Google Cloud Next ’24 で発表された Cost Anomaly Detection がパブリックプレビューされましたので、実際にマネジメントコンソールで確認しながらどのようなことができるのかを解説します。
Cost Anomaly Detection とは?
Cost Anomaly Detection は、過去の料金パターンと比べてコストの増加や差額が著しい場合に、異常と判断して検知を行う機能です。
これにより、予期しないコストの増加の早期発見に役立ちます。
なお、確約使用割引や Google Cloud から提供される無料のクレジットなどは含まれません。
既存の Budgets では、あらかじめ設定したコストの上限を超えたときに通知が来る仕組みでしたが、こちらは AI が日々のコストのパターンを学習し、傾向に基づいて異常を検知・分析するため、より柔軟なコスト管理が可能になります。
この 2 つの機能を組み合わせることで、より精度の高いコスト管理ができるのかなと思いました。
本機能はデフォルトで有効化されているため、セットアップ不要ですぐにアクセスできます。
実際に、マネジメントコンソール上で確認できた以下の内容について、詳しく説明します。
- 異常の検出リストの表示
- 検出した項目の根本原因の分析
異常の検出リストの表示
異常を検出した場合、以下のように日付やプロジェクト単位でリストアップされます。
このリストは、時期特有の傾向を含めた過去のパターンに基づいて AI が予測した推定費用と、実際の費用を比べた偏差が大きいものが表示されます。
なお、異常の検出は 1 時間ごとに継続的に行われるため、リアルタイムに近い頻度で確認することができます。
コンソール上で、これらの差額や変化率も一目でわかるようになっていますね。
さらに、リストを CSV でダウンロードすることも可能です。
検出した項目の根本原因の分析
リストアップされた項目をクリックすると、その項目の根本原因の分析(RCA パネル)を確認することができます。
RCA パネルは、コストの急増を引き起こした上位 3 つのサービスが表示されます。
さらに、各サービス内で原因となった上位 3 つのリージョンの表示、および各リージョン内で原因となった上位 3 つの SKU まで表示できるため、簡単に原因を絞り込むことが可能です。
また、この検出項目が本当に想定外のものだったかどうかのフィードバックを送ることができます。
フィードバックを送ることで、Cost Anomaly Detection の AI モデルが学習するため、将来の誤検知の可能性を減らし、さらに感度の高い検知が可能になります。
異常の管理
検知した項目は、アラートとして Pub/Sub やメールで通知を送ることが可能です。
費用への影響度が高い場合などに、受動的に気付けるのはありがたいですね。
設定できるのは以下の項目となっています。
- 閾値の設定
- コストの偏差が何ドルを超えた検知項目をアラートに上げるか?が決められます。
- Pub/Sub 通知
- トピックを通じてプログラムで受信するようなことが可能です。
- メール通知
- 課金管理者、重要な連絡先(Essential Contacts)、プロジェクトオーナーへの通知要否が決められます。
- 個々の検知項目ごとに通知するか、1日ごとの概要を送るかなどを選べます。
なお、重要な連絡先の通知先は設定によって異なる場合があります。
・個々の異常:そのプロジェクトの「請求」カテゴリで指定された重要な連絡先に通知
・1 日のまとめ:組織の「請求」カテゴリの指定された重要な連絡先に通知
終わりに
Cost Anomaly Detection について、その仕組みの解説とマネジメントコンソールから何ができるのかを実践してみました。
検知項目から根本原因の分析までセットアップ不要で簡単に確認でき、プロジェクトを跨いで一括で確認できるため、利用して損はない機能だと思います。
また、AI により環境特有のコスト傾向に基づいた検知が可能なため、使い続けるほど精度が高まるといった点も、将来の優位性を感じられました。
GA されるのが待ち遠しいですね。
参考
View and manage cost anomalies
Reduce unexpected costs with the new AI-powered Cost Anomaly Detection