DX開発事業部 モダンエンジニアリングセクションの田村です。
Google Cloud Next ’24現地参加3日目のイベントレポートをお届けいたします。

セッション情報

セッションタイトル:Generative AI in Fashion Design

このセッションではファッションデザイナーであり、3DアーティストにおけるAIと機械学習を専門にするスピーカーが、ファッションデザインにてVertex AIで生成AIを活用するユースケースについて紹介しています。

デザインのワークフロー


デザインワークフローにおける典型的な最初のステップはインスピレーションを集めることであり、多くの場合はラフスケッチが作成されます。
ファッションデザインにおいてはさらに生地やそのデザインを考え、サプライチェーンやブランディングについて考慮する必要があります。

ファッションデザインでのAI活用例

ファッショントレンドの分析

最初の画像ではカラーパレットが含まれています。
カラーパレットでは、花のベースカラーを明るめから暗めに変更したりなどで色々分析できます。
その他には手に持っている花を他の花に置き換えたり、花のボリュームを調整したりできます。

デザインのスケッチ

AIで参考画像を使用して、外観となるドレスのスケッチを作成することができます。
ファッションデザインではイメージの重要度がかなり高いと思うので、参考画像に沿う形で色々なデザインを作成できるのはかなり有用だと思います。

織物のデザイン生成

AIを使用して織物のデザインを作成することができます。
織物の生地デザインをデジタル用に作成することで、3Dのファッションデザインに適用することができます。

Vertex AIの活用


ファッションデザインの作成ではVertex AIのModel Garden及びVertex AI StudioのマルチモーダルとGemini Pro Visionを使用しています。
ユースケースに合わせて使用できる様々なモデルが提供されておりますが、ここではGeminiによって強化されているマルチモーダルモデルのAIを使用しています。
またイメージ画像の生成にImagen2を使用しています。

画像の説明文を生成


ただ画像をアップロードして尋ねるだけで、イメージ画像の説明文を瞬時に作成することができます。
これは画像のキャプションをつける際に役に立ちます。

画像イメージの生成


ここではチャイナドレスを着た女性の画像を生成しています。
たったの一文で元となるデザインの画像を生成することができます。

AIを使ったデザイン編集

Outpaintingの編集


正方形のデザインとして表示されているため、イメージのアスペクト比を設定して作成することが可能です。そして外観や雰囲気を保ったまま4枚の画像を生成します。


イメージ画像を見ると、同じ外観や雰囲気を保ったままで4枚の画像が生成されています。
よく見ると女性の持っているカバンが変わっていることが分かります。
デザインの作成ではキャラクターの一貫性が課題になることが多く、このように一貫性を保ったまま様々なイメージ画像を作成できるためかなり有用に使用することができます。

box maskの設定


この例では、実際に生成AIを適用したい領域を選択し、編集した画像が生成されることを確認します。


このようにダイヤモンドのイアリングを身につけているイメージ画像を生成することができます。
全体のイメージを保ったまま一部分を編集できるため、細かく修正を行いながら欲しいイメージを次々と作り出していくことができます。

背景の変更


手順としては変更したい背景を選択し、変更後のイメージのテキストを入力、そして生成を行うだけです。
変更後のイメージ:小さな青い花が咲く、美しい森


もともと蝶が舞っている背景でしたが、青い花が咲いている森の背景画像が生成されていることが分かります。

ファッションデザインにおけるネクストステップ

ファッションデザイン業界の観点から生成AIの次のステップとして次の4つを挙げています。

  1. Imagen2でのファインチューニング
  2. スケッチやポーズといった条件を指定したイメージの生成
  3. イメージ画像から動画の生成
  4. イメージ画像から3Dモデルの生成

ファッションデザインでは生成AIで画像を生成して終わりではありません。
モデルがどんなポーズをとっているかは非常に重要ですし、最近のトレンドはアニメーションやビデオの生成、2Dから3D生成にも移行しています。

まとめ

このセッションではファッションデザイン業界における生成AIの活用事例をみましたが、現時点で効果的に業務利用できる画像が生成できているようでした。実際の業務では特有の要件やフローを持っていることは少なくありませんし、生成AIがそれぞれに応えうる柔軟性を持ち始めるとさらに利用が活発になると思います。
デザインは特にイメージの選定が重要だと思いますので、このように簡単に複数の画像が生成できるのはかなり便利かと思います。Web開発などでも生成AIを使ってモックのデザインを作成することができそうですし、ファッションデザインにとどまらず様々な業界で今後利用されていくのだと感じました。

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