クラウドの導入や運用における期待と現実
当該記事はラスベガスで行われている Google Cloud Next 2025 の セッションである Transform cloud operations and management with generative AI に関する記事となります。
旅行の失敗談を例に、クラウドの導入や運用における期待と現実のギャップや複雑さ、混乱を語っていました。
これは多くのチームがクラウドの可能性を感じながらも、その実現に苦労しているとのこと。運用保守がメイン事業の一つである弊社でもMSP、SREチームが日々苦労を重ねています。
近年ではグローバルに分散し、多数のプロジェクトにまたがる複雑なアプリケーションとサービス群の管理に直面しているという課題を指摘し、これらがガバナンス、効率、コスト効率の面で新たな挑戦を生んでいるとも語っていました。
日本でここまでの状態はあまり無さそう。
Application Centric Managementという概念
この課題に対応するため、Application Centric Management(アプリケーションを中心とした管理) というインフラストラクチャではなく、アプリケーションを軸としてクラウド環境を管理するアプローチの概念を提示しました。
また、それを実現するために以下のGoogleCloudのサービス群が紹介されました。
- App Hub
- Application Design Center
- Cloud Hub
- Application Monitoring
- Cost Explorer
運用に関する生成AIの活用
生成AIであるGeminiをこれらの運用プロセスの中核に組み込むことで、クラウド運用の効率化、意思決定の迅速化、問題解決の高度化を目指す必要があると語りGemini Cloud Consoleを挙げています。
Gemini Cloud Consoleを活用することで、ユーザーは自然言語でGoogle Cloudのプロダクトに関する情報を取得したり、構成手順のガイダンスを得たり、プロダクト同士を比較したりできるようになるとのこと。
Gemini Cloud ConsoleにおけるGemini Cloud Assist の説明。
具体的なGeminiの活用例として以下が語られました。
- APIパスワードの管理方法の問い合わせ
- Secret ManagerとCloud KMSの比較
- Secret Managerを使ったアプリケーションのセキュア化手順の取得
- VMの数やロケーションの確認
- CPU使用率の確認
- コスト推奨事項の確認
- サービスヘルス状況の確認
- ログの自然言語クエリ
- ログエントリの説明
- IAMポリシーコマンドの生成
さすがにAPIパスワードの管理方法や、アプリケーションのセキュア化手順の取得はチーム内で確立するべきでしょう・・・と思いながらも
運用における状況確認に関してのアシスタントとしては有効なのは間違いないです。
Gemini Cloud Assistのデモ。
複雑化する管理に向けた対策というだけではない
まとめるとGoogle Cloudがアプリケーション中心の考え方とGenerative AIの力を組み合わせることで、クラウド運用の複雑さを解消し、よりビジネス価値に貢献できる運用体制の実現という趣旨のセッションでしたが
アプリケーション中心というのはまさにその通りで、弊社でもインフラチーム、アプリケーション開発チームとの連携、むしろどれだけスムーズに運用におけるMSP、SREチームがアプリケーションを理解できるかに力を入れています。
例えばSREチームがアプリケーションキャッシュの用途、利用状況を理解、把握していることで、メモリアラート時の対応後に開発チームへの最適化における提案が出る。といった新しい動きが生まれています。
そして生成AI活用の効率化の先に、新たに生まれたリソースをいかに活用するか。という意識を常に持つことがチームが成長する鍵になると考えます。