はじめに

こんにちは。
アイレットMSPの多野です。

本記事ではNVIDIA GTC 2026で語ったNVIDIAが見ている未来について、深掘り分析し未来についての解像度を高めていきたいと思います。
なんらかの形でみなさんのお役に立てれば幸いです。

また今回ご紹介させていただく基調講演は以下となります。

NVIDIA GTC 2026 基調講演

開催日:現地時間 2026年3月16日(月)
登壇者:NVIDIA CEO ジェンスン・ファン氏
URL:https://www.nvidia.com/ja-jp/gtc/keynote/

NVIDIAについて


軽くNVIDIAについてご紹介したいと思います。

1993年4月5日創業
もともとは3Dグラフィックス処理向けの半導体を開発・販売をメインとする会社として創業しました。

2004年〜2006年
AI研究者の中でGPUが計算用途として使われ出したのをいち早く察知し、2006年にAIの研究開発を出来るように拡張するCUDAを導入します。当時を振り返るとCUDAへの投資は大きな賭けだったと言う風に言われています。

2012年
AIのすべてはここから始まったと言われる運命の日 AlexNet がやってきます。
ここからGPUで大規模ニューラルネットを学習すると性能が一気に伸びることを世界に示し、GPUはAI計算の本命になりうると広く認識される転換点でした。
またこの頃からNVIDIAもAIを事業の中心テーマとして押し出し始めました。

2016年
最初のAI向けGPU DGX-1を発売
後に語られる逸話ですが、当時は買い手が居なく唯一買ってくれたのがイーロンマスクで、それを使ったのは最初期のOpenAIだったと語られています。

2017年〜2019年
生成AIの今に繋がるTransformer 論文が発表され、大規模言語モデルのアーキテクチャが確立され、その流れのまま新しいGPUを発売していきました。

そして2020年。
OpenAIから、『モデル・データ・計算量』を増やせば増やすほど生成AIの性能は上がると言う スケーリング則 理論が提唱され、大・生成AI時代の幕開けとなりました。

2022年〜2026年
そしてNVIDIAは生成AIの特徴をきちんと理解し、未来の生成AI時代に必要な処理能力を先読みし、基盤を開発し、未来に耐え得る性能を持つHopper、Blackwell、Rubinとどんどん新世代のGPUを開発し量産しています。
またGPUサーバーの内容もGPU単体ではなく、GPU・CPU・HBMメモリ・DPU・スイッチ・イーサネットなどを含めた設計や開発などを行っており、これらは未来の生成AI市場にとって最適な形で行われています。
これらにより現在の生成AIの性能は基盤側の影響がかなり大きく、AI全体を牽引していると言っても過言ではありません。

そんなNVIDIAが語った未来

こんな未来が見えすぎている会社、NVIDIAが語る内容は今後のAIの行く末を垣間見れる貴重な機会でもあります。

NVIDIA GTC 2026とは

NVIDIA GTC 2026は毎年3月に行われる年1のイベントになります。
その中での基調講演は特に重要なイベントであります。
AIは基盤以上の性能は発揮しないわけですし、その基盤を先回りして開発している企業が何を重要視し、何をしようとしているのか。

前年のNVIDIA GTC 2025ではこれから推論が主戦場になること、そのためにトークンを大量かつ高効率で生産するAI factoryが重要であること、そのための製品がBlackwell、Vera Rubinであり単体のGPU性能だけでなくメモリ容量帯域、データ移動すべてが揃って高効率を達成すること、光であるシリコンフォトニクスを開発すること、そしてもう1つの大テーマであるphysical AIが語られました。

要するにAIの中心は学習から推論へ移り、チャットでAIを使うだけではなく、常時推論、止まらない運用や、AIが現実世界に波及することを示唆していました。

今回は何が語られたのか一緒に見ていきましょう。

NVIDIA GTC 2026から読み取った主要メッセージ

まずは私が今回のNVIDIA GTC 2026から感じた主要なメッセージをお伝えします。

私なりに感じたメッセージは、これから現実世界に波及する本格的なAI時代の幕開けとなることを示唆する内容で、水平方向へオープンな戦略をより全面に押し出しているように感じました。

そしてその時代においてNVIDIAは確固たる基盤を築き上げ、ソフトウェアとの垂直統合を経て、超高効率なトークン生成を可能とし、NVIDIAが提供するAIエージェント、自動運転、人型ロボット、産業用ロボット、創薬などにおいてオープンソースのフレームワークやライブラリ、学習済みモデルを動かすことを前提としていることが語られました。

NVIDIA GTC 2026の内容

CUDAの20周年とデータ処理の進化

基調講演で一番最初に語られたのはCUDAの重要性でした。

このCUDAは世界中で使用されており、実行出来るアプリケーションも非常に多く、継続的なアップデートとCUDAコミュニティの結果、スタンダードとなっています。

世界中でCUDAを実行する何億ものGPUとコンピューティングシステムを構築するのに20年かかりました。私たちはすべてのクラウドに存在しています。すべてのコンピューター企業に存在しています。ほぼすべての業界にサービスを提供しています。CUDAのインストールベースこそが、フライホイール(弾み車)を加速させる理由です。インストールベースが開発者を惹きつけ、その開発者がブレイクスルーをもたらす新しいアルゴリズムを作成します。

またデータ処理高速化の基盤ライブラリの発表がされました。
コンピューティングリソースそのものがGPUへと置き換わっていくのかも知れません。

データフレーム(構造化データ)のために「cuDF」を作成しました。そしてベクトルストア(セマンティックデータ、非構造化データ、AIデータ)のために「cuVS」を作成しました。これら2つのプラットフォームは、将来最も重要なプラットフォームの2つになるでしょう。
世界のデータ処理システムという複雑なネットワーク全体で、これが採用されるのを見るのは非常にエキサイティングです。データ処理は長い歴史があり、非常に多くの企業、プラットフォーム、サービスが存在するため、このエコシステムに深く統合するのには長い時間がかかりました。

推論の時代とAIファクトリー

1年前の3月頃の状況はGemini 2.5proが出たかどうかの時期でした。
その頃に比べるとコーディングAIエージェントや、AI検索など様々なAIアプリケーションが推論を行い、生産性に寄与しています。

ついにAIは生産的な仕事ができるようになりました。したがって、「推論(Inference:実行フェーズ)」の変曲点が到来したのです。
AIは今や考えなければなりません。考えるためには、推論(インファレンス)しなければなりません。AIは今や行動しなければなりません。行動するためには、推論しなければなりません。AIは読まなければなりません。そのためには推論しなければなりません。論理的に考え(reasoning)なければなりません。推論しなければなりません。

そしてこの推論需要はまだまだ増大していき、NVIDIAは最も低コストなAIインフラだと語っていました。

すべてのクラウド企業、すべてのコンピューター企業、すべてのAI企業、いや、すべての企業が、自社の「AIファクトリー」の効率性について考えるようになるでしょう。これが皆さんの未来の工場です。なぜ私がそれを知っているかというと、この部屋にいる全員が「知能」を原動力にして生きているからです。そして将来的には、その知能はトークンによって拡張されることになるからです。

次世代アーキテクチャ「Vera Rubin」とGroqの統合


実質的な買収を経てこの短期間で推論というただ1つのワークロードのためだけに設計されたGroqをNVIDIAエコシステムへと統合させたのは驚きです。

PrefillはRubinで行い、decodeはGroqチップで行うように設計され、特別なモードを備えたEthernetと、AIファクトリーのオペレーティングシステムである「Dynamo」を使用すると爆発的な性能向上を果たしたと説明していました。

Vera Rubin NVLink 72。3.6エクサフロップスの演算能力、毎秒260テラバイトのAll-to-All NVLink帯域幅。エージェント型AIの時代を強力に推進するエンジンです。
オーケストレーションとエージェント型ワークフローのために設計されたVera CPUラック。BlueField-4で構築されたAIネイティブストレージのSTXラック。エネルギー効率と回復力を高めるCPO(Co-Packaged Optics:光電融合)技術を採用したSpectrum-Xによるスケールアウト。
そして、驚くべき新たな追加要素、「Groq 3 LPXラック」です。Vera Rubinと密接に接続されたGroqのLPUの巨大なオンチップSRAMは、すでに信じられないほど高速なVera Rubinへの「トークン・アクセラレータ」となります。
これらを組み合わせることで、メガワットあたりのスループットは35倍に。
新しいVera Rubinプラットフォーム。7つのチップ、5つのラックスケールコンピューター、エージェント型AIのための、1つの革命的なAIスーパーコンピューターです。

「OpenClaw」とエージェントAIの革命

OpenClawをリファレンスデザインした「NeMo Claw」が発表されました。

OpenClawがリリースされたのは2025年の11月下旬、注目されだしたのは2026年の1月下旬。
そこからNVIDIA GTC 2026の発表に間に合ったのが不思議なくらいのスピード感です。
またNVIDIA GTCの基調講演で、20分も時間を使っていて、かなり重要視しているのが見て取れます。

NVIDIAはOpenClawをLinuxと同列、いやそれ以上として語っていました。
オープン戦略を取っているNVIDIAにとってはかなり重要なものであるのが分かります。

私たち全員がLinux戦略を持つ必要があったように。インターネットを立ち上げたHTTPやHTMLの戦略を持つ必要があったように。モバイルクラウドを可能にしたKubernetes戦略を持つ必要があったように。今日、世界中のすべての企業が、OpenClaw戦略とエージェント型システム戦略を持つ必要があります。これが新しいコンピューターなのです。

実はこれは「オペレーティングシステム(OS)」だと言えるでしょう。私は今、OSを説明するのと同じ構文を使いました。OpenClawは、本質的に「エージェント・コンピューターのオペレーティングシステム」をオープンソース化したのです。

そしてこのOpenClawをGPUの上で動かす未来はそう遠くないうちにやってくるでしょう。
これだけ未来を見通す会社が、重要視したサービスは理解しといて損はありません。と感じました。

さて、ここからがエキサイティングな部分です。これが「OpenClaw以前」のエンタープライズITです。先ほどエンタープライズITの仕組みについてお話ししました。それが「データセンター」と呼ばれる理由は、それらの大きな部屋、大きな建物がデータを保持し、人々のファイルを保持し、ビジネスの構造化データを保持していたからです。そして私たちは、ツールや「Systems of Record(記録システム)」、コード化されたあらゆる種類のワークフローを持つソフトウェアを通過し、それが人間、つまりデジタルワーカーが使用する「ツール」に変わります。

それが古いIT産業です。ソフトウェア企業がツールを作り、ファイルを保存し、そしてもちろんGSI(システムインテグレーター)やコンサルタントが、企業がこれらのツールをどのように使い、統合するかを支援します。これらのツールは、ガバナンス、セキュリティ、プライバシー、コンプライアンスにとって信じられないほど価値があり、それらは今後もすべて真実であり続けます。

ただ、OpenClaw以降、エージェント型時代以降は、このようになるというだけです。ここが並外れた部分です。すべてのIT企業、すべての企業、すべてのSaaS(Software as a Service)企業は、GaaS企業になります。間違いありません。

すべてのSaaS企業がGaaS企業、つまり「Agentic as a Service(エージェンティック・アズ・ア・サービス)」企業になるのです。そして驚くべきはこれです。OpenClawは今、まさに必要な時に、まさに必要なものをこの業界に与えてくれました。

OpenClawがNVIDIA GPUに最適化され、NVIDIAが提供するオープンモデルを搭載し、業務に統合される。NVIDIAはこの未来を見据えているのでしょう。

OpenClawの出来事は、決して過小評価することはできません。これはHTMLと同じくらい大きな出来事です。これはLinuxと同じくらい大きな出来事です。私たちは今や、誰もがOpenClaw戦略を構築するために使用できるワールドクラスのオープンなエージェント・フレームワークを手に入れました。そして、最適化され、パフォーマンスが高く、安全でセキュアな、皆様全員が使用できる「NeMo Claw」と呼ばれるリファレンスデザインを作成したのです。

物理AI(Physical AI)とロボティクスの未来

NVIDIAはこの瞬間を自動運転車における『ChatGPTモーメント』だと表現していました。
このようにロボットや自動運転など、すぐ目の前に迫ってきています。

その基盤の準備はもう出来ている。そう言いたげな状況がやってきました。

またNVIDIAは自動運転に対してもオープンソースな開発環境や、モデル、訓練データなどを提供しています。
それらはすべてGPUの上で動作することになります。

ここには110台のロボットがあります。世界中のほぼすべての企業、ロボットを構築していてNVIDIAと協力していない企業は一つも思いつきません。私たちには3つのコンピューターがあります。トレーニング用コンピューター、合成データ生成とシミュレーション用コンピューター、そしてもちろん、ロボット自体の中に搭載されるロボティクス・コンピューターです。それを行うために必要なすべてのソフトウェアスタック、皆さんを支援するAIモデルがあります。

そして今日、NVIDIAのロボタクシー対応プラットフォームのための4つの新しいパートナーを発表します。BYD、Hyundai、Nissan、Zeekr(ジーカー)。合わせて年間1,800万台の車が製造されています。以前からのパートナーであるMercedes、Toyota、GMに加わり、将来のロボタクシー対応車の数は驚異的なものになるでしょう。

最後に

ここまで読んでくださりありがとうございました。
NVIDIAが見ている未来が少し垣間見れたのではないでしょうか。
この記事がなんらかの形でお役に立てれば幸いです。

では、基調講演の最後に流れていた歌の歌詞を記載し終わりとしたいと思います。
ありがとうございました。

歌詞

♪ 基調講演は終わり、すべて語られた。ジェンスンが未来の道筋を示した。
AIファクトリーが命を吹き込まれ、エージェントが運転を学ぶ。
オープンモデルからロボットまで、今ここですべてを解説しよう。

♪ コンピュートは爆発した。CNNからOpenClawまで、世界中で働くエージェント。
でも需要を満たすパワーが必要だ。だから問題を解決した、見事な方法で。
コンピュートを4000万倍に増やしたんだ。

♪ 昔々、AIの時代、トレーニングがパラダイムだった。
でも今は『推論』が世界を動かしている。
コストは35分の1、誰がボスかを見せつける。
トークンを歌わせ、NVIDIAは推論の王様に。

♪ そう、昔は工場を作るのに何年もかかった。
ベンダーがラックや機材を引っ張り、ピースごとにゆっくり組み立てた。
この巨大な野獣を拡張する明確な方法がなかった。
でもDSXとDynamoならどうすればいいか分かっている。電力を収益に変えるんだ。

♪ エージェントはかつて様子見していたが、今では自律的に行動する。
でももし道を外れそうになったら、安全なクロスブロックが「ダメだ」と言う。
NeMo Clawがコースを守るためにそこにいる。
そう、友よ、これがオープンソースだ。

♪ 考える車と走るドロイド。これは映画じゃない、すべて始まっている。
Alpamoが指示を出す。これはボットにとってのChatGPTの瞬間だ。
シミュレーションのストリートから、彼らが運転するのを見てみよう。
物理AIに万歳。

♪ 工業時代がこれまでのものを作った。今はAIのためにさらに多くを作っている。
Vera RubinとGroqが推論に波を起こす。組み合わせれば、今やキャッシュが降り注ぐ。
Clawたちが「ここにもっとトークンを!」と叫び続けるから、毎年新しいアーキテクチャを構築する。
全員が作れるAIスタック。さあ、みんなで5層のケーキを食べよう。

♪ 今は明るく、道はクリアだ。オープンモデルがここまで導いてくれたから。
データが足りない時でも争いはない。コンピュートでさらに生成するだけさ。
完璧に学習するロボットたち。4つのスケーリング則に燃料を注ぐ。
未来はここにある、見に来ないか? GTCへようこそ!