DX開発事業部 モダンエンジニアリングセクションの田村です。
Google Cloud Next ’24現地参加2日目のイベントレポートをお届けいたします。

セッション情報

セッションタイトル: AppSheet: No-code revolution powered by AI

このセッションではCitizen Developerについて触れ、AppSheetに関するアップデートとしてGoogle Workspaceとの統合などの情報を紹介しています。

Citizen Developerとは何か

Citizen Developerはプロセスやワークフローを最適化する機会を見出し、率先してソリューションを作成するビジネスユーザーのことを指します。開発者ではないため、ビジネス上の問題を解決して行くためにノーコードやローコードのプラットフォームを必要とします。

ローコードツールの需要

ローコードを活用した「Citizen Developer戦略」の組織計画についてアンケートを取ったところ約8割の組織が、ローコードツールを実装または計画していると回答をしており、ビジネスや業務での運用に前向きに考えている組織が多いことが分かります。
少しの手順で使うことができて導入コストも高くないのであれば、使わない手はないですよね。
プログラミングの知識はほとんどない業務担当者が、効率化のために自身で何かしらツールを作成するということは多くはないものの、珍しくないと思います。

AppSheetとは何か


AppSheetは、コードが不要でアプリ開発を行うことができるローコードプラットフォームを提供するサービスです。
強力で豊かな機能セットをノーコードでリアルタイムに作成して展開できます。またAppSheetを使うためのライセンスはGoogle Workspaceのプランに含まれているため、属していれば基本的に誰でも使えるかと思います。

実装のための準備

Define Team & Role

組織に適したチーム構造を決定し、AppSheetの管理を担当する管理を選択します。
誰がこのアプリを使うのか、どんなツールを使うのかなどを検討します。

Establish Policies

ドメイン、アプリ作成者、機能、AppSheetのアプリを管理するポリシーを定義します。
使用ユーザの制御やアプリがアクセスする外部データセットへのアクセス権限などを検討します。
ポリシーの設定はアカウント単位、チーム単位、そして新たに本日から組織単位で設定できるようです!

Setup Monitoring

AppSheetの使用を監視し管理する方法を確立します。

エンタープライズデータへの接続


AppSheetで作成したアプリは、さまざまなデータソースへ接続可能です。
そして画像右半分の統合コネクターはかなりの注目すべきところです!
JIRAやBigQueryなどのさらに多くのエンタープライズシステムに接続できるようになるようです。
またどうやらVertex AIとの接続もできるとのことでノーコードでAIアプリも作成できそうですね。

追加機能

Simple Views


画面上でView Typeを選択することができて、それぞれのTypeに合わせたレイアウトが適用されます。
テーブルやダッシュボード、カレンダーなど汎用的なレイアウトが標準で揃っています。

Bot Automation


Botによる自動化を行うことが出来て、例えばリクエストを受け取った際にテーブルデータを更新して、担当者に通知を送信するという動作を自動化することができます。

Mobile Apps


モバイルのブラウザやGoogle Play / Apple App Storeにあるネイティブアプリに接続して、データの連携を行うことが可能です。

AI-assisted app creation(4月にGA)


AIアシストの機能を使い、作成したいテーブルの詳細をメッセージから送ることで、AIが推奨されるテーブル定義を回答してくれます。

Extract with Gemini(注目)


自身のアプリにGeminiを導入させることができ、撮影した写真からデータを読み取り、フォームに自動入力させるという動作が可能です。

Google Workspaceとの統合

Gmail: Dynamic Email


これは何とGmailのメール上でフォーム入力したデータを直接確認できるというものです。Gmail上のデータは、AppSheetで加工して保存したり別の処理を実行したりできるため、Google Workspaceのアプリ同士でシームレスなデータ連携が可能です。
例えば承認フローなどのアクションをGmailで送信し、承認をもらうなどのフローを実行することもできるようです。

Docs: Link Preview


Docsの中に別のデータソースのリンクを埋め込むことで、Docs内でそのデータを直接読み込むことができます。

Chat: Chat App Views


ブラウザを開いて直接アプリにアクセスする必要はなく、Google ChatでAppSheetのアプリと直接対話をすることができます。

Google Forms integrated with AppSheet(4月プレビュー予定)


Google Formsの回答を自動化のトリガーにできます。またAppSheetのデータソースとして使用することで、Google Formsで回答した内容をGmailやGoogle Chatに送信したいなどが可能です。

管理機能



AppSheetのアプリを管理するための管理者画面が用意されています。画面上ではアプリの一覧からポリシーの管理、メトリクスの確認などを一元的に行うことができるようになります。

まとめ

今回AppSheetについて、各種機能の追加やGoogle Workspaceとの統合、管理画面の充実があり、かなり優れたサービスになりました。AppSheet内でもGeminiを使用できるようになり、より一層生成AIは開発者以外にとっても身近な存在になるのではないでしょうか。プログラミングを覚える必要がないため、使い方さえ覚えれば社内のあらゆる業務を効率化できる強力なツールになると思います。

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