みなさん、こんにちは。第一開発事業部に所属している江端と申します。
3回にわたる連載もいよいよ最終回です。この記事ではアイレットで実施されたプロジェクトマネジメント研修について、私の体験を交えながらご紹介します。
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計画したら、後はやるのみ。『実行プロセス』
PMBOKで定義されている5つのプロセスの3番目が実行プロセスです。計画プロセスで入念な計画ができたら後はやるだけです。が、研修の演習では実際にすることができません。しかし、このプロセスでは今までに演習で学んできたスキルとは一味違う、人間としてのスキルが求められます。今までのスキルはツールや手法で、比較的簡単に身につけることができるハードスキルと呼ばれるものでしたが、実行プロセスで求められるスキルはソフトスキルです。
プロジェクトマネージャーに求められる5つの役割
- リーダー:チームをまとめ、メンバーのモチベーションを上げてゴールへ導く
- マネージャー:現在の状況を冷静に分析し、進捗を監視・コントロールする
- ファシリテーター:チームの活動をスムーズにし、成果を引き出させる
- コーチ:チームメンバーの自発性を促し、目標達成をサポートする
- ネゴシエーター:利害関係者がWin-Winの関係になるよう導く
これらの役割は、単に知識や技術だけでなく、チームや顧客との信頼関係を築く上で欠かせないスキルです。
今回の研修ではとある会社の新規ECサイト立ち上げプロジェクトにコンサルタントとして入り、PMとして奮闘する課長にアドバイスをするというものでした。ケーススタディとしては最初はうまくいっていたが、プロジェクトが進むにつれ、メンバー同士のいざこざやトラブルが垣間見れて、少しずつプロジェクトが遅延している状態というものでした。
大抵のプロジェクトは複数人でやるものです。個人スポーツではなく団体スポーツと同じです。様々なスキルや考え方をもつ人間が集まって1つのゴールに向かって長期間走り続けるのは並大抵の努力ではないと思います。また、PMとチームメンバーは上司と部下の関係ではないので、そのマネジメントスキルとは異なる人間力がPMには求められるのではないでしょうか。
プロジェクトを正しい道へ『監視・コントロールプロセス』
プロジェクトを成功に導くためには、実行中の監視・コントロールが欠かせません。ウォーターフォール型の開発では前のプロセスに戻らないということが前提です。計画プロセスで作成したガントチャートのスケジュールからずれないようにコントロールしていくのが、このプロセスです。また、洗い出したリスクが発生していないか、想定以上の大きさになっていないかを監視する必要があります。
成功の鍵は『終結プロセス』にあり
PMBOKで定義されている最後のプロセスが「終結プロセス」です。これまで、進めてきたプロジェクトもいよいよ終わりを迎えますが、IT開発のプロジェクトでは運用が始まってからが本当のスタートではないでしょうか。このプロセスでは当初計画プロセスで作成したスケジュール、コスト、品質(QCD)通りに終わったかどうか、予実の確認とともに、次のプロジェクトの参考となるように報告書として残すべきです。
ただ、単純に計画通りにプロジェクトを終了できただけでは、本当に成功したプロジェクトとは言えません。顧客などのステークホルダーが満足して初めて本当の成功と言えるのではないでしょうか。
私自身、今までにいくつものシステム開発プロジェクトに携わってきましたが、せっかく作ったシステムや導入したシステムがすぐに使われなくなってしまった苦い経験があります。
当時は運用フェーズで担当から外れてしまい、顧客の満足度を最後まで見届けることができませんでした。しかし、アイレットでは企画から運用まで一貫してプロジェクトに関わることが可能です。これからは、お客様に本当に喜んでもらえるシステムを提供し、『作って終わり』ではなく『価値を提供し続ける』PMを目指したいと思います。
おわりに
たった2日間の研修でしたが、これまでの実務経験を体系的に振り返る良い機会となり、また新たな学びも得られました。この研修を通して、私はプロジェクトマネジメントの面白さと奥深さを再認識しました。これからアイレットで、お客様に心から喜んでいただけるようなプロジェクトを多く手掛けられるよう、今回学んだことを実践していきます。