AWS Summit Japan 2024のセッションの内容を一部ご紹介します!
今回はスマート工場を実現するにはどういった課題があり、どういったアプローチをすればいいかといったセッションです。
今回参加したセッション
AWS IoT SiteWise を活用したスマート工場の実現
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
概要
- スマート工場プロジェクトの70%がPoC段階で停止する
- プロジェクトを成功させるには属人性を排したデータ主導の意思決定がポイント
- ITとOTの橋渡しが大変難しい
- 今までの機械学習で解決できなかった課題を生成AIで突破できるのでは
- サービスではAWS IoT SiteWise, Greengrassの活用に触れる
詳細
それではセッションの内容を画像を交えながら紹介していきます!
アジェンダ
- 工場のデジタル化をどのように推進するか が今回のテーマです!
スマート工場プロジェクトの70%がPoC(概念実証)フェーズで停止をする
本セッションは衝撃的な内容からスタートしました
マッキンゼーの調査報告では、スマート工場を推進するプロジェクトの70%がPoCフェーズで停止するそうです
- 試作段階のPoCではうまくいったが、横展開できなかった
- ゴールを決めずにスタートしたため、検証が長引いてしまっている
といった例があるそう
そもそもスマート工場とは
- 従来インターネットに繋げなかったOTと、情報技術のITを連携し、優位性を獲得すること
OTとは
オペレーショナル・テクノロジー (Operational Technology, OT) または運用・制御技術は、物理的な装置や工程を監視・制御するためのハードウェアとソフトウェア技術のことである。例えば、バルブやポンプなど物理的な装置・工程の変化を検出したり引き起こしたりする技術である。
wikipediaから引用
つまり、物理的な工場の管理システムがOTです
スマート工場プロジェクトを成功させるには
- IT(情報システム)とOT(物理システム)のギャップを埋めることが大事
そのためのブロッカーはいくつもある
- セキュリティやコンプライアンス上、インターネットに安全に繋げられないといった課題
- 現場からの情報を吸い上げられず標準化の取り組みが進まないといった課題
AWSが提供している、スマート工場プロジェクトに役立つサービス群
- 濃い緑がIOTに関わるサービス
中でも本セミナーではAWS IoT SiteWiseとAWS IoT Greengrassに触れる
現場での事例をシミュレーション
- たとえば100℃を越えるとアラームが鳴るといったシステムがあるとする
- 一見、簡単なシステムであっても、実際の現場では仕事に密接した複雑な状態管理が必要となる
①アラーム鳴ったら、ずっと鳴っているとうるさいから一定時間で自動で止まる?
②アラーム解除の手順は?作業者が一度確認して手動で止める?止める際には何か連絡する?
③一度鳴ったら後でわかるようにDB記録?どんな内容を記録する?
など100℃を超えたらアラームが鳴るといった簡単なシステムでも、複雑な状態管理が必要
業務に適用できる目的特化のAWSサービスと、それを管理するサービス
- 下記表の右側(AWS Cloud)に記されているのが業務の目的に特化したAWSサービス
- 特にここで触れたいのがAWS IoT SiteWise
AWS IoT SiteWiseのご紹介
AWS IoT SiteWise(IoT データコレクターおよびインタプリタ)| AWS (amazon.com)
- 各種目的特化型のサービスと連携し、収集、整理、分析を簡素化するマネージドサービス
進化を続けるAWS IoT SiteWise
- 昨年だけで15件の機能追加があったそう
- たとえば下記のAmazon Lookout for Equipmentは異常な動作を検知するサービス
以前はSitewiseとの連携が複雑だったが、機能として統合されることにより設定だけで同期が出来るようになった
スマート工場での成功事例
こちらは成功事例の紹介
背景
- 機械が突発的に故障することで作業計画が狂っていた
スマート工場を実現した結果
- 故障予知をして突発的な故障を減らした
- 従来は機械を直接見に行かないといけなかったが、遠隔で確認出来るようになった
- 部品の交換をスケジュール立てて出来る
- IT技術が現場に溶け込んでいる成功事例
- どこで故障をしているのか遠隔で把握が可能
- IT技術を取り入れて計画的なメンテナンスが出来ている
- 右上の表がダッシュボード
機械学習をおこない、機器の状態を推論して、推論結果はダッシュボードに表示
資産管理システム(別システムの内容)もダッシュボードに表示している
- こちらもダッシュボードの一例
ポイント化することで左のヘルスインデックスに状態を点数で出している(すごくわかりやすい)
- 事例の結果まとめ
ITとOTのギャップを埋めて、実運用に出来た成功事例
さらに蓄積しているパラメータを機械学習にかけることで将来的な活用も可能
生成AIの活用へ
- 先ほど紹介したのは成功例だが、実際の工場内にはネットワークで取れない情報が豊富にある
手書きのメモ書きやホワイトボードの記載、書類など
そういったものをトータルで集められたら、もっと多くの課題を解決できる
そこで課題解決に役立つのが生成AI
- 生成AIは様々な業界でユースケースがある
本セミナーで紹介するのは左から2番目の製造業の項目
- クッキー工場のデモ
クッキーが出来上がり、どのくらい不良品があるか、がわかるようになっている
注目すべきは右側の文字が並んでいる箇所
ここは生成AIが出力していて、質問をして推測を回答をしてくれる
どのあたりに不具合の原因がありそうか、などを質問したら回答をくれる
今までなら問題が起きた際に、マニュアルを引っ張ってきてにらめっこしないといけなかったが、
生成AIを活用することで、問題解決を今までより迅速に可能になる
- アーキテクト
Amazon Bedrockを使用
IoTの管理には先ほど紹介したAWS IoT SiteWiseを利用している
まとめ
スマート工場にフォーカスした展示ブース
ブースについては、こちらでも紹介してます
【AWS Summit Japan 2024】参加レポート_Industry Zoneをご紹介 | iret.media
感想
“スマート工場を実現するには、データ主導の意思決定が出来るように属人性を排除する必要がある”
という話があり、まさにそうだと感じる反面、そこが大変難しい部分だと感じました。
現場の業務をされている方の意見自体はとても大切なのですが、それ以上にデータを活用してどのようにビジネスの目的を叶えるかにフォーカスしないと実現は難しいのだと再認識しました。
“PoCから先に進むのに大事な要素は、PoCを成功させるには、効果が数値として表れていること”
というのも大変腑に落ちる言葉でした。
提案活動に使用したいワードや、自身が案件を進める時にも役立つ、大変素晴らしいセミナーでした。