こんにちは、DX開発事業部の山中です。Google Cloud Next ’26 に現地参加していました!
この記事は Google Cloud Next ’26「Accelerate CI/CD with coding agents」(BRK3-020)のセッションレポートです。Google Cloud の Developer Connect チームから、コーディングエージェント上で自然言語から CI/CD パイプラインを設計・デプロイできる CI/CD Extension が発表されました。Gemini CLI と Claude Code の両方で動き、しかもオープンソース、という内容です。
登壇者は Engineering Manager の Haroon Choudhry さんと、Technical Lead の Yashwanth Ganashakran さんでした。
こんな方におすすめ
- Google Cloud で CI/CD(Cloud Build / Cloud Deploy)を構築しているエンジニア
- Gemini CLI / Claude Code をコーディング以外でも活用したい方
- IAM・サービスアカウント・Developer Connect の手作業設定に疲れている方
「コードは AI、デプロイは手作業」のギャップ
冒頭、Haroon さんから DORA レポートの数字が共有されました。
- 開発者の 90% が日常的に AI を使用
- それでも、59% の開発者がデプロイで問題に直面
- CI/CD で AI を使えている組織は 27% にとどまる

CI/CD パイプラインの設計は単なるスクリプト生成ではなく、断片化された複雑なエコシステムをナビゲートする作業だから、というのが Haroon さんの説明でした。Cloud Build YAML を書きながら IAM を整え、Developer Connect を繋ぎ直すフローを手で組むことが多い現場感とも一致します。
CI/CD Extension の中身
Extension は4つのコンポーネントで構成されています。
| コンポーネント | 役割 |
|---|---|
| Skills | デプロイ・パイプライン設計・リリースオーケストレーション・Terraform の定義済みワークフロー |
| ローカル MCP サーバー | ユーザー認証情報で動き、Google Cloud CI/CD ツールを操作する窓口 |
| ローカルナレッジベース | CI/CD ベストプラクティス・デプロイパターン・公式ドキュメントをパッケージ化 |
| Evals | リリースごとに OSS / 自社プロジェクトで包括的な評価を実施 |
ハーネスアグノスティックな設計で、「これはオープンソースです」と紹介された瞬間、会場から拍手が起こりました。

3つのデモが見せたもの
Yashwanth さんが3つのデモを通しで進められました。要点を表にまとめます。
| デモ | エージェント | プロンプト | 自動でやってくれたこと |
|---|---|---|---|
| 1. Cloud Run デプロイ | Claude Code | 「Deploy this application」 | アプリ判別(Python Flask)→ Buildpacks 提案 → シークレットスキャン → リージョン/可視性確認 → デプロイ |
| 2. マルチステージ設計 | Gemini CLI | 「マルチステージ + 自動ロールバックのパイプラインを設計」 | Plan 生成 → Dockerfile / staging.yaml / production.yaml / cloudbuild.yaml 生成 → require_approval: true → ロールバックルール → Artifact Registry / 最小権限サービスアカウント / Developer Connect 既存接続再利用 / push-to-main トリガー |
| 3. Terraform 化 | Gemini CLI | デモ2と同じ + 「Generate Terraform」 | Terraform スキル追加 → main.tf に YAML 版と同じガバナンスを反映 |
特に印象に残ったのは、デモ2で Gemini が 「コンサルタント役 → 実装役」の二段階で動いたことでした。目的・主要ファイル・実装ステップが書かれた Plan を生成して承認を求めるフェーズがあり、計画段階で人が介入できる作りです。

「ブラインドな本番デプロイをするのではなく、ガバナンスゲートを理解して、それを自動化する」
という Haroon さんのコメントが、Extension の設計思想を端的に表していました。
エンタープライズが直面する3つの壁
Haroon さんによる現状整理も実装者として頷くものでした。
- ツールチェーンの断片化: 32% の組織が複数 CI/CD プラットフォームを併用、41% が DevSecOps 統合に苦戦
- 接続の煩雑さ: IaC を本番に繋ぐプロセスが手作業で、汎用 AI エージェント利用時のデプロイは 5回中3回が失敗
- セキュリティ: 過去1年でシークレット漏洩が 34% 増加、IAM 過剰付与やゲートのバイパスも起きがち

AI コード生成量が増えれば、レビューが追いつかずに通るケースも増えます。AI エージェントはコードジェネレーターからインテグレーションオーケストレーターにシフトすべき、というのが Haroon さんの主張でした。

まとめ
CI/CD Extension は、コーディングエージェントの守備範囲を「コード生成」から「本番デプロイの一連のフロー」に広げる拡張機能でした。Gemini CLI / Claude Code の両方で動き、オープンソースで公開されています。

印象に残ったのは、ガバナンス・IAM・シークレットスキャンといった「ちゃんとやろうとすると面倒くさい部分」が、Extension の中にデフォルトで畳み込まれているところでした。require_approval: true を本番に設定する、ロールバックルールを書く、最小権限のサービスアカウントを切る、Developer Connect の既存接続を再利用する、といった設計判断が、エージェントの内部知識として持ち込まれている形です。
「自分のチームに展開するときにこの Extension を入れておけば、ジュニアメンバーが書いた YAML でもセキュアな最低ラインは守れる」という使い方がイメージしやすいと感じました。クライアント案件で Google Cloud への CI/CD 導入を提案する際も、最初の素案をエージェントに作らせてレビュー・調整するワークフローが現実的に成立しそうです。
「コードはエージェントが書く、デプロイは人がやる」から「設計・実装・デプロイのすべてをエージェントとの会話で進める」フェーズへ。その最初の一歩がオープンソースで踏み出された、というのが個人的な受け止めでした。