを主催いただいたグーグル・クラウド・ジャパン合同会社並びに、企画いただいた方々に多大な感謝を!
- パートナーエンジニアリング本部 パートナーエンジニア 中谷 祐輔 様
- パートナーエンジニアリング本部 パートナーエンジニア パートナーエンジニア 菊地 高史 様
また、イベント運営を担当していただいた弊社の DX 開発事業部 事業部アシスタントの柴田さんもありがとうございました!
最後までお読みいただきありがとうございました!