はじめに

DX開発事業部の田村です。
2026年10月25日〜28日にラスベガスで開催された Oracle AI World 2026 の発表を公式発表の範囲でまとめました。
普段は Google Cloud を触る機会が多いので、Google Cloud に関わる発表を中心に取り上げます。
現地のセッションレポートは弊社のエンジニアが多数書いていますので、ぜひあわせてご覧ください。

「Oracle AI World」の記事一覧|iret.media

Oracle CEO の Clay Magouyrk 氏による基調講演のタイトルは以下となっておりました。

Now that AI works, what are we going to do with it?

発表の多くは AI を業務アプリと業務データの中で動かすための機能だったと受け取りました。

TL;DR

Oracle AI World 2026 の発表まとめ。Google TPU が OCI に、Oracle のデータを Gemini から使える、ChatGPT や Codex から Oracle へ、エージェントごとの ID と権限。今すぐ試せるものと、まだ試せないもの

Google の TPU が OCI で使えるように

Oracle は OCI で Google の TPU を提供すると発表しました。見出しには Google 以外のハイパースケーラーで初めてと明記されています。

Oracle Brings Google TPUs to Oracle Cloud Infrastructure
OCI will be the first hyperscaler outside Google to offer Google TPUs.

  • 第8世代の TPU は学習向けが TPU 8t、推論向けが TPU 8i
  • TPU 8t は前世代に比べてポッドあたりの演算性能がほぼ3倍
  • 提供は2027年中に始まる予定で、数年かけてギガワット規模まで拡大していくと OCI のブログに書かれています

Oracle AI Database@Google Cloud のアップデート

Google Cloud のブログでも Oracle AI World に合わせて Oracle AI Database@Google Cloud のアップデートがまとめて発表されました。
Google Cloud を使っている方には TPU よりこちらの方が身近な発表です。

Oracle AI Database@Google Cloud: What's new at Oracle AI World | Google Cloud Blog
Oracle AI Database@Google Cloud adds Gemini integration, MCP Server in GA, BigQuery federation, and Iceberg lakehouse access.

項目 内容 使いどころ 提供状況
Remote MCP Server with Data API IAM 管理の ExecuteSQL Data API で、
エージェントから Oracle に SQL を実行する。
認証情報は Secret Manager で解決される
エージェントに Oracle のデータを SQL で扱わせるとき、
認証情報をエージェント側に持たせず IAM で権限を管理できる
GA
Knowledge Catalog 連携 Oracle データベースのスキーマと業務メタデータを
Knowledge Catalog に取り込む
Oracle のテーブルの意味が Knowledge Catalog に載り、
Google Cloud 側のデータと同じ場所で探せる
Preview
Gemini connector Gemini アプリから自然言語で Oracle データベースに問い合わせる。
ユーザーが権限を持つデータだけを使って回答する
SQL を書けない人が、Gemini アプリで日本語で Oracle のデータに質問できる。
権限のないデータは回答に使われない
Preview
Oracle in Gemini Oracle AI Database Agent in Gemini など、
会話型の分析とドメイン特化のエージェント。
135以上のスキルと MCP 接続を備える
Gemini の中で、Oracle のデータを会話しながら分析できる 提供中
Gemini の Oracle アプリへの組み込み Fusion AI Agent Studio、Fusion Claw、
Fusion Applications、NetSuite に Gemini が組み込まれる
Oracle アプリの AI 機能から Gemini を使えるようになる 記載なし
Oracle Access to Google Cloud borderless Lakehouse Cloud Storage 上の Iceberg テーブルを
双方向に読み書きする
同じ Iceberg テーブルを Oracle と BigQuery の両方から読み書きでき、
データをコピーして二重に持たずに済む
Preview
BigQuery クエリ連携 BigQuery の EXTERNAL_QUERY で、
稼働中の Oracle データベースにその場で問い合わせる
BigQuery の分析に、
Oracle の最新データを取り込みなしで混ぜられる
Preview
新リージョン トリノ(europe-west12-a)と
ケレタロ(northamerica-south1-b)
イタリアではミラノに加えてトリノ、メキシコにも置けるようになる 提供中

「使いどころ」は、公式の説明から私が読み取ったユースケースや例を記載しております。

データ連携の方法

Google Cloud のブログでは Oracle のデータを BigQuery や AI で使う方法が次のように整理されていました。

  • 双方向の borderless Lakehouse:Iceberg テーブルをコピーせずに共有し、BigQuery や Spark、Oracle SQL から同じデータを扱う
  • OCI GoldenGate による CDC:Oracle の redo ログから BigQuery へ1秒未満で反映する
  • BigQuery クエリ連携:たまに行う突合やアドホックな参照を、データを動かさずに実行する

私が少し気になっているのは borderless Lakehouse の双方向化です。
先日、AWS Glue のテーブルを BigQuery から自然言語で分析する記事を書きましたので、こちらも合わせてご覧ください。

【Borderless Lakehouse】データ移行は不要?AWS Glue のテーブルを BigQuery から自然言語分析!
はじめにDX開発事業部の田村です。AWS にあるデータを BigQuery の分析に混ぜたい場面があります。これまでは、Amazon S3 から BigQuery にコピーするか、BigQuery Omni で S3 のデータをその場で読む方法がありました。Borderless Lakehouse(旧 Cross-cloud Lakehouse)は、AWS Glue にある Iceberg テーブルを、コピーせずに BigQuery から読める機能です。発表は2026年4月22日で、6月5日に Glue に対応し、7月31日に今の名前になりました(Preview)。今回はGoogle の公式ブログにGlue、Databricks、Snowflake をつないで JOIN し...

今回の発表では Oracle 側からも Iceberg テーブルに書き込めるようになります。

OpenAI との連携

基調講演では OpenAI の Sam Altman 氏が Clay Magouyrk 氏と対談されていました。
OpenAI との協業として、次のサービスが発表されています。

  • Oracle AI Workspace:ChatGPT のプラグインから、Oracle Fusion Applications や NetSuite、OCI などにアクセスします。
    承認済みの業務フローを実行します。
    提供時期の記載は公式発表にありません
  • Oracle App Composer:AI アシスタントに Oracle のプラグインを入れて、アプリを作成または持ち込みます。
    公開した後の OCI 上のリソースの用意、デプロイ、運用は Oracle の担当です。
    現在は Limited Availability です
  • Oracle AI SMB Bundle:中小企業向けのパッケージです。
    ChatGPT Business、Oracle AI Workspace、Codex と App Composer、OCI、NetSuite QuickStart が入っています。
    年間12,000ドル分のクラウドクレジットも付きます

Oracle AI Workspace は、従業員が ChatGPT 経由で社内のアプリとデータを使うための機能のようです。
Google Cloud を使っている方には、Gemini Enterprise に近いものと考えると分かりやすいと思います。
Oracle は Gemini 側にも Oracle in Gemini と Gemini connector を用意しており、ChatGPT と Gemini のどちらからでも Oracle のデータに届くようにする方針に見えます。

エージェント時代のセキュリティ

セキュリティでは Oracle AI Security Mesh が発表されました。
あわせて、OCI Identity Assurance と ZPR が補完する機能として紹介されています。

  • Oracle AI Security Mesh:OpenAI のサイバーセキュリティ向けモデルを使うマネージドサービスです。OCI や他クラウド、オンプレミスの脆弱性を調べ、再現手順とテスト結果を証拠として示します。
    修正は顧客が承認してから適用されます。
    サービス内の各エージェントには個別の ID とタスクの範囲、ジャストインタイムの権限があります。
    承認範囲外の動きは、独立したモニターが止める仕組みです
  • OCI Identity Assurance:生体認証で人の本人確認を行います。
    支払いの実行や権限の変更の前に承認者本人であることを確認する用途です。
    新機能かどうかは、発表からは分かりませんでした

OCI Zero Trust Packet Routing(ZPR)は2024年に提供済みの機能のようで、今回の新発表ではありません。
アプリやエージェントより下のネットワーク層でアクセスポリシーを強制する仕組みのようです。

Google Cloud にも似た仕組みがあり、Agent Runtime 上のエージェントにはSPIFFE ID が自動で付与されます。
また、VPC Service Controls を使うことで、Google のマネージドサービスの API 単位で境界を作ることもできますね。

まとめ

Oracle AI World 2026 は、Google Cloud との距離が縮まった回だったと思います。
具体的には TPU が提供される予定で、AI インフラでもつながっていきますし、Oracle AI Database@Google Cloud ではデータと Gemini の連携も広がっていることがわかります。
同時に OpenAI とも組んでいて、Oracle は特定の AI に絞らず複数の AI から使えるようにしているようです。

マルチクラウドで提案する立場としては「データは Oracle、分析と AI は Google Cloud」という構成も選べるようになってきました。
まずは Preview の機能から試してみたいと思います。