前回のおさらい
前回の記事では、AWS Well-Architectedフレームワークの「コスト最適化」の基本概念と5つの設計原則を、家計管理に例えて解説しました。
今回は、実際にどうやってコスト最適化を進めていくか、具体的な5つのステップをご紹介します!
実践!コスト最適化の5ステップ
ステップ①まず家計簿をつけよう!【現状把握】
家計だと、レシートを集めて「食費」「光熱費」「娯楽費」などに分類。
それでどこにお金がかかっているか可視化し把握できますよね。
AWSでは、AWS Cost Explorerを使って「どのサービスにいくら使っているか」を可視化!
「このデータベース、意外と高いな」と気付くきっかけになります。
具体的な手順
AWS Cost Explorerを開く
- AWSマネジメントコンソールから「Cost Explorer」を検索
- 「コストと使用状況レポート」を表示
- コストの内訳を確認
- サービス別(EC2、RDS、S3など)
- リージョン別(東京、大阪、アメリカなど)
- アカウント別(開発、本番、検証など)
- タグ戦略を立てる
POINT
まずは1〜2週間かけてじっくり現状を把握。
焦らず、どこにお金がかかっているか「見える化」することが大切です。
ステップ②簡単な節約から始めよう!【クイックウィン施策】
AWSではすぐに効果が出る「低コストハイリターン」の施策から始めましょう!
① 未使用リソースの削除
- 誰も使っていない古いEC2インスタンスの削除
- アタッチされていないEBSボリューム(ディスク)の削除
- 古いスナップショット(バックアップ)の削除
- 未使用のElastic IP(固定IPアドレス)の削除
- これだけで月10-30万円削減できることも!
② インスタンスサイズの適正化
- AWS Compute Optimizerを開く
- 「CPU使用率が10%以下」のインスタンスをリストアップ
- 1ランク小さいインスタンスに変更
③ 開発環境の自動停止
- AWS Systems Managerの「オートメーション」機能を使用
- CloudWatchイベントでスケジュール設定
- Lambdaで起動/停止スクリプトを実行
Step 2 Point
ステップ2は 2週間目での完了 を目標に!
「すぐできること」から始めて、小さな成功体験を積み重ねることが大切です!
ステップ③本格的な見直しをしよう!【中長期施策】
家計でも電力会社やサブスクリプションなど、利用しているサービスの定期的な見直しを実施しますよね?
AWSでも同様に見直しが必要!
そしてここからが本格的なコスト削減。大きな効果が期待できます!
①Savings Plans / Reserved Instancesの購入
| プラン | 割引率 | 備考 |
| オンデマンド(従量課金) | 0% | 従量課金 |
| Savings Plans | 最大72% | EC2 Instance Savings Plans(3年、全額前払い)の場合。割引率はプランタイプ、契約期間、前払い方法によって異なる |
| Compute Savings Plans | 最大66% | より柔軟だが割引率はやや低い |
注意: 過去3ヶ月の使用状況を見て、「確実に使い続ける分」だけ契約しましょう。
https://aws.amazon.com/jp/savingsplans/compute-pricing/
②サーバーレスアーキテクチャへの移行
インスタンス型 vs サーバーレス
インスタンス型
- サーバーを24時間起動
- 使っても使わなくても課金
サーバーレス(例 Lambda)
- 必要なときだけ実行
- 実行時間に応じて課金
適しているケース
- 定期的なバッチ処理
- API(1日数百〜数千リクエスト程度)
- 画像のリサイズなどの軽い処理
③ストレージライフサイクルの最適化
家の収納と同じイメージ!
- よく使うもの →すぐに取れるリビングの棚→ S3 Standard
- たまに使うもの → 取るのに少し時間かかる押入れ→ S3 Intelligent-Tiering
- 滅多に使わないもの → 取り出すのに時間とお金がかかる実家の倉庫→ S3 Glacier
効果長期保存データで最大90%削減!
Point
ステップ3は 1〜3ヶ月 かけてじっくり取り組みます。
大きな変更なので、慎重に計画を立てることが重要です。
ステップ④習慣化しよう!【継続的改善】
毎月1回、家族で家計簿を見ながら反省会。「今月は外食が多かったね」「来月は旅行費を貯めよう」などなど…
AWSでは月次コストレビュー会議などを開いて、継続的に見直しを行いましょう!
議題例
- 今月のコスト報告(前月比、予算比)
- コスト増加の要因分析
- 次月の改善アクション決定
参加者
- 技術チーム(エンジニア、インフラ担当)
- 経理チーム(財務担当)
- 経営層(必要に応じて)
四半期レビュー
確認項目
- 新しいAWSサービスの評価
- アーキテクチャの見直し余地
- Savings Plansの契約更新検討
- AWS Well-Architected Tool でのレビュー
POINT
コスト最適化は「一度やって終わり」ではありません。
改善サイクルを回し、継続的に改善し続けることが大切です!
ステップ⑤ツールを活用しよう!
家計簿アプリ、ポイントアプリ、比較サイトなど、便利なツールを使いこなして日々の家計をチェックしたり節約に繋げたりしますよね。
AWSでも同様に、さまざまなツールが用意されています!
AWSでの必須ツール一覧
| ツール | 役割 | 無料/有料 |
| AWS Cost Explorer | 家計簿アプリ | 無料 |
| AWS Budgets | 予算管理・アラート | 無料(2つまで) |
| AWS Cost Anomaly Detection | 異常検知(AI) | 無料 |
| AWS Trusted Advisor | 改善提案 | 一部有料 |
| AWS Compute Optimizer | インスタンス最適化提案 | 無料 |
| AWS Well-Architected Tool | 総合診断 | 無料 |
AWS Well-Architected Toolの使い方
システムの健康診断のようなもの!
- AWSマネジメントコンソールから「Well-Architected Tool」を開く
- 「ワークロード」を作成(システム名を登録)
- 質問に答えていく(全部で60-70問程度)
- 結果レポートを確認
- 改善推奨事項を実行
「コストを定期的にレビューしていますか?」「未使用リソースの削除プロセスはありますか?」「適切なインスタンスタイプを選んでいますか?」などの質問に答えていきましょう!
診断結果に従って改善すれば、大幅なコスト削減が見込めます。
まとめ
コスト最適化は「節約」じゃなく「賢い使い方」
コスト最適化と聞くと「ケチケチ節約術」に聞こえるかもしれませんが、実は違います。
家計に例えるなら、
❌「電気代を節約するために真夏にエアコンを我慢する」
⭕「省エネエアコンに買い替えて、快適に過ごしながら節約する」
という違いです。
AWS Well-Architectedフレームワークのコスト最適化も、
❌性能を犠牲にしてケチる
⭕必要な性能は確保しつつ、無駄をなくして賢く使う
ということなんです。
今日から始められる3つのこと
①現状把握 AWS Cost Explorerで今の状況を見てみる(家計簿をつける)
②断捨離 使っていないサーバーやサービスを削除(サブスク解約)
③自動化 開発環境の自動停止を設定(外出時に電気を消す)
AWSは難しそうに見えますが、基本的な考え方は日常生活の家計管理と同じ。
この記事が、クラウドコスト最適化の第一歩になれば嬉しいです!