はじめに

Global Solutions事業部の緒方です。
AWS re:Invent 2024に現地で参加しています。
今回は[IMP103 | Transforming humanitarian aid with AI]に参加しましたので内容を紹介します。

AWS re:Invent 2024とは

AWSが主催する年次カンファレンスで、主にクラウドコンピューティングに関する最新情報を発表し、エンジニアに限らず様々なロールの人や様々な業種の企業が集う大規模イベントです。2024年は12月2日から12月6日にかけて、アメリカ・ラスベガスで開催されます。

セッション

セッション概要

IMP103 | Transforming humanitarian aid with AI
Witness the transformative power of AI in humanitarian aid at this fireside chat with industry experts. Explore how ACAPS and Mercy Corps leverage cutting-edge AWS AI services to bridge data gaps, predict global crises, and enhance decision-making. Gain insights into AI Method Matcher (AIMM), which helps nontechnical users identify appropriate AI approaches, and SOPHIA, which helps organizations analyze crisis data to more efficiently prioritize response needs. Discover how AI technology is reshaping the future of humanitarian work, supporting resilient communities worldwide. Join this session and unlock the potential of AI for good.

業界の専門家とのこの炉辺談話で、人道支援における AI の変革力を目の当たりにしてください。ACAPS と Mercy Corps が最先端の AWS AI サービスを活用して、データギャップを埋め、世界的な危機を予測し、意思決定を強化する方法をご覧ください。技術者以外のユーザーが適切な AI アプローチを特定できるようにする AI Method Matcher (AIMM) と、組織が危機データを分析して対応ニーズをより効率的に優先順位付けできるようにする SOPHIA について理解を深めてください。AI テクノロジーが人道支援活動の未来をどのように変え、世界中の回復力のあるコミュニティをサポートしているかをご覧ください。このセッションに参加して、AI の可能性を解き放ちましょう。

Alicia Morrison, Director of Data Science, Mercy Corps

Jacek Siadkowski, Co-founder & CEO, Tech To The Rescue

Sandra Topic, AI for Good Lead, AWS

Yevhen Barshchevskyi, Data Solutions & Analytics Team Lead, ACAPS

セッション内容

上のセッション概要の機械翻訳だと意図がわかりにくいかと思いますが、本セッションでは、人道支援を行っている非営利団体においてもAIが有用であることを言っていたと思います。

まず、AIが世界を変革し、AIを利用できる人だけではなくすべての人に利益をもたらすことが重要だと言っていました。みんながAIのパワーの恩恵を受けるべきっていう考え方、素晴らしいですね。

最初は「Tech To The Rescue」のCEOの方のプレゼンテーションでした。

コロナのパンデミックの初期に、パンデミック中に何をすべきかを知っている人々にITに関する能力を持ってもらうために創設したそうです。
この会社は、医療機器をクラウドソーシングするソリューションを構築し、約 50 万人を支援したとのことです。

Tech to Rescue は、戦争、地震、動物福祉など、世界中のさまざまな危機をサポートするために拡大しました。
AI for Change Makers プログラムは、AWS クレジットやメンターへのアクセスを含む AI ソリューションで 100 の組織をサポートするために創設してスタートしたそうです。

非営利団体をサポートする理由がこのスライドに記載がありました。利益を追求しないで、人道的支援の目的を追求するから、パートナーとして選んだんですね。しかし、非営利団体がAIに手を出すには、コストやスキルの課題があるようです。営利企業とは少し異なり、予算や教育への投資に比較的余裕がなくなるのはなんとなく想像できますよね。

世界30カ国以上から300社以上のテクノロジー企業と100以上の非営利団体から参加者が集まって、AIの使用に関してサポートをしているとのことでした。協力企業・団体・国の数がすごいですね。人道支援という大義があるからこそこれだけの協力が得られたのかもしれないですね。

Mercy Corps社は、水の安全保障、食糧の安全保障、などのプログラムを持つ非営利団体です。

ここでは、人道支援組織に役立つツールであるAIメソッド(Matcher)マッチャーの紹介がありました。

求められている用途や条件によってAIで使用するメソッドを最適なものにしてくれるというものでした。これによって、予算や人員が厳しい条件の非営利団体でもAIを有効活用できそうですね。

このツールは、チャットボットを使用してレポートを提供し、スタッフが AI に興味を持ち、AIの使用方法を理解できるように助けてくれるとのことでした。

次に、ACAPSよりアナリストが危機をリアルタイムで監視するのに役立つ SOFIA(Solutions Platform for Humanitarian Information Analysis)というプラットフォームについて紹介がありました。

人道支援を目的として、言語の違いによる情報格差のようなものをなくそうとしているようです。

SOFIAは、AWS を使用してドキュメントをアクセス可能な言語に翻訳し、重要なパターンを特定し、アナリストが情報の検索に費やす時間を削減し、重要な分析に集中できるようにすることを目的としているそうです。

また、様々な国の言語に対して対応できるようになっているそうで、言語の違いによる情報の取得の時間を減らしています。

これにより、情報へのアクセスが容易になり、人道支援時に多言語の対応例などを利用して素早い対応ができるようになるため、多くの人が救われそうですね。自国で初めて起きたイベントに対して、一から検討をしていては時間が多く過ぎてしまいますから。

構成はLambdaにマニュアルを持ってこさせて、Amazon Translateで翻訳し、その後の処理をAmazon SageMakerやAmazon Bedrockで行っているそうです。
また、ACAPSは最初に紹介したTech to Rescueと提携して、アナリストがドキュメントから情報をすばやく取得できるようにGPTの機能を組み込んでいるそうです。

「Fireside chat」は直訳で炉端話、井戸端会議のようなものらしいです。ここでは以下のことが話されていました。

・非営利団体の課題はAI の専門家と資金の不足

・AIに学習させる基礎的なデータの必要性と、機能拡張前の AI コンセプトの証明が重要

・AIの限界を理解し、実際の問題を解決するユースケースに焦点を当てること

・人道的活動における AI導入の遅れの問題

・非営利団体はテクノロジー企業と連携すべき

これはAIMM(AI Methods Matcher)の構成図です。Lambdaが大活躍ですね。

さいごに

今回のセッションで、人道支援の分野でAIがどのように活用されているか、また今後の可能性について知ることができました。特に、非営利団体が抱えるリソースやスキルの課題が紹介され、それを克服する方法について話されていたのが印象的でした。