サービスプラットフォーム事業部の Kida です。

6月に開催された AWS Summit Japan 2026 に参加しました。
本記事では、当日聴講した中から印象に残った3つのセッションの内容とそこから得た学びを紹介します。

基調講演

「人に置き換わる AI ではなく、人の能力を拡張する AI 」= AI エージェント が今後のビジネスを支える重要な技術として位置付けられていました。
AI を実際の業務に組み込み、業務効率化や新しい価値創出につなげられている事例が共有され、実証から既に実運用へ進んでいることをあらためて実感しました。
OpenAI の講演では、当初1年以上かかったものが今では1カ月でモデルリリース出来るまでに AI エージェントのモデル開発のスピードは向上していることが紹介されました。
AI技術の進化の速さと、その発展の勢いを強く感じる内容でした。

セッション①:Amazon EC2 がセキュアな理由を、専用チップの設計から徹底解説 — EC2 インスタンスの裏で動く AWS Nitro System —

EC2の裏側で動く仮想化基盤を専用チップで実現している Nitro System の設計思想が紹介されました。
AWS のサービスは新機能の追加や機能の効率化など進化を続けています。その提供スピードや最適化を支えるためにハードウェアまで自社開発していることをこのセッションで初めて知り、AWS の多岐にわたる技術力の高さを感じました。
AWS Summit 会場内には AWS Village という展示・体験エリアが設けられており、Compute ブースでNitro チップの実機の展示がありました。AWS が自社で設計・開発したハードウェアを実際に見ることが出来る機会があることも AWS Summit ならではの貴重な体験でした。

セッション②:AWS における Kubernetes の未来

Kubernetes および EKS は生成 AI アプリケーションや AI ワークロードを支える基盤の一つとして重要性を高めています。
セッションでは柔軟なスケーリングや効率的なリソース管理を実現するための Amazon EKS のアップデートについて解説されました。

  • EKS ダッシュボード
    • リージョンとアカウントをまたいだ Kubernetes フリートの一元的な可視化ができ、AWS Organizations との統合も可能
    • クラスターインベントリの確認・コンプライアンスの監視・フリート全体のバージョンドリフトの修正計画の検討に有効
  • クラスターインサイト
    • クラスターをスキャンし、アップグレードが必要なクラスターや次のバージョンアップによる影響範囲を特定するために利用可能
    • デフォルトで1日1回スキャン実行されるが、アップデートによりオンデマンドでの実行に対応している
  • EKS Auto Mode
    • クラスターの運用におけるインフラ管理の負担をAWS側に委任できる機能
    • 今回のアップデートにより静的キャパシティのプロビジョニングが利用可能となった
      • AI のトレーニングや推論など要件の厳しいワークロードで必要となるキャパシティの事前確保が出来る

EKS は単にアプリケーションを実行する基盤ではなく、運用負荷を軽減するための機能が継続的に強化されていることを学びました。

今後、AI ワークロードをはじめとした様々なシステムで EKS の活用がこれからも広がっていくのではないかと思います。

セッション③:Amazon Bedrock AgentCore を活用したエンタープライズ Agentic RAG の実装解説

AI エージェント/RAG システムの開発現場で起こる主な問題(ハルシネーション/コンテキストロット(コンテキストが長くなるほど回答精度が劣化する現象)/本番環境への展開の難しさ)に対する Agentic RAG を使ったアプローチの紹介がされました。
RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)システムは、生成 AI が外部の情報を検索し回答を生成する仕組みです。さらに Agentic RAG では、その検索の処理に AI エージェントが使えるツールや短期+長期メモリを付加することで回答の精度の向上を図ります。
「ユーザーに合った AWS Summit のセッションをおすすめする」システムを構築したサンプルコードを用いた解説により、実装イメージを持ちながら理解を深められる内容になっていました。

また、Bedrock AgentCore を利用することでスケーラブルなデプロイや認証認可の仕組みを容易に実現できることを学びました。
AI エージェントを実際のシステムで活用するためには、モデルの性能だけに頼らず精度を向上させるための方法を考えたり、安定した運用を支える基盤も重要であることを理解しました。

さいごに

今回の AWS Summit Japan への参加を通じて、AI 技術の進化の速さとビジネスにおける AI 活用の期待の高まりをあらためて感じました。

生成 AI や AI エージェントそのものの進化だけでなくそれを支えるクラウド基盤や運用整備の重要性も高まっています。

今後も AI の最新技術の動向を継続的にキャッチアップし、システム開発や運用につなげていきたいと思います。