はじめに
こんにちは!
DX開発事業部のモダンエンジニアリングセクションビジネスソリューショングループ配属の戸塚晴菜です。
2025年12月18日、Gemini 3の最新モデル「Gemini 3 Flash」のパブリックプレビューが発表されました。👏
今回のGemini 3 Flashは、「処理の速さ」と「精度の高さ」をより高いレベルで兼ね備えた、非常に使い勝手の良いモデルになっていると感じています!
本記事では、公開されたばかりの情報を整理し、Gemini 3 Flashと以前のモデルとの比較、実際のデモ、活用法についてご紹介します!
まずは Gemini の歴史について解説!
今回のGemini 3 Flashに至るまで、Geminiシリーズはすごいスピードで進化してきました。
簡単な流れをご説明します!
2023年12月:Gemini 1.0 登場
Google初となるネイティブマルチモーダルモデルとして誕生しました。
「Ultra」「Pro」「Nano」の3サイズで展開されました。
2024年2月〜5月:Gemini 1.5 シリーズと「Flash」の誕生
コンテキストウィンドウが最大200万トークンに拡張されロングコンテキストが可能になりました。
さらに5月には「Gemini 1.5 Flash」が登場し、高速かつ安価なこのモデルは、後のFlashシリーズの基礎を築きました!
2024年末〜2025年前半:Gemini 2.0 / 2.5 シリーズ
2024年12月に「Gemini 2.0 Flash」が発表され、6月に「Gemini 2.5」シリーズが正式リリースされました。
特に「Flash」モデルは、実用的なアプリケーション開発における標準的な選択肢として定着しました。
2025年11月18日:Gemini 3 Pro リリース
次世代となる「Gemini 3」シリーズの第一弾としてProモデルが登場しました。
推論能力や複雑なエージェント処理能力が飛躍的に向上しました。
そして2025年12月18日、Proモデルの高い知能と、2系で培った高速性を統合した「Gemini 3 Flash」が登場しました!🦸
こうして振り返ると、Gemini 1.0の発表からまだ約2年しか経っていないことに改めて驚かされます。
以前は「コスト」や「処理速度」の面で諦めていたものも、実現しやすくなるので、開発の選択肢が大きく広がると思います!
今回発表されたGemini 3 Flashの進化のポイント
Gemini 3 Flashは、上位モデルであるGemini 3 Proの高度な推論能力をベースにしつつ、高頻度なワークフローやリアルタイム性が求められるシステム向けに最適化されたモデルです!
Googleの発表によると、主な特徴は以下の3点です。
- ニアリアルタイムの応答速度
レイテンシが極限まで抑えられています。
ライブカスタマーサポートやゲーム内アシスタントなど、一瞬の遅れがストレスになる対話型アプリでも、人間と話しているようなスムーズな応答が可能です。 - Proモデル譲りの高度な推論能力
これまでの軽量モデルの常識を覆し、Proモデルで培われた高度な「推論力」を受け継いでいます。
手書き文字の読み取りや複雑な契約書の分析といった難易度の高いタスクも、この軽快なモデルで高精度にこなせるようになりました。 - 圧倒的なコストパフォーマンス
大規模な自動化パイプラインや、大量のドキュメント処理など、実行回数が膨大になるタスクでも、コストを気にせず使うことができる設計になっています。
機能実装の際、これまでは「精度重視のPro」か「速度重視のFlash」かで迷う場面が多かったのですが、この性能ならGemini 3 Flashを選べるシーンが増えそうです!
開発の初期段階からコストとユーザー体験の両方を高いレベルで両立できるのは、とても魅力的だと思います!
Gemini 3 Flash を徹底比較!
Gemini 3 Flashが具体的にどの程度進化しているのか、Gemini 2.5 Flash、および上位モデルであるGemini 3 Proとの違いを比較表にまとめました。
| 比較項目 | Gemini 3 Flash (最新) | Gemini 2.5 Flash | Gemini 3 Pro |
| 推論・思考力 (GPQA) | 90.4% | 82.8% | 91.9% |
| 画像・動画の理解 (MMMU) | 81.2% | 70.5% | 81.0% |
| コーディング (SWE-bench) | 78.0% | 60.4% | 76.2% |
| コンテキスト窓 (扱える量) | 100万トークン | 100万トークン | 100万トークン |
| 入力料金 (100万トークンあたり) | $0.50 | $0.30 | $2.00 |
| 出力料金 (100万トークンあたり) | $3.00 | $2.50 | $12.00 |
表を見ると分かる通り、Gemini 3 Flashは「2.5 Flashの速度・安さ」を維持したまま、頭脳をGemini3 Proレベルに引き上げたモデルと言えます!
【検証】実際に Gemini 3 Flash でゲームを作ってみました!
Gemini 3 Flashを使って簡単なWebゲームを作ってみました。
今回のお題は、「動物モチーフでネオンカラーな丸バツゲーム」です。
- プロンプトの入力
今回は、デザインの指定と「1つのファイルにまとめる」という実装要件を合わせて、以下のようなプロンプトを投げました。
プロンプト: 「HTML5とJavaScriptを使って、ネオンカラーで明るいポップな見た目デザインで、動物がたくさんいる、三目並べゲームを作ってください。勝敗判定のロジックとCSSも含めて、1つのファイルにまとめて出力して。」
- 生成スピード
実際の生成されている様子をご覧ください。
Enterを押した直後から、とても早いスピードでコードが生成されていきます!
考え込む時間や、コード生成中に止まったりすることもなく、書いてくれました!
HTML、CSS、JavaScriptを1つのファイルにまとめるという指示も守られています。
- 完成したゲーム
そして、出来上がったゲームがこちらです!
「ネオンカラー」で「ポップ」という抽象的なデザイン要望が完璧に反映されています!🐶🐱
タップした時のアニメーションや、勝敗判定(「おめでとう!🐶の勝利!」)のロジックもしっかり動作しています!
一発で意図通りに動くものをこの速度で作れるのが、Gemini 3 Flashの魅力だと感じました!
現場で実感!Gemini 3 Flashが解決する課題
公式発表では、すでに多くのパートナー企業がGemini 3 Flashの威力を実感している事例が紹介されています。
- 複雑なデータ抽出の精度向上(Box社)
Box社の検証では、Gemini 2.5 Flashと比較して精度が15%も向上したそうです。
特に、手書き文字が含まれる文書や、複雑な財務データ、長文の契約書からの情報抽出といった「難易度の高いタスク」で活用されています! - コーディング支援の高速化(Cursor / Replit社)
私たちが日々の開発で利用するAIエディタでも、Gemini 3 Flashの導入が進んでいます。
バグの根本原因の特定はスピードが大切ですが、Flashはそのスピードを維持したまま、正確な修正案を提示してくれます。デバッグ作業がさらに捗りそうですね! - 自律型エージェントの核として(ClickUp社)
「ユーザーの抽象的な目標を具体的なタスクに分解する」といった、高度な推論が必要なエージェント機能。
Gemini 3 Flashはプロンプトへの指示遵守能力が非常に高く、複雑なワークフローの順序立てを正確に行えるため、次世代のAIエージェント開発において「標準モデル」になると期待されています!
Vertex AIでの利用とこれから
Gemini 3 Flashは、すでにVertex AIやGemini Enterpriseでプレビュー利用が可能になっています。
Google Cloudの強みは「AIモデル」単体だけでなく、それを支えるプラットフォームにあると思います!
今回のアップデートでは、AIエージェントの構築を支援する「Vertex AI Agent Engine」も正式提供が開始され、以下のような連携が可能になります。
- 長期記憶(Memory Bank)を活用した、より人間らしいパーソナライズ対話
- コード実行(Code Execution)による、正確な計算やデータ処理の自動化
インフラ管理やセキュリティ設定をGoogle Cloud側に任せつつ、このスピーディーなGemini 3 Flashを組み合わせることで、これまで難しそう、と諦めていたアイデアも、実現できる手段が広がったと思います!
まとめ
実際にGemini 3 Flashの情報を整理してみて、これまで開発の現場で常に課題となっていた「高い精度と応答速度の両立」を実現する、非常に実用的なモデルだと感じました!
Geminiの 技術の進化スピードは本当に速いですが、その分エンジニアとしての選択肢も広がっています。
私もGemini 3 Flashを使って、よりレスポンスの速いアプリケーション開発に挑戦していきたいと思いました!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
参考リンク
Gemini 3 Flash for Enterprises | Google Cloud Blog
Agent Prompting Guide: How to Build Reliable AI Workflows | ClickUp Blog
