最近、案件でサイトの文章リライトに携わる機会がありました。デザインはきれいなのに、なぜかユーザーが迷う。そんなサイトの「言葉」を整理していくなかで、文章の書き方について改めて考えさせられました。
今回はその経験から学んだことを書き残しておきたいと思います!
「なんとなくわかる」と「迷わずわかる」は全然ちがう
リライト作業を始めてすぐ気付いたのは、「意味はわかるけど、読み終わってもどう動けばいいかわからない」文章が思いのほか多いということでした。
たとえば、ボタンに書いてある「送信」という言葉。間違ってはいません。でも、ユーザーからすると「何を送信するの?」「送ったら次はどうなるの?」という疑問が残ります。ほんの少しの不安が、操作をためらわせます。
ユーザーにとってわかりやすい文言とは、読んだ瞬間に「意味」と「次の行動」が同時に伝わる言葉のことだと、この案件を通じて実感しました。
わかりやすい文言にする4つのポイント
具体的に、以下の4つを意識するだけで文章の印象はがらりと変わります。
- 押した後の結果を具体的にする(「送信」→「お問い合わせ内容を送信する」)
- 専門用語やカタカナ語を日常語に言い換える(「エビデンス」→「根拠」)
- 一文を短く、箇条書きを活用する(60文字を目安に区切る)
- 否定形を肯定形に変える(「使い回さないで」→「固有のパスワードを設定してください」)
どれも言われてみれば当然に思えますが、自分の書いた文章を見返すと、意外とできていません。
実際のリライト例:住所選択画面の文言
今回の案件で特に印象に残ったのが、住所選択画面の文言です。
依頼で渡されたのは、こういった文章でした。
【依頼の原文】
タイトル:お住まいの住所に更新する住所を1つ選んでください
説明文:スムーズに入力できるよう、登録済みの住所をもとに「お住まいの住所」の登録を開始します。現在登録されている住所から、今回書き換えるものを1つ選択してください。選択した住所をもとに、次の画面で最新の内容へ修正・確認ができます。
赤字:選択した住所は、新しい内容で上書きされます。残しておきたい住所は選ばないようご注意ください。
ボタン:この住所を選んで編集へ進む
タイトルだけで25文字、説明文は3文にまたがっていて、読み終わっても「つまりどう動けばいいのか」がすぐには頭に入ってきません。赤字の注意書きも「〜しないようご注意ください」と否定形で、やや圧迫感があります。
これを Claude に相談しながら整理したのが、こちらです。
【リライト後(採用版)】
タイトル:「お住まいの住所」の登録に使う住所を選んでください
説明文:選んだ住所を次の画面で編集してから登録します。
赤字:なし
ボタン:次へ

変えたポイントは4つです。
- タイトルを「何を選ぶのか」が明確な一文に絞った
- 説明文を1文に圧縮し、流れだけを伝えるようにした
- 赤字の注意書きは削除(上書きされる旨は確認画面で案内するフローに変更)
- ボタンは「次へ」とシンプルに(タイトルで目的は伝わっているのと、既存の他のページも次へという文言を使用していたため)
文字数は全体で 1 / 3 以下になりましたが、ユーザーが受け取る情報は変わっていません。むしろ「余分なものを読まなくていい」分、迷いが減ります。
AI と相談しながら言葉を磨く
このリライト作業で特に助かったのが、Gemini や Claude を使って文章を一緒に考えるフローでした。
やり方はシンプルで、「この文章のユーザーが迷いそうなところを指摘して」と投げるだけ。
すると、「この表現は否定形なので、肯定的な言い回しに変えると伝わりやすいです」といった具体的なフィードバックが返ってきます。自分では気付きにくい「読み手目線のズレ」を、AI が拾ってくれる感覚でした。
特に役立ったのが「否定的な言葉を避けて組み立てる」という視点を意識させてくれること。「〜しないでください」という表現は、書くときにはつい自然に使ってしまいますが、AI に確認すると高い確率で「肯定形の方が伝わりやすい」と返ってきます。繰り返されることで、自分の書き癖にも少しずつ気付くようになりました。
今回の案件では、AI で叩き台を作ってからデザイナーの先輩にも見てもらい、最終的な文言を提出しました。
AI はあくまで相談相手であって最終的な判断は自分でしますが、ひとりで完成させようとしないというスタンスが、文章の質を上げる上で意外と大事だと感じました。
言葉一つで、ユーザーの体験が変わる
リライト前後でユーザーの動きが変わる瞬間は、地味だけど面白いです。「確認画面へ」というボタンに変えただけで迷いがなくなる。手順を箇条書きにしただけで、読み飛ばしが減る。
文章は、デザインと同じくらいユーザー体験をつくる要素だと改めて思います。見た目が整っていても、言葉が不親切なら人は動いてくれません。逆に言えば、言葉を丁寧に扱うだけで、サービスへの信頼感はぐっと上がります。
今後も案件のなかでこういう気付きを拾いながら、自分なりのライティングの感覚を磨いていきたいです。AI との対話を通じて「なぜそう書くのか」を言語化していくプロセスが、結果的に一番の学びになっている気がしています。