こんにちは。アイレットデザイン事業部のディレクター中村と申します。アイレットデザイン事業部では「INSIDE UI/UX」と題して、所属デザイナーとエンジニアがデザイン・SEO・アクセシビリティ・UI/UXなどそれぞれスペシャリティのある領域に対する知見を幅広く発信しています。
今回は、社内メンバーやお客様とコミュニケーションを測りながら共通認識を図る手法として「ワークショップ形式ミーティング」のコツについてまとめてみました。
意思疎通のハードルが上がるリモートワーク
弊社デザイン事業部は、2020年3月の緊急事態宣言を機にリモートワークが開始され、今ではリモートワーク前提での働き方にシフトしています。
以前は振り返れば同じチームのメンバーの席があるため、用事があるたびに声を掛けて意思疎通をしたり、自席の周りに集まってもらってプチ打ち合わせを始めたりと、コミュニケーションが容易な状況でした。
また、お客様とコミュニケーションをする際は、お客様の会社へお伺いして週次定例を開催するなど、対面での打合わせによりプロジェクトの進捗や課題の共有を図っていました。
一方、リモートワーク下では以前よりも気軽に声をかけられなかったり、ネットワークが不調でしっかりと聞き取れなかったり、対面していないことで集中力がとぎれたりなど、打ち合わせ時の意思疎通のハードルが上がっているように思います。
そこでまずはオンラインミーティングの際に参加者と意思疎通を図るのにわたしが大切にしているポイントを紹介したいと思います。
スムーズな意思疎通を図る3つのポイント
1. フラットに意見を言い合える空気づくり
打ち合わせの場で自由闊達な意見を交わすには、参加者側の意識が大切になります。
そのためには、お互いをリスペクトした関係で意見を出せる空気づくりが重要です。
例えば打ち合わせ開始時にアイスブレイクをはさむことは、リラックスしてフラットな立場で話し合う空気を作ることに有効です。
最近の近況を聞くなど何気ない雑談からお互いの考えや人となりを理解することでチームとしてのまとまりが徐々に出てくることにも繋がります。
2. 参加者全員で意見を出し合うことで参加意識を高める
リモート会議では特にですが、一部の人だけが話をし続けて終わる打ち合わせが多い印象があります。
また、意見がある人は発言してくださいと求めても、なかなか意見が出てこないことも多々あります。
全員が意見を出し合うことで、より充実した打ち合わせになり、それが続くことでひとりひとりの打ち合わせに向き合う意識も高まります。
例えば、司会進行役を立てて打ち合わせをファシリテートしたり、全員に発言してもらう時間を持つなど、打ち合わせの進め方を工夫することで改善出来ることもあります。
3. 同じものを見つめ同じ結果を頭に描く
私が打ち合わせをする際は、できるだけ議事録などを画面に映し出して決定事項をその場で見ながらまとめるようにしています。
打ち合わせがデザインに対してのものであれば、デザインツールを画面に映してリアルタイムにデザイン修正をしながら視覚的に共有するようにしています。
例えば10人の人がいたとして、言葉だけで同じ説明をうけても頭に同じものを想像するのはなかなか難しいです。
全員の頭の中に同じ内容が描けるようにするには、全員が同じものを視覚的に共有することが有効だと考えます。
3つのポイントを押さえられるワークショップ形式ミーティング
そして、この3つのポイントをうまく兼ね備えているのがワークショップ形式のミーティングになります。
ワークショップの意味を調べて見ると「講師の話を参加者が一方的に聞くのではなく、参加者自身が討論に加わったり、体を使って体験したりするなど、参加体験型、双方向性のグループ学習」とあります。
ワークショップの「参加型の体験」というところをうまく応用して打ち合わせに持ち込むのがワークショップ形式ミーティングというわけです。
▼図:カスタマージャーニーマップのワークショップ結果例
ワークショップ形式が効果的なミーティング事例
UI/UXの分析・設計フェーズやプロジェクトの振り返り会など、多くの意見を抽出したい場面ではワークショップ形式ミーティングが効果的です。
我々デザイン事業部では以下のような場面でワークショップ形式で実施することが多いです。
ワークショップ形式ミーティングの活用場面例
- ペルソナ設計
- カスタマージャーニーマップ
- ユーザビリティ分析
- デザインコンセプト検討
- 企画・アイデア出し
- 振り返り会(KPT、YWT方式など)
ワークショップの進め方
リモートワーク下でワークショップ形式ミーティングを実施する際はオンラインホワイトボードツール「miro」を利用しています。
https://miro.com/
通常のオフラインでのワークショップではホワイトボードにフセンを貼って進めるスタイルが一般的です。
miroを使用することでオンラインであってもオフライン同様のワークショップを実現することが可能です。
以下に我々がよく行う「意見抽出を目的としたオンラインワークショップ」を実施する際の流れをご紹介します。
▼図:KPT振り返り会結果例
①事前準備
ワークショップを円滑に進めるためには事前準備がとても大切です。
予めファシリテーターがmiro上に以下のフレームを用意しておきます。
ワークショップ中にやることを明確にし滞りなく進行することで、参加者に気持ち良く集中してもらうことができます。
– 本日の目的・テーマを文章で明示する
– 本日のテーマに沿ったフレーム(フセンを貼る場所、区画など)を用意する
– すぐに記載できるように空のフセンを並べておく
②ワークショップ開始
ワークショップを始める前に以下の3か条を紹介するようにしています。
– 積極的に参加することを心がける
– 相手の意見を否定せずポジティブに昇華する
– クリエイティブな意識を忘れず新しい発想をする
ワークショップはディベートの場ではないので、お互いが気持ちよく参加して意見を出し合い、全員でより良いゴールを目指すことが重要です。
この3か条をおさらいすることで、共通のマインドでワークショップに望めるように気持ちを整えます。
③シンキングタイム
お題の検討に入る際は、ファシリテーターが時間を図って参加者に考える時間を与えます。(大体5〜7分くらい)
ワークショップに不慣れな場合は自分の考えをフセンに書き出すのがなかなか難しいと思いますが、ワークショップの参加経験を積むことで短時間で考えてアウトプットする癖が身につきます。
最初のうちは1回のワークショップで正解を出そうと考えず、短時間でアウトプットしていくことに慣れることも必要です。
④発表タイム
書き出したフセンを1枚ずつ読み上げていきます。その際、できれば書いた本人に読み上げて意見を紹介してもらうのが良いです。
自分の意見を自分で伝えるという時間をとることで参加意識と集中力が増していきます。
次にファシリテーターは読み上げられたフセンをグルーピング化して整理していきます。
整理することで個々のバラバラな意見が集約されていくことに繋がります。
ここがファシリテーターの腕の見せどころでもあり、この整理を円滑にできることが望ましいですが、参加者に問いかけながら一緒に整理していくのも良いと思います。
⑤検討タイム
多くのワークショップでは、たくさんの意見からいくつかの有力な意見に絞り込んでいくことをゴールとします。
そこで有効なのが投票です。
一人3〜5票などのルールを決めて並べられたフセンに対して自分が良いと思う意見に印をつけていきます。
投票後には票が多く集まっているフセンを中心になぜそこに投票したかの意見を聞いていきます。
このように投票制度を取ることのメリットとしては、参加者一人一人の意見がしっかりと組み入れられている事を認識してもらえることです。
また、意見の集約と合意形成をポジティブに実施することができます。
⑥アンケートタイム
ワークショップの最後に「今日のワークショップはどうだったか?」というアンケートを必ずとるようにします。
アンケートといっても、感想用のフセンを並べておいて最後に感記入してもらうだけです。
多くの人が「楽しかった」「他人の意見が聞けて参考になった」といった前向きなコメントを記載してくれますが、
中には「もっとうまく意見をだせるようになりたい」「ワークショップが滞らないようにこんな準備をした方が良い」といった改善の意見も出てきます。
ワークショップは参加者もファシリテーターも経験値を高めていくことが大事ですので、感想や反省を言葉にすることでしっかりと次に繋げることが可能になります。
まとめ
改めて、ワークショップ形式ミーティングを行うことのメリットをまとめてみます。
・参加者の参加意識(主体性)を引き出せる
・立場や視点の異なる意見を抽出できる
・合意形成がしやすい
・高い納得度と理解度を得られる
上記で紹介したワークショップの流れはたくさんの意見を集約するタイプのミーティングですが、
その他の目的のミーティングでも流れをアレンジをすることでワークショップ形式のメリットを発揮できる余地はたくさんあると思います。
何よりもリモートワーク下において意思疎通をスムーズにできる有効な手段だと思います。
よろしければ参考にしてみてください。
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