はじめに
DX開発事業部の深川です。
官公庁や自治体の入札案件に携わる皆さま、「仕様書の文章作成」に苦労していませんか? 独特の言い回し、常用漢字のルール、そして「である」調の徹底……。内容以前に、形式を整えるだけで日が暮れてしまうことも少なくありません。
そこで今回、GoogleのGemini(Gem)を使って、放り込んだ下書きをプロ品質の「公用文」に一瞬で変換する専用エージェントを作成しました。
※業務で利用する際は、各組織のセキュリティポリシーに則り、機密情報を含まない形で利用しています
なぜ「公用文変換」が必要なのか
公用文には、昭和27年の内閣告示から続く「公用文作成の要領」などの厳格なルールがあります。
・「及び」と「並びに」の使い分け
・「こと」「とき」「もの」をいつ平仮名にするか
・専門用語を平仮名表記にする基準
これらを人間がチェックするとどうしても漏れが出ますが、LLM(大規模言語モデル)に「公用文作成の手引き」を読み込ませることで、精度の高い校正が可能になります。
Gemの構成
今回作成したGemの「指示(System Instructions)」の一部を公開します。
設定のポイント
ロール: 官公庁の仕様書作成に精通した専門校正者
主なルール:
1.文末は「である」「する」に統一(「です・ます」は禁止)。
2.公用文表記の基準(常用漢字表)を遵守すること。
・例:〜の時(×)→ 〜のとき(○)
・例:〜出来る(×)→ 〜できる(○)
3.接続詞の使い分け(「及び」と「並びに」の階層構造)を厳守。
4.箇条書きを多用し、一文を短く構造化する。
実際に変換してみた結果
実際に「適当に書いたメモ」がどう変わるか見てみましょう。
| 項目 | 変換前(下書き) | 変換後(公用文Gem) |
| 趣旨 | このシステムは、市民がスマホから申請できるようにするものです。 | 本業務は、市民がモバイル端末を用いてオンライン申請を行うためのシステムを構築することを目的とする。 |
| 納期 | 令和7年の3月末までに全部終わらせて納品してください。 | 履行期限は、令和8年3月31日までに全ての成果物を納入するものとする。 |
| 表記 | 難しい言葉はなるべく使わないようにして下さい。 | 専門用語の使用は最小限に留め、平易な表現を用いるよう努めること。 |
工夫した点
・知識の活用: 自治体が出している「公用文作成の手引き」のPDFをGemの知識にアップロードしました。これにより、一般的な文章校正ではなく「特定の組織ルール」に準拠した出力が可能になります。
・出力フォーマットの固定: 「修正箇所とその理由」を最後にリストアップするように設定したため、なぜその表現に変わったのかを納得しながら進められます。
まとめ
仕様書の本質は、発注者と受注者の認識齟齬をなくすことです。
形式的な文章修正をGemに任せることで、私たちは「本来どんなシステムを作るべきか」という設計の本質に集中できるようになりました。
「Geminiを触っているけど、具体的な活用方法に悩んでいる」という方の参考になれば幸いです!