こんにちは。ビジネスアクセラレーション事業部の古川です。
先日KDDIアイレット社内にて、2日間の「社内AWS研修」が行われました! この研修は入社2年目の新卒社員が1年次下の新卒社員に対してレクチャーをする、KDDIアイレット独自の研修です。毎年後輩に受け継がれており、今年で8年目となります。私も昨年の新卒研修の際に、先輩に研修いただいたことをよく覚えています。
今年は講師として研修の企画・実施に挑戦しました! この記事では研修の準備や当日の様子、反省点などを講師目線でレポートします。
講師に挑戦した理由
講師に挑戦した理由は複数あります。一番の理由は、「Japan AWS Jr.Champions」を目指しているからです。「Japan AWS Jr.Champions」とは、AWS Partner Network (APN) 参加企業に所属し、現在社会人歴 1~3 年で、AWS を積極的に学び、自らアクションを起こし、周囲に影響を与えている若手エンジニアが選出されるプログラムです。
Japan AWS Jr.Championsの活動として、外部への発信が求められています。積極的に発信を行えるようになるため、まずは社内で人前に出ることから始めようと思いました。
二つ目の理由は、自身が1年目に受けた研修が印象に残っているからです。当時AWSについてほとんど知識がなく、ハンズオンに苦戦していた私を先輩が丁寧にサポートしてくれました。初めは先輩方に対して緊張していましたが、わかりやすく楽しい雰囲気の研修を通して、一気に親しみを持てるようになりました。 この経験から、私も後輩が楽しく学べる研修を届けたいと思い、講師に立候補しました。
研修準備
6月上旬に行われた社内AWS研修ですが、準備は1月から始まっていました。週に一度の定例でスケジュールや企画を決定し、業務の間を縫って作業を行いました。定例では気兼ねなくアイデアを出し合い、「後輩のためにより良い研修にしよう」という共通の想いを持ちながら一丸となって準備に打ち込んでいました。
研修日程は2日間です。例年の研修を参考に、今年も1サービスずつ講義を行った後に手順書を見ながらハンズオンに取り組んでもらう流れで進めます。インフラチームと開発チームに分かれ、1日ずつ研修を準備することとなりました。私は開発チームに所属しました。
実施のスケジュール
1月:研修のゴール、使用するAWSサービス、スケジュールの大枠を決定
2月:インフラ/開発 でチーム分け、全体の流れを確認、クイズ大会など実施コンテンツの決定、講義資料の作成
3月:講義資料レビュー・修正、リソースの管理方法決定(Terraform使用)、タスク管理の方法を明確に(Backlog起票)
4月:ハンズオン資料作成・レビュー・修正、研修当日の分単位のスケジュール決定、講義リハーサル実施・レビュー
5月:ハンズオンリハーサル実施・レビュー、クイズ作成、受講後アンケート作成、受講生のIAMロール作成、Terraform環境構築・コード作成・運用方法の確認
6月:Terraform実行リハーサル・修正、当日の運用について確認

課題はBacklogを使用して管理しました!
スケジュールの反省点
比較的順調に進んでいましたが、何度か手戻りがあり余分なタスクが増えてしまいました。私の考える反省点を書き出してみました。ぜひ今後講師を担当する方にこの記事を活かしてもらえると嬉しいです。
- IAMユーザーを作成してからハンズオンリハーサルを行えば良かった。
最初のハンズオンリハーサルはアドミン権限で行いました。しかし、IAMユーザー作成後、IAMユーザーでログインしてハンズオンを行うと権限の不足で実行できないことがあり、権限変更後に再確認を行わなければなりませんでした。
- Terraformの作成・リハーサルをもっと早くやれば良かった。
私を含めTerraformを初めて使用するメンバーも多く、環境構築やエラー解決に時間がかかってしまいました。加えてTerraformの実行には数分〜数十分程度の時間がかかります。リハーサルや構築に思った以上に時間がかかってしまい、5月後半に負担が集中してしまいました。
- 研修直前に当日の運用方法の最終確認を行った
研修1週間前の定例で、当日のトラブルシューティングガイドがあった方が良いのではないか。クイズで使用するアプリは受講生にどのように見えるのか。質問があった場合はどうすれば良いか。など細かい内容を相談しました。スケジュールの関係で仕方ない部分もありますが、前倒しで進められると余裕を持って研修当日を迎えられたと思います。
2日目 開発チームの研修内容
私の所属した開発チームでは、実業務での使用頻度が高いこと、生成AIサービスにも触れてほしいことを理由として、Lambda、API Gateway、S3、CloudFront、Bedrockのサービスを扱うことにしました。サービスごとに講義約20分+ハンズオン20~60分を行います。
例年のハンズオンでは、1サービスのハンズオンの中でリソースの作成と削除を行なっていました。しかし、「毎回削除していると、何のために作っているのかわからなくなってしまうと思う」「実業務での使い方やサービスの連携も学んでほしい」という想いから、開発チームではすべてのサービスをつなぎ合わせて1つのアプリを作る方針としました。
作成するアプリの内容は、受講生にとって親しみやすく、普段の新卒研修にも活かせるもの。また楽しんで研修を受けてほしいという想いから「ビジネス言葉変換アプリ」となりました。ビジネスマナーや敬語について研修を受けた26卒受講生にとって身近なテーマです。このアプリは、文章を入力すると生成AI(Bedrock使用)がビジネス敬語に変換してくれるというものです。
このアプリは、敢えて最初の出力ではあまり綺麗な敬語ではない設定としました。アプリの作成が早く終わったチームは代表1人が画面共有をして、正しいビジネス敬語を出力するプロンプトに書き換える課題を行ってもらいました。

アプリの動く仕組み
このアプリは、S3に置いた画面ファイルをCloudFrontのOACを利用してブラウザへ配信します。
ユーザーが文章を入力して送信すると、API Gatewayがリクエストを受け取り、Lambda関数を呼び出してバックエンドの処理が始まります。LambdaはAmazon Bedrockの言語モデルに文章を送り、AIによる添削結果を受け取ります。その結果がAPI Gatewayを経由してブラウザへ返されることで、ユーザーは添削済みの文章を確認できます。

研修当日のリソースの管理
複数のサービスを組み合わせてアプリを作るため、1つでもリソースの設定が間違っているとアプリは正常に動作しません。そこでTerraformを活用しました。受講生のハンズオン終了後に一度作成したリソースをすべて削除し、Terraformを使って正しい設定で立て直しを行いました。受講生にはリソースの繋がりを意識し、自身が作ったリソースが1つのアプリとなった喜びを感じてもらいたいため、「間違った設定のものや時間内に終わらなかったものは、講師が直しておくから安心してくださいね。」と伝えることにしました。
自身の担当講義
私はS3の講義を担当しました。自身が受講生として研修をしてもらった時のことを思い出し、どうしたら前の先輩の良いところを引き継ぎ、より受講生が関心を持つ講義になるか考えました。
一番の工夫は、講義の中に AWS Certified Solutions Architect – Associate (SAA)の実際のサンプル問題を取り入れたことです。研修と比較して資格勉強を行なっている受講生も多く、関心を持ってくれるのではと考えました。
講義では、「みなさんは今日の講義だけで、SAAの実際の資格問題を解くことができます。」と呼びかけ、1つずつ選択肢を見ながら消去法で解く方法を解説しました。

受講後のアンケートには、「資格問題が出てきて印象に残った」「資格勉強をしている最中だったので、解き方がわかって参考になった」などの声があり嬉しかったです。
研修当日の様子
研修1日目はオープニングから始まりました。講師の自己紹介や研修の目的を共有した後、いよいよ講義へ。26卒の受講生の方はとても真剣で、メモを取りながら聞いている様子でした。ハンズオンは4人ずつの研修チームに分かれて行います。講師が担当チームを決めて巡回しました。
黙々と作業して、詰まった時のみ質問するチーム、画面共有しながら一緒に進めるチームなどやり方は様々でしたが、どのチームも順調にハンズオンを進められているようでした。講師はチームの教え合いを見守り、解決できなさそうなときや、質問された時のみサポートする方針としていました。ほとんど受講生同士の教え合いで解決していて素晴らしいチームばかりでした。

大変だったこと
- Terraformでのリソース立て直し
受講生のハンズオン終了後、受講生は10分休憩に入ります。その間に講師はZoomのブレイクアウトルームに集まり、Terraformを実行します。全員が実行を完了できる頃には休憩時間は終了間近で、次の講義の準備をしなければなりません。特にエラーになってしまった場合、迅速な対応が必要でした。
- Bedrockの講義で使用する予定だったAIモデルがエラーになった。
当日使用予定の一部のモデルが、チーム全員で使用しようとするとエラーになってしまいました。対処法がわからず、急遽1人の画面共有を全員で見ながら進める方針としました。
- 受講生のトラブルシューティング
研修中は講師1人が2つのチームを担当して巡回していました。普段は開発系の業務をしている講師はインフラのリソースについて知識が浅く、インフラ側の講師に協力してもらいながら解決するといった場面もありました。対策としては、全員が全ての講義のハンズオンに一度は取り組んでおく、つまずきやすいポイントを共有しておくなどがあると良かったかと思います。
良かったこと
- 受講生のトラブルシューティングが難しい時、講師間で連携してブレイクアウトルームの担当を交代して解決できた。
当日は、Slackのスレッドを使って相談・報告を行っていました。全員で知識を共有し、スムーズな解決ができました。
- Bedrockのプロンプト調整が盛り上がっていた
敢えてあまり良くない出力の設定にし、チームでプロンプトを調整してもらう課題を出しました。チームメンバーで意見を出し合ってプロンプトを調整し、思わぬ出力結果になってみんなで笑っている場面もあり楽しんで学んでくれているようでした。
- クイズ大会を行った。
この研修では、各日の昼休み明けと研修終了後にクイズ大会を行いました。クイズのランキングは接戦で、真剣に取り組んでくれている様子が見られました。受講生アンケートでも、「クイズが楽しかった」「理解度を確認できた」という声がありました。
まとめ
1月から始まった約半年間の研修プロジェクト。当日トラブルもありましたが、無事最後まで運営することができました。受講生アンケートの結果も良く、研修を計画する当初に設定していた「AWSを楽しく学ぶ」「26卒にとってより良いものにする」という目標を達成できた2日間だったと思います。
私自身、この研修講師を通じて大きく成長することができました。AWSの知識が全くなくても読めるよう工夫した資料の作成、Terraformの操作やコード作成、研修中のトラブルシューティング方法などを通じてAWSに対する理解が深まりました。
加えて人に教える、伝えることの難しさを知ると同時に、自分のアウトプットを誰かが「わかりやすい」「参考になった」と言ってくれる喜びを感じ、今後の発信活動に対する自信に繋がりました。
一緒に研修を作ってきた同期の講師メンバーの皆、そして真剣に受講してくれた26卒の皆さん、本当にありがとうございました。26卒の皆さんが作る、来年の研修を楽しみにしています!