こんにちは。アイレットデザイン事業部のマークアップエンジニアの黒木と申します。アイレットデザイン事業部では「INSIDE UI/UX」と題して、所属デザイナーとエンジニアがデザイン・SEO・アクセシビリティ・UI/UXなどそれぞれスペシャリティのある領域に対する知見を幅広く発信していく予定です。お付き合いのほどよろしくお願いいたします。

私は2022/8/28にウェブデザイン技能検定という資格試験の3級を受けて合格しました。
今回はその受験記とウェブデザイン技能検定の簡単な紹介をしていきます。

試験概要

ウェブデザイン技能検定とは

ウェブデザイン技能検定は、国家検定制度である技能検定制度の一つとして、
厚生労働省より職業能力開発促進法第47条第1項の規定に基づき指定試験機関の指定を受け、
特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会(以下、当協会)が実施するものです。

ウェブデザイン技能検定 公式Webサイト より

試験の概要

ウェブデザイン技能検定は1級〜3級の3段階に分かれており、その中でも「実技試験」と「学科試験」の2種類に分かれています。

それぞれの受験資格に関しては、各段階の条件のうち、いずれかひとつに該当していれば受検できます。

1級 2級 3級
【学科試験】実務を7年以上、2級の資格を持っている者 etc…
【実技試験】学科試験に合格した者
実務を2年以上、3級の資格を持っている者 etc… ウェブの作成や運営に関する業務をしている、又はしようとしている者

ウェブデザイン技能検定 公式Webサイト 受検資格ページ より

合格点は実技、学科それぞれ70点以上です。

3級の試験範囲

3級の試験範囲は Webサイトに掲載されている資料 に詳しく書かれています。
ここでは資料から大項目をピックアップして紹介させていただきます。

  1. インターネット概論
  2. ワールドワイドウェブ(WWW)法務
  3. ウェブデザイン技術
  4. ウェブ標準
  5. ウェブビジュアルデザイン
  6. ウェブインフォメーションデザイン
  7. アクセシビリティ・ユニバーサルデザイン
  8. ウェブサイト設計・構築技術
  9. ウェブサイト運用・管理技術
  10. 安全衛生・作業環境構築

受験記

この試験を受けた理由

一番の理由としては事業部でこれからデザイン関連の資格を取っていくとなったことです。他にもデザイン関連の試験で紹介していただいたものはありましたが、その中でもこの試験を選んだ理由は国家検定だったためです。
加えて、以前よりデザイン系の資格には興味がありました。「デザインの資格を持っている = デザインができる」 というわけではありませんが、少しでも自分の自信になるのならと思い受けることにしました。

勉強方法

試験一ヶ月前から勉強を始めました。
初めから過去問を解くともったいないと思い、試験公式HPにあった練習問題を最初に解いてみました。
個人的にはこの練習問題が一番難しかったです。(学科試験の点数がこの後に解いた過去問のどれよりも低かったです)
練習問題の実技試験は、こういう風にやるのか〜という流れを知るくらいで正直時間がなければ解かなくてもいいと思います。

学科試験

どのように勉強したらいいのか他の方の受験記をみたところ、「とにかく過去問の数をこなす」と書かれていたのでとにかく過去問の数をこなしました。
まずはサイトに載っていた一番最新の分を除いた過去問を解き、そのあとは参考書に載っている過去問と、とにかく取り組める過去問には全て取り組みました。

過去問からいくつか例をご紹介します。

例1:ユニバーサルデザインについて

ユニバーサルデザインの説明として最も適切なものを以下より 1 つ選択しなさい。

  1. 世界中で共通して利用できるように、主にピクトグラムを使用してデザインする手法
  2. すべての人が利用できるように、あらかじめ複数の異なる製品を用意するデザイン手法
  3. できるだけ多くの人が利用できるように、最初から設計するデザイン手法
  4. 障害者や高齢者でも利用できるように、障壁となっているものを取り除くデザイン手法

例2:アクセシビリティについて

アクセシビリティの観点から、白(#ffffff)の背景に黒(#000000)の文字色を使用するのは避けるべきである。

例3:HTMLの要素について

HTML で定義されていない要素はどれか。以下より 1 つ選択しなさい。

  1. dt
  2. dl
  3. dr
  4. dd

例4:CSSについて

CSS の border-top-style プロパティの初期値はどれか。以下より 1 つ選択しなさい。

  1. none
  2. solid
  3. hidden
  4. straight

例5:情報機器作業時における留意事項について

情報機器作業時における留意事項として、不適切なものを以下より 1 つ選択しなさい。

  1. 一連続作業時間が 2.5 時間を超えないようにする。
  2. 次の連続作業までの間に 10 分~15 分の作業休止時間を設ける。
  3. 一連続作業時間内において 1 回~2 回程度の小休止を設けることが望ましい。
  4. ディスプレイは、その画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下になる高さにすることが望ましい。

令和3年度第4回 ウェブデザイン技能検定3級 より

過去問を解いていると気づくと思いますが、毎年数問は過去問からそのまま出題されています。(選択肢もそのままです)
過去問を解くだけで数問は点数が確実にとれるため、少なくとも直近の数回分は解いておくことをおすすめします。
ただ、数年前の過去問を解くことでデメリットもあります。この業界の情報は日々新しくなっていくため、古い過去問の場合は古い情報の問題が出題されている場合があります。もしそのような問題をみたら現在の情報にアップデートして覚えるように注意してください。

実技試験

実技試験は、公式サイトにも問題が公開されていますが素材(試験に使用するHTMLやCSSファイルです)がないため、参考書に載っていたものを解きました。
毎回形式は全く同じなので参考書に載っている分のみ解けば十分です。

また、本番は普段の業務で使用しているエディタが使用できるとは限らないため、TeraPadやサクラエディタなどの指定されているエディタで練習することをおすすめします。加えて普段Macを使用している人はWindowsにもある程度慣れるためにWindowsで練習したほうがいいと思います。

試験当日

実技試験 60分、学科試験 45分という配分で実技試験からでした。

実技試験の形式は過去問と全く同じなので特に焦ることなく淡々と解くことができました。
試験時間30分を超えると退出できるようになります。多くの人が早い段階で退出していた印象です。

学科試験は普段解いていた過去問よりも少し難しかった印象です。
学科試験も試験時間30分を超えると退出できるようになりますが、結構ギリギリまで回答に悩みました。
試験の問題用紙は持ち帰りが可能なので学科試験に関しては必ず回答をメモしてください。数日後に公式サイトで解答が公表されるので自己採点することができます。
(私が受験した試験は令和4年度第2回のものになります。難易度は回によって変わると思うので参考程度に見ていただければと思います。)

さいごに

試験勉強を通して

問題を解いてみてHTMLのタグにいろいろな意味が含まれているのを全て網羅できていないなと実感しました。
例えば、実務で使い慣れていない「下付き文字」用のや「上付き文字」用のは問題を見てかなり悩んだものになります。
他のタグにもきちんとそのタグを利用する意味があるので、それらを使い分けられるようにしたいと思いました。

また、「ウェブデザイン技能検定」と名乗っていることもあり、この試験はエンジニアの方だけでなくWebデザイナーの方も受験すると思われます。
紹介した例題の中にはHTMLやCSSの技術に関わるものが出題されているので、ある程度のマークアップに関わる知識が求められていると感じました。
実技試験はコードの記述方法などが問われるため、試験勉強を通して実務でもエンジニアが書いたコードが簡単に読めるようになると思います。

その他にも、インターネット全体に関わる問題や法務(権利など)に関わる問題が出題されていました。
インターネット全体に関わる知識は実務では多用しないかもしれませんが、この検定で出題されている以上、最低限の知識を持っていることが求められていると感じました。
また、法務(権利など)に関しては他のサイトから写真やイラスト、ロゴなどを商用利用することも多いため、しっかりと理解している必要があると思いました。

試験を受けて思ったこと

3級を受けてみて個人的に改めて重要だと思ったことは「アクセシビリティ」や「ユニバーサルデザイン」への対応です。
過去問、本試験を解いていてその2つに関わる問題が数多く出てきました。
内容は入門的なものでしたが、国家検定で多く取り上げられているため、できるだけ多くの人が使いやすいようなUIデザインを作る、コーディングをするということが今後特に重要になっていくと考えました。

今回は初めてのデザイン関連の資格ということで3級を受けましたが、根詰めて勉強しないといけないというわけではなく問題も易しめだったため、もう少し難易度の高い資格にもチャレンジしてみたいと思いました。
次回はウェブデザイン技能検定の他の級を受けるか、もしくは他のデザイン関連の資格を積極的に取っていこうと思います。