「KDDIアイレット内製化革命」の幕開けから数ヶ月。副社長・平野が掲げた「究極のゼロメンテナンスシステム」の実現に向け、若き精鋭たちはいよいよ本格的な実装フェーズへと突入しました。
しかし、開発の手を動かすほどに浮き彫りになってきたのは、「セキュリティと利便性のジレンマ」や「空予約の撲滅とユーザーへの配慮」といった、システム開発において避けては通れない壁でした。
第3弾となる今回は、Cloud Run の IAP(Identity-Aware Proxy)機能を駆使した「ログイン画面の完全撤廃」、ユーザー体験を損なわない「自動キャンセル&Slack 通知」の妥協なき設計、そして生成 AI を組み込んだ「次世代コードレビュー」の導入に至るまで、KDDIアイレットの開発手法そのものをアップデートしていく若手エンジニアたちの奮闘をまとめます。
IAP がもたらしたブレイクスルー。「ログイン画面」という無駄を削ぎ落とす〜
会議室の前に設置される iPad 端末。ここで議論の的となったのが「ログイン画面の必要性」です。端末それぞれに Google カレンダーを制御するための Google アカウントでログインしている状態で運用されるため、一定期間でセッションが切れてしまうと、利用者が再ログインできず、アプリが停止して運用コストが増大するという懸念がありました。当初はセキュリティ確保のためにログイン画面を再導入する方針も検討されましたが、開発チームは新たな技術アプローチでこの壁を突破します。
それが、Cloud Run の IAP(Identity-Aware Proxy)機能の活用です。
この機能を使うことで、システム側で独自のログイン画面や Google 認証 API を作成することなく、アクセス制御を行うことが可能になります。プレビュー機能であるという懸念はあったものの、社内利用のため一定の理解が得られるという点もあり、利便性の向上と新技術へのチャレンジを優先し、万が一の際は Google カレンダーの直接利用でカバーするというリスクヘッジを講じた上で採用が決定しました。

これにより、ユーザーはログイン操作の手間から解放され、開発側も実装コストを大幅に削減することに成功したのです。
「空予約」を撲滅せよ!自動キャンセル機能と Slack 通知の攻防
新しい会議室予約システムの大きな目的の一つが、使われていないのに予約だけされている「空予約」の撲滅です。 しかし、会議室へのチェックインが遅れた際に、自動で予約をキャンセルする仕組みでは、来客対応で少し遅れているだけのユーザーに対して不親切になってしまいます 。そこでチームは、自動キャンセルされる前に Slack で事前通知を送る仕組みを考案しました。

予約者に対し、会議開始直後にチェックインのリマインドを送り、さらに自動キャンセルの数分前にキャンセル予告を送るという仕様です。Slack 上のボタンから直接チェックインできる機能の実装も検討されましたが、初期リリースでは実装のスピードを優先し、まずは「確実な通知」に留めるという、アジャイルらしい現実的な判断がされました 。
AI 時代のプロジェクト管理とコードレビュー革命
プロジェクトの管理手法もメンバーで工夫をしました。当初プロジェクト管理ツールは社内全体で利用していた Backlog でしたが、エンジニア中心のプロジェクトである点を考慮し、GitHubで完結できる点、ロードマップやガントチャートが見やすく、課題とコードの紐付けが容易な GitHub プロジェクトへと完全移行を果たしました。
さらにAI駆動開発を実践する今回のプロジェクトにおいて、AI を活用したコードレビューシステムの導入を実現しました。チームは Cursor を活用し、プログラミング原則(DRY や単一責任など)をまとめたマークダウンドキュメントを AI に読み込ませる仕組みを構築。ドキュメントを分割して Skills 機能を利用することで、トークン消費を抑えつつ、安定した品質での AI コードレビューを実現しました 。これは単なる社内システム開発の枠を超え、アイレットの開発手法そのものをアップデートする試みと言えます。
効率化の先にある「真のユーザービリティ」への到達
今回のフェーズを通じて開発チームが学んだのは、「技術的な効率化」と「ユーザー体験(UX)」のバランスをどう取るかという、一段階高い視点でした。 ログイン画面をなくすために IAP を検証し、会議室の空予約をなくすためにただ強制キャンセルするのではなく、Slack で事前通知を送る仕組みを考案する。さらに、GitHub プロジェクトへの移行や、Cursor の Skills 機能を活用した AI コードレビューの導入など、開発プロセス自体の自動化・効率化にも積極的にチャレンジしました。
副社長の平野が「新しい技術・機能を使ってチャレンジできたという方が価値がある」と語った通り、彼らは単に言われたものを作るのではなく、自ら技術を選び取り、ユーザーにとっての最適解を泥臭く模索し続けています。
次回予告
いよいよシステムはプロトタイプ完成から、怒涛のテスト・バグ修正フェーズへ。
「納期」か「品質」か? リリース直前で下された究極の決断と、データ分析基盤が可視化するオフィスの未来に迫る第4弾にご期待ください!
ハッシュタグ #副社長と社内開発。彼らの飽くなき挑戦は、まだまだ続きます。