DX開発事業部 フルスタックセクションの田村です。
Google Cloud Next ’25 現地参加2日目のイベントレポートをお届けいたします。
セッション情報
セッションタイトル:Unleash the power of Gemini for Google Workspace with expert prompting
概要:
強力でマルチターンなAIプロンプトの書き方、そしてGoogleで最も高性能なAIモデル「Gemini」が、あなたの最高の仕事をどうサポートできるのかを学びましょう。このセッションでは、Gemini for Google Workspace の高度な機能を紹介し、Gemini、Gmail、Docs、Sheets、Drive、Vids、NotebookLM といったアプリで使える効果的なプロンプトの実例も紹介します。さらに、大規模言語モデル(LLM)の仕組みや、入力の質が出力にどう影響するかについても解説。このセッションを終える頃には、プロンプト設計のプロとしてAIを使いこなす力が身についているはずです。
もはや”プロンプト”は必須スキル
セッションの冒頭で登壇者の方はこのように語っていました。
Prompting is no longer an optional skill. It’s the key to unlocking the power of AI.
Gemini や他の LLM を活用するうえで、質の高いプロンプトこそが結果を左右する要素だというメッセージからセッションが始まりました。
確かにGeminiをはじめとした生成AIチャットアプリは業務効率化を行うために不可欠なツールになっていますし、正確で優れた回答を得るためにはプロンプトを渡す側もベストプラクティスに沿う必要があるのだと思います。
プロンプト設計の基本原則
The quality of the input determines the quality of the output.
「入力の質が、出力の質を決める。」とあるように、あいまいな入力ではあいまいな返答しか返ってきません。
逆に、目的や文脈が明確なプロンプトは、より高品質なアウトプットを生み出すため、生成AIを使いこなすには「プロンプト設計」がカギとなります。
効果的なプロンプトの条件
❌ Weak Prompts(弱いプロンプト)
- 抽象的すぎる(Vague)
- 文脈がない(Lack context)
- AIが“察してくれる”と思っている(Assume AI is a mind reader)
- 制約条件がない(Don’t include constraint)
⭕️ Strong Prompts(強いプロンプト)
- 具体的である(Be specific)
- 会話形式でやりとりする(Make it a conversation)
- 文脈を含む(Who, What, Where, When, How, Why)
- Geminiをプロンプト編集者のように扱う
- Docsやスプレッドシートなどのドキュメントを活用する
プロンプト構造の型(Prompt Format)
1. Persona(ペルソナ)
誰として発言しているのかを明示する
- AIに視点や立場を理解させるための前提条件
- 例:
I am a Cymbal Clothing marketer.
(私はCymbal Clothing社のマーケ担当です)
2. Task(タスク)
何をしてほしいのかを具体的に伝える
- 依頼する内容を明確に
- 例:
Draft a product launch plan
(商品ローンチプランを作成してください)
3. Context(文脈)
背景や考慮すべき条件を補足する
- 詳細情報や目的、制約を記載することで出力の質がアップ
- 例:
for Hawaiian shirts and include key milestones, owners, sample messages, and channels.
(ハワイアンシャツ用で、主要なマイルストーン・担当者・メッセージ例・チャンネルを含める)
4. Format(出力形式)
どのような形式でアウトプットしてほしいかを指定する
- 表、リスト、メール形式など、形式を明示することで構造的な出力が得られる
- 例:
Organize details with tables.
(詳細を表形式で整理してください)
文章生成プロンプトの改善例
❌ 改善前(弱いプロンプト):
Write a cold outreach sales email to a clothing retail CEO.
- Persona がない → 誰の立場で書くのか不明
- Context がない → どんな背景でアプローチするのか曖昧
- Format 指定がない → 文字数や構成のガイドがない
⭕️ 改善後(強いプロンプト):
I am a Cymbal Clothing sales rep. Draft a cold outreach email to a clothing retail CEO and include challenges in the recent months in the Hawaiian shirt industry. Limit to 250 characters and use bullet points.
画像生成プロンプトの改善例
❌ 改善前(弱いプロンプト):
Create an image of Hawaiian shirts.
- 誰が・何のためにが不明
- デザインやスタイルの条件なし
⭕️ 改善後(強いプロンプト):
I am a brand manager and need Gemini to generate an image of a Hawaiian shirt in watercolor style. The shirt should have a pattern of orange flowers and dark green leaves, against a muted sky blue background. The flowers and leaves should have subtle texture details.
チャート生成プロンプトの改善例
❌ 改善前(弱いプロンプト):
Create a chart showing estimated revenue.
- 抽象的すぎて構造や形式が不明
- 何のデータをどう見せたいかが不明確
⭕️ 改善後(強いプロンプト):
Create a bar graph showing revenue estimate for each month in chronological order. Make the bars a different color for each month.
個人的に刺さったポイント
プロンプトは何も考慮しなくともある程度の精度は出せているが、より正確な情報を得るには「目的」「文脈」「フォーマット」まで含めた“プロンプト”が問われるものだと痛感。特に「ペルソナ+タスク+文脈+形式」のフレームワークは、すぐにでも実務に使えるノウハウで有用だと思う。
Geminiはただの自動応答マシンではなく、こちらの指示の質に応じて“仕事のクオリティ”が変わる存在であるという点で、今後は“AI時代のプロンプトスキル”を磨く必要性を感じた。
最後に
生成AIとの向き合い方として「どう指示するか」は、今後さらに重要になっていくと思います。
Geminiのような便利で強力なモデルの性能を“最大限引き出す”には、プロンプトこそが鍵となっており、誰でもプロンプトの工夫ひとつで生成AI体験を向上させられるため、プロンプトのフレームワーク化は意識していきたいものですね。