世界展開されているwebサイトデザインには2種類ある

日本と海外のwebデザインにはどのような違いがあるでしょうか。

グローバル企業や世界で人気のコンテンツのウェブサイトは、世界のあらゆる国の人にむけて公開されています。
そういった「グローバル展開されているウェブサイト」には、大きく2パターンあるかと思います。

A:すべての国・言語にむけてサイトデザインが全く同じ

デザインは全言語で統一され、各言語に翻訳(あるいは自動翻訳)したテキストのみが差し替えられたもの

B:国・言語ごとにサイトデザインが異なる

デザインが各言語で異なるもの

今回は<B:国・言語ごとにサイトデザインが異なる>について、
なにがどう異なるのかを前編後編に分けてまとめてみます。

  • 前編:そもそも国によって何が違うのか
  • 後編:実際のサイトデザインで具体的にどういう違いがあるのか

*私は日本生まれ日本育ちで海外経験はほぼ0に等しいため、世界についてまだまだ知識や理解が浅いところがあると思います。推測の域を出なかったり、実際のところそうではないという箇所もあるかもしれませんが、ご了承ください。

そもそも国によって何が違うのか

それでは前編本題です。
ウェブサイトデザイン自体の話の前に、そもそも国によってどういう違いがあるのか、広く浅く淡々とみていきたいと思います。

言語の違い

世界には膨大な数の言語があります。
また、例えば一口に英語といっても、いわゆるアメリカ英語とイギリス英語、オーストラリア英語などがあったり、
中国語にも、広東語・北京語・マンダリンや、文字も繁体字・簡体字と2種類存在していたり、一つの言語にも実は細かな種類が存在していたりします。

慣習・文化の違い

だれがどこで何語を話すのか


日本人の多くはほぼ日本語のみを使っていますが、
1言語のみを話すモノリンガルは世界の4割程度で、
6割は複数言語を話すことのできる、多言語話者のようです。

また、国単位で見ても、一つの国で公用語が複数ある国は多くあります。
香港やフィリピンなどは、その歴史から英語が公用語の一つとなっていたり、

カナダやアフリカの一部の国では、フランス語が公用語の一つであったり、

スペイン語も、メキシコや南アメリカの方で話されていたりします。
ちなみにアメリカ合衆国では国としての公用語は定められていないですが、英語の次に多くスペイン語も使われているのだそうです。

言語は1箇所のエリアにまとまっておらず、世界中に複雑に点在しているということがわかります。

文字数

言語が違えば、当然使われる文字数も違ってきます。
例えば日本語の「誕生日」は、
韓国語なら「생일」、英語なら「Birthday」、フランス語なら「date d’anniversaire」。
フランス語やドイツ語は特に文字数が多くなり、それと比べると日本語・韓国語はかなりコンパクトに収まる印象があります。これが長文となると結構なボリュームの差が生まれます。

ちなみにtwitterの投稿可能文字数は、言語によって違うのだそうです。
日本語・中国語・韓国語:140字
その他の半角の言語:280字

言語を読む方向

アラビア語やヘブライ語など、右から左への横書きの言語があります。主に中東で使われる言語に多いようです。
アラビア語は国連の公用語6つのうちのの1つであったり、アラビア語圏の国は近年経済的に急激に成長しているので、ウェブサイトにおけるアラビア語の需要は今後高まっていくのではないかなと思われます。

日時の書き方

例えば日本語の
2022年7月9日(土) 16:00
は、英語(アメリカ)では
Saturday, July 9th, 2022 4:00 p.m.
となります。
月と日の位置や、西暦の位置が逆になったりするのはよく知られているかと思いますが、時刻の表記ひとつをとっても細かな違いがあります。
例えば日本は24時制、午前午後の12時制のどちらも一般的な表記ですが、アメリカ等一部の英語圏では24時制の表記は警察・病院・空港等の限定的な場所でのみ使用され、日常生活では12時制表記を使うのが一般的なようです。

またさらに細かい部分で、
日本語で言う深夜の「午前0時」は、アメリカ等一部の英語圏ではそのまま「0:00 a.m.」と表現するかと思ったらそうではなく、正しくは「12:00 a.m.」となるようです。1時間後の「午前1時」は、「1:00 a.m.」となります。
実際に案件でアメリカ向けに時刻を表記する際に初めて知り、地味に混乱しました。アメリカ等一部の英語圏では「0時」という概念が存在しないようです。

また、AM/PMは日本では大文字で時刻の前につけるのが一般的ですが、英語では小文字でa.m./p.m. がより正式な書き方で、必ず時刻の後ろにつけます。

数字の書き方


数字も、言語によっては3桁区切りにコンマではなくドットやスペース、アポストロフィを使用したり、小数点はドットではなくコンマを使用したりします。

私の失敗談として、日本語の「1,000」の記載をフランス語・ドイツ語展開するという時に、無知な私は数字の書き方がまさか世界で異なるとは思わずそのまま「1,000」と記載してしまい、フランス語・ドイツ語では、「 1 」を意味することになった、という背筋も凍るミスをしてしまったことがあります。

記号の意味合い

日本ではクイズなどでよく多用される○と×の記号。
○=正解
という意味合いが、世界共通かと思ったらそうではないようです。
海外では、「○」ではなく「✔️」を使用するのが一般的で、
○で意味が通るのは日本語と韓国語のみ?のようです。(もしかしたら他にもあるかもしれません)

色の面でも、日本では青色と赤色でそれぞれマルとバツのどちらを指すか、曖昧な部分がありますが、海外では正解(✔️)=緑色、不正解(×)=赤色 が一般的なようです。

ハンドサイン

また、ハンドサインも国によって意味が異なります。
日本では掌を下に向けて指先を上下に振るのは「こっちにきて」という意味になりますが、国によっては逆に「あっちに行け」という意味だったり、日本では人を人差し指で指すのはマナー違反だったりしますよね。

「いいね」の意味で親指をたてるハンドサインはSNSなどでよく使われている印象が強いですが、これも中東やアフリカなどの一部の国によっては侮蔑の意味をもっていたりするようです。
それならば、その国のFacebookはいいねボタンのアイコンが違うのだろうかと気になり、自身のiphoneの言語設定をアラビア語にしてみましたが、アイコンは変わらず。。
さらに調べてみると、もともとは侮蔑の意味を持っていたようですが欧米の文化がはいってきたことでサムズアップ=肯定的な意味という認識が浸透したようで、現代においてはそこまで気にしなくて良いようです。
こういったケースもありますが、配慮が必要なものがないかよく調べる必要がありますね。

色のイメージ

上で触れた「正解」の色の違いもそうですが、
歴史、文化、習慣、宗教など、生活している環境や個人の特性によって、各色に対する「印象」は異なります。

個人的にパッと思いついたもので言うと、太陽とタコの絵に使われる色の違いです。

太陽は有名かと思いますが、タコの色の違いは、海外アニメや海外絵本を見ていて気がつきました。日本で描かれるタコが赤色なのは、タコを食べる(=タコを茹でて赤くなる)文化からなのでしょうか。。

その他、各国ごとの色そのものに対するイメージについてはまとめている記事が既にたくさん存在していたのでそちらを見ていただくのが良いかもしれません。

また、色関連でこちらも。
▼NFL「レッドスキンズ」、チーム名変更を検討 差別的とスポンサーから圧力
https://www.bbc.com/japanese/53288415

ワシントンのフットボールチームのチーム名が特定の肌の色を指していて、人種差別的だという批判が以前からあり、ついにスポンサーがチーム名変更を訴えた、という2020年のニュース記事です。
チーム名だけでなく、そのデザインも特定の民族を思わせるようなものだったようです。
特定の肌の色を指しているようにとられかねないような色の扱い方をしていないか、よく考え配慮しないといけない、と自分にも強く戒めたいと思います。

メールの書き方

▼メールの返信の仕方が日本とアメリカで違い過ぎる!日本vsアメリカ
https://www.youtube.com/watch?v=zqZdK9uX4po
この動画では、日本とアメリカのビジネスメールの書き方の違いがはっきりしていることがわかります。私はざっくりこんな印象でした。
– 日本:丁寧、まわりくどい、きめ細かい
– アメリカ:簡潔、さっぱり、わかりやすい

よくよく聞いてみると、日本版は日付と時間まで細かい部分まで一気に確認していますが、アメリカ版は日付のみについて話していますね。
アメリカはメールがまるでチャットのようだという話を聞いたことがあります。一気に細かい部分まで確認するのではなく、会話しながら細かい部分まで決めていくのかも?という想像をしました。

SNS

日本では主流のSNSが、海外ではそうでもなかったりします。(逆も然り)

「Facebook」「Instagram」「Twitter」「Youtube」
この4つに関しては、世界で広く利用され、世界の多くの企業でも公式アカウントを持っていることが多いようです。「TikTok」も広く人気ですね。

上記に加えて、
欧米を中心に「LinkedIn」「WhatsApp」「Pinterest」「Snapchat」、
日本含め東南アジアの一部では「LINE」、
韓国では「kakaotalk」「Naver cafe」も人気が高いようです。

また、一部の国では利用を遮断・制限されているSNSもあります。
中国では「WeChat」や「Weibo」、ロシアでは「VKontakte」など、自国産のSNSがメインで利用されているようです。

というのを簡単な図にしてみました。日々変化していくものと思いますが、2022年8月現在はおおよそこのような状況という体感です。

ウェブアクセシビリティへの取り組み

ウェブアクセシビリティとは、障がいのある人・高齢の人、また年齢や身体的条件に関わらず、webサイトで閲覧・操作ができることを指します。

海外では、ウェブアクセシビリティに関する法整備が進んでいるようです。また、ウェブアクセシビリティを起因とする企業への訴訟も増えているのだとか。

日本では、公的機関ではこのウェブアクセシビリティ対応をするよう義務付けられているようです。
例として、デジタル庁webサイトには「ウェブアクセシビリティ」のページがあります。デジタル庁webサイトにおいて、現状どの部分がアクセシブルでないか、いつまでにどの程度それらを改善する予定か、が記載されています。
▼デジタル庁 ウェブアクセシビリティ
https://www.digital.go.jp/accessibility-statement/

このようなページおよび取り組みは、日本の民間企業に対してはまだ必須とはされていないようですが、海外では民間企業サイトでも対応しているところがよく見受けられます。
また、韓国においては「ウェブアクセシビリティ品質認証」というものがあり、クリアしたウェブサイトには認証マークが設置されていたりします。

前編まとめ

日本で普通だと思っていたことが海外ではそうでなかったり、
むしろ日本の方が世界から見て少数派なことがらもあるのですね。

今回の内容では世界に数多く存在する違いのうちのほんの一部を洗い出しましたが、どちらが多い/少ないで考えるのでなく、違いそれぞれがひとりひとりにとっての普通なのだということを、常に前提において考えることが必要なのだと思います。

前編は以上になります。
後編では、実際のサイトデザインの話につないでいきます。

参考

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8B%B1%E8%AA%9E%E3%82%92%E5%85%AC%E7%94%A8%E8%AA%9E%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E5%9B%BD%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7
https://www.langland.co.jp/spanish/column/column04.php
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E8%AA%9E%E3%82%92%E5%85%AC%E7%94%A8%E8%AA%9E%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E5%9B%BD%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7
https://www.excite.co.jp/news/article/ExApptopi_202457/
https://www.multilingirl.com/2015/11/blog-post_38.html
https://coliss.com/articles/build-websites/operation/writing/53.html
https://www.buzzfeednews.com/article/davidmack/two-trumps-up
https://www.fruitfulenglish.com/blog/mecan-2/
https://www.sanctio.net/ampm/
https://university.globalpower.co.jp/611/
https://ilanguages.org/bilingual.php
https://sayah-media.com/languages/spanish/magnitude-of-demand-for-spanish-in-the-us-of-america/
https://datareportal.com/
https://www.infocubic.co.jp/blog/archives/14742/
https://www.digima-japan.com/knowhow/world/15722.php
https://www.concentinc.jp/design_research/2022/01/btob-communications-202109/