はじめに
こんにちは、はちみつが入った紅茶の匂いは苦手だけど味は好きなヤマダ(北野)です。
この記事は「Automatic Enterprise ML with Amazon SageMaker and Nextworld (SMB201)」のセッションレポートです。
Next WorldのSenior Director of Engineering and AIであるLuke Hollenbeckさんがエンタープライズ向けノーコードプラットフォームにAutoMLを組み込んだ事例について紹介されていました。
概要
Machine learning has long helped businesses make smarter decisions, but it’s traditionally required data scientists, long development cycles, and heavy investment to deploy and maintain. In this session, see how business users can now build powerful AI models to solve problems like supply chain optimization or cash flow forecasting in hours instead of weeks. By combining Nextworld’s enterprise-grade, AI-native application platform with Amazon SageMaker AutoML, organizations cut development time by up to 95%, democratize access to AI for non-technical roles, and solve critical business challenges faster.
セッションではNext WorldがSageMaker Autopilotを活用して機械学習モデルの構築プロセスを劇的に効率化した取り組みが語られました。具体的な成果として従来4週間かかっていたモデル構築を2日間に短縮し、平均精度を33%向上させたことが挙げられました。
Next Worldとは

Next Worldはエンタープライズ向けのアプリケーションを構築・実行するためのAIネイティブなノーコードプラットフォームを提供しています。このプラットフォームは自然言語でのアプリ構築、LLMやVisionモデルを含むAIの組み込み、監査可能なマネージドインフラの提供が特徴です。
従来の課題とSageMaker Autopilotの採用理由

Next Worldはこれまでもノーコードの機械学習機能を提供していましたが、「専門知識が必要」で、「構築に最低でも数週間かかる」という大きな課題がありました。
そこでNext WorldはAutoML (Automated Machine Learning)に注目し、自社構築も検討しましたが、最終的にAWS SageMaker Autopilotを採用しました。
SageMaker Autopilot採用の決め手

採用の決め手となったのは、Next Worldが求める以下の非交渉条件(non-negotiables)を満たしていた点です。
- APIでフル操作可能: マルチテナントシステムとして、コードで完全に制御できること。
- サーバーレス対応: インフラ管理の手間がなく、小規模な顧客でもコスト効率が高いこと。エコノミー・オブ・スケールがない状況での財務的な実現可能性を担保しました。
- モデル分析機能: データサイエンティストが必要とする高度な分析ツール(Confusion Matrixなど)が充実していること。
AutoML導入の成果

AutoML製品リリース後、すぐに大きな成果が出ました。手作業でモデルを構築していた従来の方法と比較した結果は以下の通りです。
| 項目 | 従来の手作業 | AutoML(SageMaker) | 改善率 |
| 構築期間 | 4週間 | 2日間 | 95% |
| モデル精度 | – | 平均33%向上 | – |
精度が向上した主な理由はAutoMLが人間よりも速く、訓練・テスト・調整のイテレーションを自動で回せるためです。
また、ビジネスインパクトとしてAutoML製品をリリースした月の契約更新率が100%、AutoML へのアップセル率も100%、契約金額が平均54%増加したそうです。
ユースケース:臓器移植の適合性判定

人命に関わる重要な事例として臓器移植の可能性を判定するシステムの改善が紹介されました。
| 開発方法 | 精度 | 期間 |
| データサイエンティストによる改善 | 約75% | 4週間 |
| AutoMLによる改善 | 90% | 2日間 |
まとめ
今回のNext Worldの事例からAutoMLは単に作業を速くするだけでなくてビジネス上の利益を直接増やす力があることが分かりました。
主な成果のおさらい:
- モデル作りの時間が95%減(4週間が2日間に)。
- 予測の正確さが平均33%向上。
- お客さんとの契約金額が54%増。
これにより専門家(データサイエンティスト)は一つ一つのモデル作りに時間を費やす必要がなくなり、会社全体のシステムを良くするような核部分に集中できるようになりました。
最新のAI技術(LLMなど)も大事ですが、AutoMLで昔からある基本的な機械学習を誰でも使いやすくすることも大事です。社員により大きな仕事に集中してもらうために、AutoMLを活用しましょう!