DX開発事業部の開江です!
本記事では、Google Cloud Next Tokyo 2025 の Day2 にて行われたセッション「Google Cloud データベース最前線」で紹介されたアップデートの中から、特に気になった機能をお届けします。
セッションの冒頭では、Google Cloud が現在提供しているデータベースのラインナップが紹介されました。
特に近年の傾向として、ほぼ全てのデータベースサービスにおいて AI/ML との連携機能が強化されており、プラットフォーム全体がよりインテリジェントな方向へと進化しています。
Oracle Database@Google Cloud
最初に紹介されたのは、Oracle Database を Google Cloud 上でシームレスに利用可能にする Oracle Database@Google Cloud です。
Oracle Database に格納されたミッションクリティカルなデータを、Google Cloud が得意とする BigQuery などのデータ分析基盤や Vertex AI といった AI プラットフォームと直接連携可能です。
フルマネージドで手軽に始められる Autonomous Database と、オンプレミスと同様のパフォーマンスと制御性を求めるミッションクリティカルシステム向けの Exadata Database Service が用意されています。
Cloud SQL
ニアゼロダウンタイムメンテナンス
Cloud SQL Enterprise Plus エディションでは、メンテナンス適用時にプライマリインスタンスとは別にシャドーレプリカを立て、そちらに先に変更を適用した後、IPアドレスを切り替えることで1秒未満のダウンタイムを実現しています。
さらに、Enterprise Plus へのアップグレードやマシンのスケールアップ・スケールダウンもほぼダウンタイムなしで実行可能です。
AIを活用したトラブルシューティング
Cloud SQLではAIを活用したトラブルシューティング機能が導入されています。
この機能は、インスタンスレベルや特定のクエリレベルで発生しているボトルネックを自動的に診断し、その原因を特定してくれます。
データ量の増加やインデックスの欠如などが原因である場合、その旨を示し、適切なインデックスの作成を推奨するなど、具体的な改善策までレコメンドしてくれます。
Spanner
データベースの事前分割(Pre-Splitting)
急激なトラフィック増加が予測されるキャンペーン時などには、自動シャーディングが完了する前に負荷がボトルネックとなるケースがあります。
この課題に対応するため、ユーザーが手動でデータベースを事前に分割できる機能が提供されました。
あらかじめ最適化された状態でシステムを稼働させることが可能となり、ウォームアップ期間を設けることなく、急増する負荷にも安定して対応できるようになるようです。
階層型ストレージ
Spannerは高性能なSSDストレージのみをサポートしていましたが、データの利用頻度に応じてSSDとHDDを使い分けることが可能になる階層型ストレージ機能が導入されました。
データ格納のポリシーを定義することで、アクセス頻度の高いデータをSSDに、低いデータをHDDに自動的に配置したり、一定期間経過後にHDDへ移行させたりすることができます。
Spanner カラムナ
発表されたばかりのSpanner Columnar Engineが紹介されました。
有効化すると、既存の行形式に加えて、カラム形式でデータを追加保存してくれる機能です。
カラム形式は分析クエリに最適化されているため、この機能を有効化することで、複雑な集計や分析処理を高速化できます。
特にData Boostと呼ばれる仕組みにより、分析クエリは通常のOLTP処理とは別のコンピュートリソースを利用して実行されるため、分析処理がOLTPのパフォーマンスに影響を与える心配がありません。
AlloyDB
AlloyDB AI natural language
SQLの知識がなくても、自然言語でAlloyDBにリクエストを投げることができます。
AlloyDBは内部で自然言語のリクエストを適切なSQLクエリに変換し、実行して結果を返します。
AIクエリエンジン
SQLの中から生成AIを直接呼び出すことができる機能です。
「このレビューが顧客満足度に与える影響はポジティブかネガティブか?」といった、感情分析のようなクエリをSQL内で実行し、その結果に基づいてデータをフィルタリングしたり、並べ替えたりすることが可能になります。
MCP Toolbox for データベース
MCP経由で、複数種類のデータベースにAIエージェントが接続できるようになります。
エージェントから受け取ったリクエストをデータベースへの適切なSQLクエリに変換して実行し、結果をエージェントに返却します。
Database Center
Google Cloud上の様々なデータベースを一元的に監視し、ダッシュボードで状態を表示するツールです。
マネージドデータベースだけでなく、Compute Engine上で稼働するセルフマネージドのデータベースもサポート対象となり、Google Cloud上で稼働するほぼ全てのデータベースを網羅的に管理できます。
さいごに
本セッションを通じて、Google Cloudが提供するデータベースサービスのアップデート情報をインプットすることができました。
AIがデータベースに統合され、より高度な分析を容易に行えるようになっている点が非常に印象的でした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。