クラウドインテグレーション事業部の片山です。
2025年10月13日〜16日(現地時間)にラスベガスで開催中のイベント、Oracle AI World 2025に現地参加してきました。

今週から日常の業務に戻り、はやくもラスベガスを懐かしく感じています。少し間が空いてしまいましたが、今回から後追いでセッションレポートのアップを再開していきます!

今回は「GoldenGate Everywhere: Real-Time Multicloud Streaming with Azure and Google」というセッションのレポートをお届けします。

セッション概要

企業がマルチクラウド環境でのデータ活用を加速させる中、リアルタイムでのデータ連携と一貫性の確保は、ビジネスの成否を分ける重要な課題となっています。

本セッションでは、OracleNick Wagner氏(Senior Director, Product Management)、Grobal Payments社のGovindaraj Palanisamy氏(Principal Enterprise Architect)、Prosolutions社の選任サポートコンサルタントでありOracle ACE Directorにも認定されているGavin Soorma氏が登壇しました。
セッションではOracle GoldenGateの最新動向と今後のAI統合ロードマップの紹介に加えて、具体的な活用事例等の紹介がありました。

セッション内容:Oracle GoldenGateマルチクラウド連携の戦略とAI機能、活用事例をご紹介

Oracle GoldenGateは、長年の実績に基づき、OCIネイティブの機能と同一の機能性を保ちつつ、主要なパブリッククラウドとの緊密な連携を進めています。

Microsoft Azureとの連携

フルマネージドサービス: OCI GoldenGateのフルマネージドバージョンをAzure内で展開可能になりました。
提供リージョン: 東日本を含む5リージョンでGA済みです。
コネクタサポート: Big Dataコネクタ、およびOracle、SQL Server、DB2、MySQL、Postgresといったリレーショナルデータベースコネクタを含む、全てのコネクタが標準で利用可能。
ユースケース: 高可用性(HA)、災害復旧(DR)、アクティブ/アクティブ構成、データレイクへのフィード、Microsoft Fabricへのデータ連携など、多岐にわたるユースケースで活用が可能。

Google Cloudとの連携

パートナーシップ:Oracle Database@Google Cloud Partnershipの一環としてGoldenGateが組み込まれています。
GA予定;現時点ではGA前ですが、2026年早期のリリースを目標にしていますとのこと(複数リージョンで開始予定)。
初期コネクタ:Google Cloud側の実装の違いにより、初期はコネクタの一部が提供され、順次追加される予定です。
主要なGoogleテクノロジーとの連携:BigQuery、AlloyDB、Pub/Sub、Cloud SQL、Cloud Storageといった主要サービスをサポート。

AWS環境での利用

現状:現時点では、マネージドOCI GoldenGateのAWSパートナーシップへの組み込みは承認されていません。
代替手段:顧客はEC2上でGoldenGateセルフマネージド版を実行することで対応しています。何百もの顧客がこの方法で利用している実績があるとのこと。

今後のリリースとAI統合ロードマップ

• 名称変更:マイナーアップデートで名称をOracle GoldenGate 26 aiに変更予定とのこと。
• AI統合レベル1(設定自動化): ユーザーがチャットボット形式でGoldenGateと対話できるようにする機能を追加予定。例として、「システムAとシステムBの間でレプリケーションを設定して」とチャットで指示するだけで、REST APIを通じて設定を自動生成することが可能に。
• AI統合レベル2(データ識別/マスキング): リアルタイムでPII(個人識別情報)やクレジットカード情報などをAIが識別し、自動的にマスキングする機能が提供される予定です。
リリース予定のAI機能は、必要に応じてインストール時にオフに設定することも可能とのこと。

医療分野での活用事例(西オーストラリア州の保健局)

西オーストラリア州の保健局のプロジェクトでは、GoldenGate4年以上にわたり利用され、市民の健康に不可欠な情報のリアルタイムな提供を支えています。

目的:病院のベッド利用状況、医師の配置、救急治療室の待ち時間などのクリティカルな情報をダッシュボードに表示。
データソース;オンプレミスおよびクラウド(AWS, OCI)上の多様なデータベース(SQL Server, Oracle, Snowflakeなど)。
要求速度の進化;プロジェクト開始時は5分ごとの最新データを利用できることを要件としていましたが、GoldenGateでのリアルタイムデータ同期により現在は1分ごとの情報表示が可能に。
アーキテクチャの進化:

 ◦ プロジェクト初期はGoldenGateVM上にインストール、データ連携時にBlobを経由する必要があったりと複雑な構成を取っていた。

◦ 20233月移行、GoldenGate for SQL Serverがクラウドサービスとして利用可能になり、Snowflakeへのダイレクトターゲット書き込みが実現。これにより構成の簡素化安定性向上達成。

おわりに

以上、「GoldenGate Everywhere: Real-Time Multicloud Streaming with Azure and Google」に現地参加してのセッションレポートをお届けしました。

今回のセッションでは、Oracle GoldenGateが、データベースレプリケーションツールとして進化を続け、これからのマルチクラウドおよびAI時代のリアルタイムデータストリーミングにおいて、極めて重要な役割を果たしていることが明確になりました。

特に、Azureとのフルマネージド連携のGA や、今後のGoogle Cloudとの連携強化、そして新たなAI機能の統合企業がデータガバナンスと高可用性を維持しつつ、デジタルトランスフォーメーションを加速させるための助けになると感じました。
OCIへの移行やHA構成の提案にとどまらず、様々なプラットフォームで活用のチャンスが有るかと思うので、機会があれば提案・活用していきたいと思っています。

最後までお読みいただきありがとうございました。
引き続きセッションレポート等のアップを予定していますので、興味があればぜひまた見て来ください。