DX開発事業部の山中です。本記事は、 Google Cloud Next Tokyo 2025 で行われたセッション「internal AI を用いた社内向け AI チャット アプリケーションの構築」の参加レポートです。

セッション概要

タイトル: internal AI を用いた社内向け AI チャット アプリケーションの構築
スピーカー: 田邉 裕貴(株式会社CureApp / Vice President of Engineering)
セッション説明: Firebase Genkit ベースの OSS である internal AI を用いて社内向けに AI チャットアプリケーションを構築する方法を紹介します。MCP (Model Context Protocol) を用いた AI エージェントの組み込みについても紹介します。

AI を使う使わない企業、その課題

近年、多くの企業でAI の利用が広がる一方、特定の業務や職種によってはAIを全く使わない人もいるという実情があり、コスト最適化のニーズが生まれています。また、エンジニア領域では Gemini CLI のようなツールによって生産性が3倍から5倍向上しているものの、他の領域ではまだ同様の生産性向上ツールが十分に出てきていないという課題があるとのことです。

このような背景から、特定の業務に特化したAIのニーズが今後拡大すると考えられています。

internal AI の開発

この課題を解決するために「internal AI」が開発されました。

Firebase Genkit ベースの チャットアプリの OSS です。

internal AI の特徴

  1. OSSとして提供されている
    1. GitHub に公開されています。
    2. https://github.com/tanabee/internal-ai
  2. メールアドレスベースのアクセス制御
    1. Firebase Authentication の機能を活用しており、@your-company.com のような形で組織のドメインを設定することで、特定の組織のメンバーのみなどアクセス制限をかけることができます。
  3. Firebase 製品を活用した従量課金モデル
    1. 100 人程度で社内利用などであれば、Firebase の無料枠で十分な場合が多いようで、トークン消費に対する課金程度で済むことが多いそうです。
    2. 低コストな運用ができるのも嬉しいですね。
  4. Firebase Genkitによる高い拡張性
    1. internal AI は、Firebase Genkit ベースの OSS であるため高い拡張性を実現しています。
  5. Vertex AI による多様な生成モデルの選択
    1. internal AIは、Vertex AIのModel Garden を利用することで、Gemini 以外のモデル切り替えも柔軟に可能となっています。

導入方法

GitHub のリンクは下記です。

https://github.com/tanabee/internal-ai

インストールガイドは こちら です。

GitHub のリポジトリをフォークしてもらい、Firebase プロジェクトを作成・権限設定し、デプロイするのみで利用が可能で、20分ほどでデプロイまでいけるため、お手軽に試すことができます。

さいごに

本記事では、Firebase Genkit ベースの OSS である「internal AI」の開発者セッションについて紹介しました。
昨今、社内 RAG チャットのニーズが増えてきてるものの、活用具合に個人差が出やすい課題がある中で、ユーザー単位ではなく従量課金制で利用できるのは、導入の敷居が低くなることが魅力だと感じました。また、Genkit をベースとした OSS で、モデル変更の柔軟性、メールアドレスベースの認証など、内製化進める上でも利用しやすいスタックが揃っているのも進めやすいポイントですね。