先月1週間(9/6〜12)ひさびさにSan Franciscoへ出張。スケジュール的にはムリをして、Box社のイベント「BoxWorks 2016」に参加してきた。
Boxといえば一般的には共有ストレージSaaSとして認識されているが、すでに自社でも導入して1年以上経っていて、それまで使っていたDropboxと比較するものではないし、世の中一般にDropboxやOneNote、そしてiCloud DriveとGoogle Driveなど、単純なストレージとは一線を画すサービスとして、企業内のドキュメント管理プラットフォームとして確固たる地位を築きつつあるサービスだと確認できたことはよかった。
Boxとは
改めて今回感じたのは、Boxとはどういう会社なのかということ。今でこそ、すでにIPOしていたし、名だたる大企業と対等にアライアンス、そしてR&Dなどを行っているとしたら、成熟した大人の経営陣による堅い会社なのではないかと想像していた。
しかし何かのキッカケでCEOのAaronがなんと30歳と知る。創業メンバーは高校・大学からの友人であると聞いたときに、なんとスタートアップなノリなんだと驚いた。ある講演で高校時代の写真が映し出されていたけど、幼かったメンバーが今はちゃんとした大人になっている姿というのは、親近感の沸くストーリーだった。
つい脱線してしまった。
Boxはそうしたシリコンバレーにありがちなスタートアップ企業のストーリーに加えて、IPO後より大人になって経営陣を固めたり、外部の有力なパートナーと手を取り合って、より大きな商圏を作るフェーズに入って来ていて、多様な企業に必要なプラットフォーム企業になりつつあるのだなと感じた。
イベント中、強調されていたのは、ドキュメント管理プラットフォームであるということ。これ単体ではわかりにくいが、単なるファイル置き場ではなく、ドキュメントを中心としてその周りで発生する一般的な業務やフローをすべてカバーしていこうとしている。自社でカバーできないところは、積極的にサードパーティにも参入してもらい、それぞれ得意なソリューションと組み合わせ使えるようなAPI/SDKを提供してエコシステムを作りつつある。
図: ドキュメント管理プラットフォームとしてのBox
当然そうした環境の基盤として必要なセキュリティ・認証・証跡などの機能はガッチリ固めていて、企業活動の上で安心・安全なストレージサービスを提供している会社であることは間違いない。
企業向けストレージとしての側面
今も存在するが、初登場時はDropboxなどが主要なライバルとして語られていたような気がする。当初は企業向けのマーケティングメッセージを出してなかったので本人たちも競合として意識していたのではないか。
その後Dropboxもビジネス版の機能を強化してDropbox Businessを提供しているけれども、共同作業や権限管理などを中心に、あくまでストレージサービスとして純粋に中規模・大規模な組織単体にフィットさせるための機能を付け加えている。
Boxはどうかというと、Business版で既に以下のような、企業内ユーザー個人レベル向けというよりはセキュリティ・情報管理責任者向けの機能が追加されるようになっている。
たとえば、
- シングルサインオン統合(SSO)
- 高度なユーザーレポート/セキュリティレポート
- モバイルセキュリティコントロール
- データ損失防止
このことからも単に利便性の高いクラウド型ストレージサービスというよりは、企業活動する上で安全性の高いファイル管理ソリューションとしての色合いが濃いことがわかる。
もちろん外部の顧客や関係者と安全に共有するための仕組み(Collaborator)、オリジナルデータを別の地域に配置できるBox Zonesなどもあり、ファイル管理だけではなく企業内の業務全般をカバーしようとしているのは言うまでもない。
- Inviting Collaborators – Walkthrough – Box
- Introducing Box Zones: Building a Global Cloud | Box Blog
その他の機能
プレビュー機能
現在は、その他にも便利な機能が存在している。地味だが個人的に好きなのは、プレビュー機能が豊富なこと。PCのブラウザでファイルを見るときにダウンロードしてアプリで起動って形ではなく、ブラウザ内で完結するのが嬉しい。しかもブラウザの機能ではなく、サーバーサイドで処理して、表示はHTML(HTML5?)で実現しているのが素晴らしい。
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AT&T Park (San Francisco Giantsホームスタジアム) 360度写真
(360度ビューにならない方がいるかもしれません。非Boxユーザーは旧UIがデフォルトのため見れませんそうです。将来反映される予定と。)
すでにリリースされているNew UIでは、3D画像、360画像、HD動画プレビューに正式対応しているとか。今後は医療系のフォーマットに対応する予定もあるようだ。
Box Relay
IBMと共同開発したというワークフロー機能Box Relayも期待が大きい。企業内での申請毎や外部のメンバーと連携して仕事を進めて行く上で使えるワークフローを、Box内で完結して承認をしたり、期日の管理をしたりと、仕事進めること自体をBox内で完結できるようになるなら嬉しいかも。
Workflow Automation and Business Process Management | Box Relay
Box Notes
そういえばBox Notesも新しいUI(アプリ?)が提供されるらしい。これまでファイルやフォルダを管理するUI内にあったので、Evernoteのリプレースとまでは考えていなかったが、デスクトップアプリが出てきて使えるなら、議事録などの作成して共有する業務メモはすべて移行したい。
まとめ
Boxは、本人たちの言う ドキュメント管理プラットフォーム として正常進化を続けていく。今回発表されたGoogle、Microsoftなどとのパートナリングからも、各社から期待が込められていることがわかる。
今回のBoxWorksで発表された内容を見ると、企業活動の中心置くべきプラットフォームの1つとなるための機能追加が行われている。メタデータ強化、電子すかし、Relay、Notesなど。
この記事では触れていないが、すでにAPI/SDKを提供して、サードパーティ製の機能追加やアプリが多く存在しているし、Web向けUIキットをOSSで提供することでさらにBoxと連携したソリューションが増えることが期待できる。
ということで、仕事で使えるツールとして使い安くなっていくBoxには期待している。BoxWorksに行ったことですっかりBoxのファンになってしまった。今後のアップデートに期待!(とにかく早くBox Notesアプリが欲しい)
そういえばAmazon CTOのWerner Vogels氏がキーノートに出ていたけど、Tシャツが DynamoDB だったw