こんにちは、デザイン事業部デザイナーの武井です。
作ったペルソナが、単なる「人物のプロフィール帳」になっていませんか?
ペルソナ作成において、年齢や性別などの属性設定は本質ではありません。
一番重要な情報は「ユーザーのゴール(目指したい姿)」です。
なぜなら、ユーザーのゴールを叶えることこそが「人間中心設計」の考え方の根幹であり、ビジネスの成功を左右するからです。
私自身、これまでペルソナの活用法にいまいちピンと来ておらず、モヤモヤを抱えていました。
しかし、『サービスデザイン思考』(井登友一 著)でその本質を知り、さらに「AI」を掛け合わせることで、スムーズにペルソナを作成することができました。
本記事では、「人間中心設計」に基づくペルソナ作りのポイントと、効率化するためのAIと人の役割分担について紹介します。
目次
ペルソナ手法の考え方
「属性」ではなく「価値観とゴール」に着目する
年齢や性別といった単なる「セグメンテーション(属性による分類)」ではなく、それを超えて存在する「共通の価値観」と「目指すゴール」に着目します。
価値観で結びつく層をターゲットにすることで、結果的に自社のビジネスにとって必要十分な市場規模を狙うことが可能になります。
「こんな人いそう!」と感情移入できる人物像にする
実在しそうなリアルな人物像にすることが大切です。
作り手がペルソナに感情移入できるからこそ、隠れたユーザーのニーズを発見することに繋がります。
「余白」からアイデアを生み出すツール
1枚のシートに書かれた情報だけが重要なのではありません。
そこに「書かれなかった」日常や背景に思いを馳せ、ユーザーに提供するアイデアを生み出すためのツールであると理解することが大切です。
ペルソナに必要な要素
⚠️ 注意:1枚のシートにコンパクトにまとめよう
大量の情報が記述されたペルソナは、直感的に理解し、記憶することができません。
たくさんのデータの中から、そのペルソナを特徴づける要素を丁寧に選び抜いてまとめましょう。

①顔写真
人は他人を外見の印象で判断しやすいため、重要な要素です。
- ポイント💡:「内面(顔以外の要素)」を完成させてから、最後に「外見」の写真を被せましょう。最初に外見を決めてしまうと、その写真のイメージに引っ張られてステレオタイプなペルソナになってしまうのを防ぐためです。
②基本属性
年齢や性別(デモグラフィック)、職業や社会的立場(ソシオグラフィック)などの情報です。
- 必ずしも、対象となる実在の人物と全く同じ情報である必要はありません。
- ペルソナの「内面」を端的に表現できそうな設定にすることが重要です。
③そのペルソナを端的に表すキャッチコピー
どんなパーソナリティや価値観を持っているのか、チームの誰もが直感的に理解するための一言やキーワードです。
④ゴール(⭐️最も重要な情報)
ペルソナが達成したいこと=ゴールです。
- このゴールが達成できるようにサービスを考える必要があるため、ここが人間中心設計の要となります。
- 「なぜ」そのゴールを達成したいと考えるのかという背景(コンテキスト)は、次の「⑤ストーリー」に盛り込みます。
⑤ストーリー
ペルソナが製品やサービスとどのような状況で関わり、どんな意味を持っているのかを、製品を使用していない時間も含めた「日々の生活」に埋め込まれた世界観として描きます。
なぜその価値観を持つに至ったのか、理由を描写しましょう。
- ポイント💡:ストーリーをゼロから文章で書き起こすのは難しいため、ユーザーの「ペイン(不満・困りごと)」と「ゲイン(期待・嬉しいこと)」に分けて箇条書きでまとめるのがおすすめです。特別なスキルもいらず、分かりやすいからです。
AIと人の役割分担
AIが得意な作業はAIに任せ、人間は人間にしかできないことに注力しましょう。
AIに任せるべきこと🤖
大量データの処理、分類、要約、パターンの抽出、文章の肉付け、アイデアの大量生産。
人がやるべきこと🙋
一次情報(ナマの声・感情)の獲得、最終的な意思決定、「ユーザーへの共感」。
「ユーザーへの共感」とは?
言葉の裏にある「本音」を察し取る力:表情や声のトーンから微妙なニュアンスを察し取ることは、人間にしかできません。
「身体的・感情的な痛み」を想像できること:ユーザーの悩みを自分の肌感覚と結びつけて想像できるからこそ、「なんとかして解決してあげたい」という強い原動力が生まれます。
AIが整理した論理的なデータに対し、人は「血の通った人間の感情」と「絶対に解決したいという熱量」を吹き込み、チューニングを行う。これが理想的な形です。
AIを活用したペルソナ作成 4ステップ
ステップ1:情報の収集(リサーチ)
実際のユーザーや調査協力者へのインタビュー、アンケート、アクセス解析などから、事実に基づくデータ(定性・定量)を集めます。
- 担当:人 🙋(※文字起こしはAIに任せる)
-
理由: AIは世の中の一般的な傾向を出力するのは得意ですが、「そのサービスを使っているリアルなユーザーの生の声」は持っていません。
インタビュー中の微妙な表情の変化、言葉に詰まった瞬間など、人間の複雑な感情を汲み取れるのは、「人」の強みです。
ステップ2:データの分類と傾向の抽出
集めた情報から「共通する行動パターン」「価値観」「抱えている課題」などを洗い出し、特徴をまとめます。
- 担当:AI 🤖
-
理由: インタビューの文字起こしやアンケート結果など、大量のテキストデータから共通のキーワードや頻出する不満を分類・抽出するのはAIが得意です。
人間がやると数日かかる作業を数秒で処理し、見落としがちなパターンの発見にも役立ちます。人間は、AIが出した結果に「違和感がないか」をチェックします。
ステップ3:ペルソナの骨格づくり
基本属性に加え、ゴール(成し遂げたいこと)、ペイン(不満・困りごと)、ゲイン(期待・嬉しいこと)を言語化して落とし込みます。
- 担当:AIと人の協働 🤖🙋
-
理由: ステップ2のデータを元に「ゴール・ペイン・ゲインに整理して」とAIに指示を出せば、骨格は一瞬で作ってくれます。
人間は、それが「本当に自分たちのターゲットとして納得感があるか」「都合の良い理想像になっていないか」をジャッジし、ニュアンスを調整します。
ステップ4:肉付けと仕上げ
チームの誰もが「こういう人、本当にいそう!」と直感的にイメージできるよう、象徴的なキャッチコピーや顔写真、リアルな日常のエピソードを添えて仕上げます。
- 担当:AI 🤖
-
理由: 「この人の価値観を表すキャッチコピーを5つ考えて」「この人の顔画像を生成して」といったクリエイティブな肉付けはAIの得意分野です。
人間は、出てきたアイデアの中から一番「チームの解像度が上がるもの」を選び、仕上げます。
まとめ
ペルソナ作成は、単に架空の人物のプロフィールを埋める作業ではありません。
ユーザーの「本当のゴール」を見極め、チーム全員で「この人を助けたい」と共感するための大切なプロセスです。
AIを活用すれば、瞬時にペルソナのベースを作れる時代になりました。
- ユーザーのゴール(目指したい姿)を意識する
- なぜそのゴールを目指すのか、日々の生活を通して描く(※ペインとゲインで整理するとよい)
- 「こんな人いそう!」と感情移入できる人物像にするために、キャッチコピーや顔写真を用意する
など、ペルソナ作成のポイントを押さえ、作っただけで満足せず活用できるペルソナを作りましょう!
参考
- 書籍『サービスデザイン思考 ―「モノづくりから、コトづくりへ」をこえて』井登 友一 (著)
- 記事「ペルソナの作り方、実例・解説付き! ターゲット分析を超える、次の一手!」