こんにちは、アイレットデザイン事業部デザイナーの武井です。
デザイン事業部では「inside UI/UX」をテーマに各メンバーの知見や学びを記事にしています。

前提

この本はマッキンゼーの採用マネージャーを12年務めた著者が、マッキンゼーにおける採用基準の誤解について説いた本です。
一般的に「地頭のよさ」や「分析が得意な人」「優等生」など、とにかく頭のいい人を求めていると思われているが、そうではなく「リーダーシップ(を発揮するポテンシャルがある事)」が何より大事であると主張し、リーダーシップとはどのような資質なのか、身につけることで何が変わるのかが語られます。

その中で「リーダーシップは全ての人に必要」と説く部分が個人的に響きましたので、今回はそこにフォーカスして概要をまとめます。

<すべての人に求められるリーダーシップ>

リーダーというと、卓越したカリスマリーダーをイメージしてしまいますが、大事なのは個々人が自分の半径5メートルにおいて日常的にリーダーシップを発揮することです。

日常的なリーダーシップの例1:余ったお菓子

マンションの会合があり、お菓子を持ち寄ったとします。会合が終わりお菓子が余っているのを見た時あなたはどうしますか?
この時「このお菓子、持って帰りたい人はいますか?お子さんがいらっしゃる方、どうぞお持ち帰りくださいな」と声を上げる人がリーダーシップのある人です。

余談ですが、私はリーダー志向が全くない人間にも関わらず、この部分を読み「あぁ、こういう人になりたい」と思い、この本を読むきっかけになりました。
「お子さんがいる方」と一言挟む部分が秀逸ですよね。お菓子をもらうのが子供であれば不公平感が払拭され、誰もが納得感のある落としどころだと思います。

日常的なリーダーシップの例2:電車が止まった時のタクシー乗り場

人身事故などで電車が止まると、タクシー乗り場には長蛇の行ができます。みな早く帰りたくてイライラしながら列を待つなか、あなたならどうしますか?
海外ではこういう場合、必ず誰かが相乗りを誘い始めるそうです。(同じ方向に行く人が一台のタクシーを相乗りすることで時間もコストも節約でき、何よりすべての人が目的地に早く到達できる)
ですが日本では、皆もくもくと列に並びタクシーが来ると一人でさっさと乗ってしまう。

日本という国は、たとえば駅員から「相乗りにご協力ください〜」とアナウンスがあれば従うが、その役割を自分でやろうという気がまったく無いのが特徴だと言います。

日常的なリーダーシップの例3:2人での打ち合わせ

2人で仕事の打ち合わせをする際、雑談を交えて好き勝手に話してしまい、気がついたら時間が終わってしまったことはありませんか?
その打ち合わせでやるべきことを確認し、決められた時間の中に収まるようガイドしながら進める人がリーダーシップのある人です。

日常的なリーダーシップの例4:無駄と感じる会議体がある時

社内で部門横断的な長時間の会議体があったとします。情報共有が目的なので、議事録を見れば済むような会議です。「文句も言わず粛々と出席する」「時間が無駄なのでPCで他の作業をする」といった行動をとっていませんか?
これに対し「会議のやり方を変えたほうがいいのでは?」と主催者をランチに誘って提案したり、会議の中で提案するのがリーダーシップです。


このようにリーダーシップを発揮する機会は日常的にあり、どのシーンでも

  • 「問題を解決するのは○○の役目」という役割意識を捨てる
  • よいと思える方法があれば自分の案を口にする
  • 世の中は“誰かが”うまくまとめてくれるのではなく、一人ひとりが力を出し合ってうまく回していくもの

という思考が一貫しています。そして、

  • 日常的にリーダーシップを発揮しない人が、深刻な出来事が起こった際に突如発揮できるものではない
  • 逆に、今は卓越したリーダーシップを発揮している人も、最初は日常的で些細な場面での積み重ねが強いリーダーシップにつながっている

とし、小さなことから成功体験を積み重ねることで「リーダーシップは誰でも身につけることができるスキル」だと言います。

<リーダーシップを身につけると起こる変化>

とは言え、リーダーシップにはストレスが付きものです。

  • 自分の考えを口にし、否定されたらダメージを受ける
  • 成果を出すために個人の時間を犠牲にする必要がある
  • 他者の過ちの責任を問われる
  • 無用ないざこざに巻き込まれる
  • 目立つだけで叩かれる

などなど、なにかとエネルギーを要します。
「リーダーシップは全員に必要なスキル」と言われても、積極的に身につけたいとは思わないのではないでしょうか?

ですがマッキンゼーでは入社後、リーダーシップを徹底的に叩きこまれる結果、誰もが「もっとリーダーシップを身につけたい」と考えるようになるそうです。
どんな変化が起こるのでしょうか?

起こる変化1:自分が気になっている問題を解決するためには、リーダーシップが必要だと気づく

具体的に何かを解決したいと考えた際、問題解決の手法やフレームワークをどんなに学んでもなかなか解決できないことに気がつきます。なぜなら世の中の大半の問題解決には、他者を動かすことが必要で、そのためにはリーダーシップが不可欠だからです。

起こる変化2:成長が実感できる

リーダーシップ体験を積み重ねていくと、自分が解決できる問題の範囲が拡大していきます。
料理で得意メニューが増えれば嬉しいし、登山でより険しい山に登れるようになることで、より大きな達成感を得られるのと同じです。できることの範囲が広がることで自身の成長を実感できます。

起こる変化3:人生のハンドルをにぎれる

自分の考えやスタイルを既存の器にあわせるのではなく、自分が実現したい世界をそのまま追求できるようになります。希望の組織に雇われたとしても、定年までの40年間、所属企業の目標と自分の実現したいことが同じという人はほどんどいないはずです。
一方で自分で企業するなり事業を立ち上げ、自分の世界観を実現させる働き方を可能にするのがリーダーシップです。
=車の助手席ではなく、自らハンドルを握り運転すること

起こる変化4:世界が広がる
自分でハンドルを握りあちこちに出かけるようになると、多くの世界を体験し世界が広がります。
結果、リーダーシップを身につけることは「楽しいこと」「わくわくできること」と感じるようになるのです。

マッキンゼーでは日頃からリーダーシップをたたき込まれるため、「自らの力で状況を変えていける」というマインドセットを持つようになるそうです。
「誰もが与えられた枠の中で生きるのではなく、自分自身の力で人生を設計できるようになりましょう」という主張で締められます。

<所感と振り返り>

「世の中の大半の問題解決には、他者を動かすことが必要」という部分が、私にはわかっていなかったように思います。
問題を解決したい!と思った人がリーダーシップの必要性に気づくという話でしたが、そもそも問題を解決したいと思う時点で、その人はエネルギー値が高い人ですよね。
そもそものエネルギー値に加え、自己を多少犠牲にしても実現させたいと思う正義感とサービス精神もあるように思います。尊敬します。

自分自身を振り返ってみると、助手席に乗って楽しませてもらっていることが多いなぁと気が付きました。
手始めに何か周りを巻き込むことをやってみようかと思い、久々に会う友人とのお花見会を企画してみました。友人と2人で会うようなお誘いはよくするのですが、多人数(今回は6人)での会合を企画することは滅多にありません…

お店探しやスケジュール調整など、言い出しっぺは何かと面倒だなぁと愚痴っぽいことを思いつつ、そんな中での気づきは「よくお誘いをくれる友人はレスが早い!」です。
グループLINEでレスが早いのは、よくイベントを企画してくれる友人でした。一人でもレスが返ってこないと、話が進まないストレスをよく分かっているのでしょう。
なかなか話が決まっていかないモヤモヤを抱えながら過ごす日々やは地味にストレスです。そんな中、即レスをくれる友人を大変ありがたく感じることができました。

自ら運転をする楽しさはまだわかりませんが、一歩前進ということで!

参考書籍

『採用基準 地頭より論理的思考力より大切なもの』伊賀泰代 (著)
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